叶コレクション シークレットセール&オークション #3

日本経済のみならず世界の経済に多大な貢献をしている叶姉妹。資本主義の女神のような存在の姉妹が、ファンのためのイベントを開催しました。ファンを新たな消費のステージに引き上げるような、ハイブランドの逸品を特別価格で提供。「叶恭子幸せのアート&日めくり」を購入した人が参加できるイベントを取材させていただきました。

会場はポニーキャニオン(虎ノ門)だったのですが、続々集まってくるファンの女性たちも毛皮着用率が高くゴージャスです。女としてレベルが高い方々を見て、適当なニットを着てきてしまったことを後悔。

まず最初はひとり一品購入できるセール会場へ。はかないけれどかわいいから購入したというシャーロット・オリンピアの15万円はするシューズが2万円、セレブ御用達ルシアン・ペラフィネのカシミアニット1万円、マノロ・ブラニクのパンプス5000円、ウンガロのコサージュ1万円、ハイブランドのサングラス1万円均一、など、ふだん縁遠い世界ですが、かなり破格なことはわかります。ほとんどはタグつきの未使用品……。今まで服や靴、買いすぎたかな?とか抱いていたショボい罪悪感が、圧倒的な消費の前に消えていくのを感じました。叶姉妹ありがとうございます。ヴァレンチノのバラの形のコインケースを5000円で購入。中には家族連れで来ている熱心なファンもいましたが靴とサングラスで2万円なんて普通に買い物上手です。会場を出ると、虎ノ門の路上でさっそく買ったハイヒールをはいて、ためしに歩いている女性がいました。かなり高いピンヒールなので練習しないとうまく歩けません。

セールのあとは、お待ちかねの叶姉妹も出演するオークションタイムが。谷間が限界まで開いたシャイニーな衣装の姉妹が登場すると「わぁーっ!」と女性ファンの叫び声が。叫ぶしかないオーラと存在感です。

「今日は本気のオークションではなくて、私たちとファンの皆様の交流の中のお遊びだと思っています」と恭子さんはおっしゃいました。しかしオークションが始まってみると、「ミラ・ショーンの邸宅でご本人からじきじきに買ったファーとニットのコート」「世界に三台しかないフェラーリの自転車(おうちのインテリアのアクセントとして使用)」「カール・ラガーフェルドの白いミンクのテーラードコート(胸が大きくて入らなかったそう)」「美香さんがTSUTAYAに行くときくらいしか着なかったリンクスのファーの2500万円のコート(二人はすでに8000万円と4500万円のリンクスをお持ちだそうで…)」「恭子さんが持ち手にスカーフを巻いたヴィンテージのケリーバッグ(放置されていたのを美香さんが救出)」「カルティエのパーティーバッグ(ほとんど物が入らないけど100万円の札束くらいなら入るそう)」など、7点のファビュラスなラインナップに、人々の入札はヒートアップ。「70万!」「75万!」「80万!」…「200万!!」と、リンクスなどかなりの額に(それでも買った価格の10分の1以下の奉仕プライスに)。

「実は私、皆さんがそんなにお買いになるとは思ってなかったんです。でもこういう展開も楽しい」とエキサイトしていた恭子さん。「皆さんに喜んでいただけたらうれしいです」と、お二人は最後、帰るお客さんにひとりひとりにヨーロッパから空輸した紫のバラと、ジャンポールエヴァンのチョコレートというレベルが高すぎる手土産を手渡してくださるという至上のおもてなしが。叶姉妹のもとに富が集まってくるのは、それだけ人のためにお金を使っているからでしょう。富は循環しています。

楽屋でご挨拶させていただいたとき、恭子さんに「叶姉妹の持ち物を使うと金運が上がりますか?」と伺ったら「もちろんです。士気が高まり、人生の転機くらいになります」とおっしゃっていました。何か確実に、消費に対する意識や価値観が変わった感があります。実際に、4~50万円の服はお買い得な気がしてきました。豊かさは、自分の内側からわいてくるものだったんですね……。

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辛酸なめ子

漫画家、コラムニスト。埼玉県出身、武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。アイドル観察からスピリチュアルまで幅広く取材し、執筆。新刊は「妙齢美容修業」(講談社文庫)「辛酸なめ子の現代社会学」(幻冬舎文庫)。twitterは@godblessnamekoです。

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