2PM オク・テギョンの最新作『ハートビート』や、Wanna One出身のパク・ジフンの最新作『弱いヒーロー Class１』など、配信を待ち望んでいた作品が続々とスタート！ 今回は、そんな各配信サイトで観られる話題の“演技ドル”出演作をご紹介。マルチに活躍する彼らのギャップを楽しむのはもちろん、物語にどっぷり没入できる良作となっているため、未視聴の方はぜひチェックを！
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班／エディターK
母の影響により、第１次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、約20年間あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手俳優の発掘が趣味の領域に。
『ハートビート』／新たな“テギョン”の姿にときめき必至!?
2PMといえば今ノリにのっているのが『赤い袖先』で俳優としても大ブレイクのジュノ。こちらの記事でご紹介した『キング・ザ・ランド』では、“ジュノのプロモビデオか！”と思うほど熱いラブビームがファンサのごとく次から次に、ついふにゃふにゃになってしまう私ではありますが、実はそれ以上にドゥグンドゥグンと“ハートビート”されているのが、この作品のテギョンなのです。日本では“キング〜”ほどフィーチャーされていませんが、テギョン扮する主人公ウヒョルのユニークな可愛さが半端ないといいましょうか。
ウヒョルは永遠の命を生き続けるヴァンパイアなのですが、朝鮮時代、自分に分け隔てなく接してくれるヘソン（ユン・ソヒ）と出会い、心ひかれます。でも血の通わないヴァンパイアは心臓の鼓動もなく、人を好きになっても“心躍る”感覚を経験したことが一度もないわけで。心躍る恋をしたい……と、人間になりたい思いが芽生えるウヒョルですが、ヴァンパイアハンターに襲われ、自分を庇ったヘソンが命を落としてしまうのです。「必ず、また、私が会いにいくから」という言葉を遺して。そして現代から100年前、ウヒョルはすっかり京城のリッチな伊達男になったものの、ヘソンへの恋しさと人間になりたい思いは募るばかり。で、教えられるのです。サンザシの棺で100年眠れば人間になれると。そうして現代。いよいよ人間に！と思いきや、彼が眠る館を遺産として相続したというチェ・イネ（ウォン・ジアン。『D.P. -脱走兵追跡官-』でデビューしたばかりの新人ですが『イカゲーム２』の出演が決まった若手注目株）に、100年より１日早く開けられてしまうという。そのため人間になりきれず半ヴァンパイアという存在になったウヒョル。
実はイネの祖先はウヒョルの執事として使えてきた家柄。同居を余儀なくされたふたりの微妙な関係が始まるのですが、イネに思いを寄せる先輩やヘソンにそっくりな財閥令嬢が現れて、運命の糸はどんどんもつれるばかり。果たしてウヒョルは本当の“心躍る恋”に行き着くことができるのか。見た目は若者なのに、中身は300歳のオルシン（ご老体）という役柄ゆえに、現代で思い切り浮きまくってしまうキメキメ・テギョンが思わず笑えて愛おしく。イネ役ジアンとのケミも最高で、優しさを含んだ深い眼差しのラブビームには要注意。まともに浴びたら起き上がれなくなるやもしれません。（さすらいのライター山崎）
『弱いヒーロー Class１』／善と悪の狭間でもがき苦しむ高校生たち
終始、胸が痛かった。本作の感想を一言で簡潔に述べると、これに尽きます。思春期特有の危うさが随所に表現されており、度を越したいじめや校内暴力、高校生が抱える孤独。それらが様々な形で顔を出すのですが、友情という名のひとつの希望でさえ、均衡を崩した途端すぐに凶器となってしまう。その張り詰めた空気感をずっと作中で感じていられたのは、なんといっても子役出身、Wanna One出身の演技ドルことパク・ジフンを筆頭に、『二十五、二十一』のチェ・ヒョヌクと、最新作『悪鬼』のホン・ギョンの３人の演技がリアルすぎたから。今まさに同じ時を生きる学生も、大人も、一緒になって観てほしい、メッセージ性の強い作品だと思っています。
舞台はビョクサン高校。頭脳明晰なシウン（ジフン）は勉強以外に興味関心のない優等生で、小柄かつ力がなく、運動も苦手という設定です。いわゆるガリ勉という見え方ですが、「弱い」なりに意思はめちゃくちゃハッキリ伝える性格。ここが従来とは違う点かも。勉強を邪魔されることに関しては、異常なまでに怒りスイッチが入るんですね。で、クラスのやんちゃ組にも真っ向から立ち向かうし、売られた喧嘩は必ず買うし、優れた洞察力と頭脳を駆使してトドメを刺そうとする。ある意味いちばん恐ろしい。そんな勉強だけに執着して生きるシウンに変化が訪れるのは、学校一の強さを誇るスホ（ヒョヌク）と、いじめが原因で転校してきたボムソク（ギョン）と友達になってからです。放課後に遊んだり、ご飯を食べたり、カラオケに行ったり、その変わっていく姿にほっこり……したいのにそうさせてくれないのは、エスカレートしていく同級生の暴力と不良グループの介入、そして裏に潜む犯罪のせい。「なにかひとつ、選択が違っていたら」と感じる瞬間が多く、正直目も当てられないシーンばかり。３人それぞれが抱える事情もつらく切なく、とにかくやるせない。だけれど「終着点になにが待っているのか」を知らなければこちらも終われないんですよ……。
