2026.05.13

今、韓国で話題のアーティスト「ハンロロ」を知ってる? Kカルチャーの今をプロが解説! 【NOW ON SEOUL】

Kカルチャーの今をキャッチ!

韓国のローカルシーンで注目を集めるカルチャーは? 現地の専門家が最前線を解説。今月は、青春の代弁者とも言える若きシンガーソングライターに着目する。

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韓国のローカルシーンで注目を集めるカルチャーは? 現地の専門家が最前線を解説。今月は、青春の代弁者とも言える若きシンガーソングライターに着目する。

Kカルチャーの今をキャッチ「NOW ON SEOUL」連載

韓国の音楽チャートを熱心に追っているリスナーなら、最近「ハンロロ」というアーティスト名を頻繁に目にするようになったはずだ。「Landing in Love」と「0+0」。収録アルバムも異なり、ましてやタイトル曲ですらないこの2曲が、昨秋からじわじわと順位を上げ、今春の音楽チャートでトップテン圏内をせわしなく行き来してい るのだ。チャートにとらわれず韓国ポップス界隈を広く見渡している人々にとっては、ハンロロはとっくにおなじみの存在。

2022年3月リリースの「Let Me Love My Youth」は、新人としては異例とも言える大きな注目を集めたデビュー曲だった。今なお彼女の代表曲であるこのナンバーは、ライブの規模がキャパ400人から3,500人へと拡大していくその道のりにおいて、自分だけの花を咲かせようともがく同世代の「青き心」を応援し、慰めてきた。凍てつく冬の大地を割って芽吹く新芽のように、感情を吐き出しながら歌っていた粗削りなサウンドも、次第に洗練された輪郭を帯びていった。その間、異常な理想を夢見て宙を舞ったかと思えば(『Take-off』)、心安らぐ自分たちだけの家で、しばし疲れた羽を休め(『HOME』)、避けられない生と死という不確実性の中へ再び身を投じたりもした(『JAMONG SALGU CLUB』)。

TOMORROW X TOGETHERやテヨン、チェ・イェナといったK-POPアーティストとのコラボや、アルバムと同タイトルの初小説集『JAMONG SALGU CLUB』をベストセラーに導くなど、目まぐるしい日々の中でも、彼女が絶対に手放さなかったもの。それは「青春」だった。他者化されたり、ロマンティックに美化されたりしない「まさに今」。韓国という国で、全身全霊で時代に向き合って感じた振動こそが、ハンロロの音楽を支える力強い根幹となっている。その震えは、同じ季節を通り過ぎようとしている若者たちと深く共鳴する。一歩足を踏み外せばそのまま崖下に転落してしまいそうな不安の中、「私はあなたを見捨てない / あなたも同じ気持ちでしょ?」(「0+0」)と差し伸べられた手を、いったい誰が振り払えるというのだろうか。

今年2月に開催された「韓国大衆音楽賞」では、「今年の音楽人」賞を授与された。泥沼の青春を強く抱きしめ、自分自身すら救えないと諦めかけていた彼女が、今や人々と「私たち」という連帯を結び、肩を並べて歩んでいる。それがハンロロだ。

ハンロロ

2000年生まれのシンガーソングライター、ハンロロ(: @hanr0r0)。芸名は高校時代のニックネームに由来する。

ハンロロ

2026年第23回「韓国大衆音楽賞」では、「今年の音楽人」を受賞。

JAMONG SALGU CLUB

ベストセラーを記録した初小説集『JAMONG SALGU CLUB』は同名のアルバムから派生した(©authentic)

キム・ユナプロフィール画像
音楽ライターキム・ユナ

大衆音楽評論家と名乗り、K-POPからインディーズまで多様なジャンルをカバー。モットーは"音楽と愛が世界を救う"。最新の共著に『100曲でわかる! K-POPヒストリー 1992-2020』(アルテスパブリッシング)がある。

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