【韓国ドラマ】時代劇×ロマンス。泣けて、沁みる！ 韓国でトレンド入りのドラマは、最高に心打たれる名作だった

いやあ、面白かった！ 凄まじかった！ 何度も何度も心震えました。これほど手に汗握りながら最後まで息をのみのみ見入ってしまったのは久々かもしれません。主人公の“オク氏夫人”ことクドクを演じるのは、『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』のあのイム・ジヨン。陰湿すぎるいじめ役でその実力を知らしめた彼女が、今回は立場逆転、両班のヒステリー陰険娘になぶりものにされる奴婢役で序盤登場するという、それだけでもう興味津々なのですが、その波瀾万丈ぶりも半端なく、壮大な時代劇を主人公として引っ張っていく力技と、それを成し得る演技力、存在感に改めて感服せざるを得ないというか。

両班娘のソへ（ハ・ユルリ）は奴婢をモノ以下としか思っていないスレギ（クズ）お嬢なのですが、そんなソヘに仕えているのが“うじ虫”という名の奴婢クドクなのです。針仕事も勉学も面倒なことをすべて押し付けるソヘのせいで、クドクはくしくも両班娘が持つべき教養を身につけることになるのですが、虐げられる毎日に、いつかこの地獄から父親とともに逃亡し、海の近くで穏やかに暮らすというささやかだけど奇跡にも似た夢を実行する機会を狙っているわけです。そんなある日、とあることからソヘの逆鱗に触れることになったクドクは、その拷問に耐えきれず、ついに父とともに逃亡を決行。でも、その途中で父とはぐれてしまい、山の中にある宿屋で心優しい女将に救われて働くことになります。1年後、その宿にとある両班父娘が逗留することになるのですが、その娘、オク・テヨン（ソン・ナウン）は清廉にして心優しい娘で、いつか外知部（ウェジブ＝朝鮮時代の弁護士）になって奴婢たちを助けたいという夢を持っているわけです。クドクにも友として接し、ふたりは親交を深めるのですが、宿が盗賊に襲われ、なんとテヨンもテヨン父も女将も殺され、なにもかも焼かれてしまうという。そして、ひとり生き残ったクドクは……。

ということで、ここから奴婢クドクが両班オク・テヨンになり代わり、生前のテヨンの夢だった外知部として生きていく人生が始まるという次第。クドクの相手役を演じるのは、最近、めきめきと人気上昇中のチュ・ヨンウ。クドクに一途な思いを貫く両班から人気芸人となるソン・ソンイと、後にオク・テヨンの夫となるソン・ユンギョムを一人二役で演じるのですが、このロマンスの行方もまた波瀾万丈に魅せてくれます。外知部となったテヨンには、凄まじいほどの試練とピンチが何度も何度も訪れるのですが、それをオク・テヨンとなったクドクはどう切り抜けていくのか。そして、偽りの身分の行方は？ 悪貨は良貨を駆逐すると言いますが、その逆もまた真なりか。善意と正義と勇気は、人の善意と正義を引き出し、そして、善意が善意を呼んでどんどんつながっていく……そんな痛快。全16話たっぷりとご堪能くださいませ。（さすらいのライター山崎）

『トキメキ☆成均館スキャンダル』然り、『雲が描いた月明り』然り。ロマンス時代劇の男装ヒロインは鉄板ネタですよね。本作も『となりのMr.パーフェクト』のキム・ジウンが身分と性別を偽って生きるホン・ドクスを演じています。時代劇は感情移入しすぎてつらくなるものも多いですが、こちらはロマンスを主軸にしながら、権力を振りかざした者たちへの復讐劇もエッセンスとして表現されている感じで、心穏やかに観られる！ なんと言ってもキャストがフレッシュで、注目株がゴロゴロ出演していることもポイントです。『チアアップ』『烈女パク氏契約結婚伝』でキャリアを積むペ・イニョクを筆頭に、『コッソンビ 二花院(イファウォン)の秘密』に続くロマンス時代劇出演となるチョン・ゴンジュ。そして大ヒット韓国BLドラマ『セマンティックエラー』でブレイクしたDKZ パク・ジェチャン。この４人が龍天楼（ヨンチョンル）を舞台に、青春恋愛ドラマを繰り広げてくれます。

この物語の面白いところは、朝鮮時代の漢陽のド真ん中にあり、王宮よりも煌びやかだと謳われる旅閣、龍天楼の存在。まるで高級ホテルさながらの外観・内観、そして最高級のサービス！ ここに宿泊すれば至れり尽くせり。正規雇用になれば一家安泰も夢ではなく、龍天楼への就職を志す若者たちが続々と集まってくるんですね。で、12年前に起きた事件で父を殺され追われる身となり、男性として生きてきたドクスは、復讐相手が龍天楼にいることを知るんです。そこで潜入することになると。ここで同じ班になり、足を引っ張り合ったり（!?）、協力し合ったり、三角関係が勃発したりするのが、通称“ハオナ（ですが）四人衆”。特技は上官への口答えという４人。とある目的のために王子という身分を隠し“ウノ”と名乗るイ・ウン（イニョク）。父の命により半ば強制的に来たお茶らけモード全開のチョン・ジュナ（ゴンジュ）。没落した一家を立て直すという目的と強い信念を持つコ・スラ（ジェチャン）。

メイン４人の青春物語はもちろん、ロマンス時代劇あるあるネタで十分にときめきます。ウノ、ドクス、ジュナの知られざる関係性も切ないのだけれど、これがまた胸きゅんのいいスパイスになるんですよねぇ。現在12話までの視聴ですが、終盤にかけてウノの色気がバシバシ放出されていきそうなので（予感）、期待しながら見守りたいと思います。（エディターK）