なにより本作はジフンの俳優キャリアを語る上で欠かせないドラマになったと断言できます。「내 마음속에 저장〜！（僕の心の中に保存〜！）」の可愛らしいジフンとは別者で、「まだこんな姿を隠し持っていたの？」と思うくらい役柄とマッチ。デンジャラスで陰のオーラに包まれているので、そのギャップもぜひ堪能してほしい。（エディターK）
『青春ウォルダム〜運命を乗り越えて〜』／大人が沼る、時代劇×ミステリー仕立て！
2021年に兵役から戻ってきたパク・ヒョンシク。兵役前の印象と比べるとそのたくましさは200％増し増しという感じですが、兵役後３作目となる本作は待望の時代劇・世子さま役。彼の時代劇といえば、やっぱり兵役前の『花郎＜ファラン＞』ですよね。素性を隠して生きる新羅王という役どころは、王にも大人にもなりきれていないひ弱さがあって、そこがまた“庇ってあげたい”欲を掻き立ててくれるというか、私的にはパク・ソジュンの主人公ソヌよりも、むしろジディ派（役名）だったわけでして。ということで、個人的にも待望の時代劇ヒョンシク。ファランよりも一段と大きくなった肩幅と胸板で、これは頼もしく爽やかなヒョンシク世子堪能か！と思いきや、初っ端は何やらおどろおどろしく、ヒョンシク世子もかなりピリピリムード……。何？何があったのヒョンシクぅ〜〜。ということで、物語です。
本作は朝鮮王朝の架空の時代が舞台。ヒョンシク演じる世子イ・ファンに3年前、謎の“呪いの書”が届くのですが、以来ファンには、その呪いの書通りの災いごとが起こるのです。宮中ではその災いが兄を殺して世子になった呪いなのではと噂され、廃位の意見も高まるわけで、つまり、四面楚歌の状態。そんななか、ファンの師匠のミン一家が毒殺される事件が発生し、娘のジェイ（チョン・ソニ）に犯人の嫌疑がかかります。追われるジェイはその濡れ衣を晴らすため、決死の思いでファンの元を訪ねるのですが……。どちらかといえば王宮の権力闘争ベースが多い時代劇、つまりは犯人が分かりやすかったりするのですが、この作品は権力を握らんと企む輩もいるものの、では、呪いの書も彼らの仕業か？というと違うようでもあり。じゃあ、一体、誰がどんな目的で？ そして、ミン一家はなぜ殺害されたのか？ そう、かなりなミステリー仕立て。
その謎をファンとジェイが密かに追求していくわけですが、ジェイはいわゆる正体を隠す男装の内官役。世子ものあるあるではありますが、謎解きの面白さと男装女子×世子の絶妙な効かせ方が新しく。呪いに怯え、不信の塊だったファンが、ジェイと真相を探る中で、次第に本来の誠実さや温かさ、優しさを取り戻していくさまを、自然かつ繊細に演じきったヒョンシクは、やっぱり目を細めたくなるほどたくましく。そのミステリーの真実と、ジェイとのロマンスの行方をたっぷりとお楽しみください。（さすらいのライター山崎）
『セレブリティ』／ソーシャルメディアの光と闇を描く
SNSを主流とする現代社会ならではの“インフルエンサー”を描いた作品。スピーディな展開と、ユニークかつアイキャッチーな演出方法がいい化学反応を起こし、またしても世に強烈なインパクトを放つ韓国ドラマが誕生しました。化粧品会社の訪問販売員から、一夜にしてフォロワー130万人のトップインフルエンサーになったソ・アリ（パク・ギュヨン）を主軸に、華やかなソーシャルメディアのスターもとい“セレブ”たちの光と闇を映し出しています。物語はというと、３ヶ月前に“死んだ”はずのアリが「この世界の真実を、すべて教えてあげる」と突如ライブ配信を始めるところからスタート。冒頭からストーリーも映像も驚くほどにアクセル全開です。
アイビー・リーグに留学するほど賢く、裕福な生活を送っていたアリ。しかし父の事業失敗によってそんな生活も18年で幕を閉じ、中退後は生活を支えるためにアルバイト三昧。そんなアリにとってSNSは無縁の世界だったんですね。ある財閥家に化粧品の訪問販売に赴くまでは。一夜のとある出来事をきっかけにたちまち世間に名を知られたアリは、トップインフルエンサーの道へ。「数字こそすべて」と謳われる世界で繰り広げられる蹴落とし合戦が、これまた過激なんですよ。華々しさと毒々しさが共存する世界に身を置き、アリ自身も知らぬ間にどんどん黒く染まっていきます。流れが早く立ち止まることが許されない川のように追い詰められ、心が蝕まれていく。そんな彼女たちを観ていると、決して「フィクション」として捉えてはいけないという思いに駆られます。現代社会が抱える新たな闇にきちんと向き合っているのが本作のポイント。
ライブ配信を元に、次々と明らかになる驚愕の真実。端的にハラハラドキドキ展開とサプライズの連続です。個人的には、エンターテインメントとしての見せ方と問題提起のバランスが絶妙だったと思います。アリに心奪われるコスメ会社の若きCEOジュンギョン役にはCNBLUEのカン・ミンヒョクと、脇を固める俳優もグッド。かれこれ演技歴も長くなってきた彼だけに、安定した実力を見せてくれました。
衝撃的な展開で進んでいく本作の結末はぜひご自身の目で確かめてほしいのですが、情報を発信する側、受信する側、それぞれが誠意ある言動を心がけなければ、多くの犯罪や悲しい事件を生み出してしまうかもしれない。そう強く感じる作品でした。（エディターK）
