今年はフランスの出版文化に注目! アートブックの祭典「第12回TOKYO ART BOOK FAIR」、東京都現代美術館で開催

東京都現代美術館では、2022年10月27日(木)〜30日(日)の4日間、「第12回TOKYO ART BOOK FAIR」を開催する。今年は国内外約200組の出版社、ギャラリー、アーティストが、自らアートブックの魅力を伝えるほか、フランスの出版文化を紹介する展示をはじめ多彩なプログラムが用意されているので必見だ。

「第12回TOKYO ART BOOK FAIR」が、2022年10月27日(木)〜30日(日)、東京都現代美術館にて開催される。今年は国内外約200組の出版社、ギャラリー、アーティストが参加。作り手たち自らアートブックの魅力を伝える。

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パリにある「Yvon Lambert Bookshop」。

今年で6回目を迎える、ひとつの国や地域に焦点を当て出版文化を紹介する企画「Guest Country」。今年はフランスを特集、同国の豊かな出版文化を多角的に紐解く展示やトークイベント、ワークショップなどを行う。

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「Yvon Lambert Bookshop」の外観。

「60 Years of Yvon Lambert」では、著名なアートコレクターであり、2012年にすべてのコレクションをフランス政府に寄贈したことでも知られるイヴォン・ランベールの活動を紹介。2014年、20世紀と21世紀初頭を代表するアーティストたちの展覧会を50年間にわたり開催し続けたギャラリーを閉廊し、パリ3区にブックストア、展示スペース、出版社を併設したより親密なスペースをオープンしたランベールは、キャリア初期からアートブックの重要性を理解し、1970年代にローレンス・ウィナーやソル・ルウィットらのアーティストブックを制作。ルイス・ブルジョワや河原温、クリスチャン・ボルタンスキーなどとのコラボレーションを通して限定版『bibliophilie』を発表したことでも知られている。

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パリのセーヌ川沿いの名物、ブキニストを模した展示も。

TOKYO ART BOOK FAIRの会場には、セーヌ川沿いに並ぶ屋台の古本屋、ブキニストを模したユニークな什器に専門性の高い書籍が並び、フランスのアートブックの多様性と個性を体現している。現地で話題のフランスのアートブック、ZINEやポスターなどさまざまなジャンルのアイテムを目利きがセレクト、フェアのためだけの特別なブキニストが登場するのでお楽しみに。

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「agnès b. loves art !」では、世界中の美術館やギャラリー、書店、学校、映画館、カフェ、また全世界のアニエスベーショップで約10万部が無料配布されるアート紙『ポワンディロニー』のアーカイブ展示も開催。

展覧会「agnès b. loves art !」では1997年にアニエスベーと現代美術家のクリスチャン・ボルタンスキー、現代美術キュレーターのハンス=ウリッヒ・オブリストの会話をきっかけに誕生したアート紙『ポワンディロニー』のアーカイブを展示。一方、「72 Saisons à la Villa Kujoyama / ヴィラ九条山 七十二候」では、フランスがアジアに保有する主要なアーティスト・イン・レジデンス施設、ヴィラ九条山にこの30年の間に滞在したレジデントたちのアートブックセレクションとともに、230人近くの寄稿者が語る今までの軌跡を記した記念出版を紹介する。

「Three Star Books, Paris are artworks」では、パリを拠点とする出版社、スリー・スター・ブックスのアートブックやエディションなどのアーカイブの中から、マウリツィオ・カテラン、サイモン・フジワラ、ライアン・ガンダー、ガブリエル・クリ、ジョナサン・モンク、ラファエル・ローゼンダール、田島美加、リクリット・ティラヴァーニャによる貴重なアートブックを展示。ラファエル・ローゼンダールによるペインティングを大胆に用いて、空間そのものがアート作品となるようなインスタレーションを展開するというから必見だ。

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エマニュエル・ペロタンによるブックストア、Perrotin Storeは世界3都市に展開。

また、会場ではパリ、香港、ニューヨーク、ソウル、東京、上海、ドバイにギャラリーを展開するエマニュエル・ペロタンによるブックストア、Perrotin Storeより、フランス人アーティストによる版画、カタログ、アーティスト・グッズなどをセレクトして展示・販売。さらに10月29日(土)には「フランスのアートブックシーンの現在地」と題したトークイベントが開催されるなど、フランスのアートブックに関する多彩な展示やイベントが用意されているのでお楽しみに。


特別展「BOTTEGA VENETA」では、ボッテガ・ヴェネタの新たなクリエイティブ・ディレクター、マチュー・ブレイジーによる初のコレクション「WINTER 22」のキャンペーンビジュアルをまとめた同名のフォトブックから、41のスチール写真や動画を展示。また、ボッテガ・ヴェネタが選書したアートブックも併せて展示されるので、こちらもお見逃しなく。なお、ボッテガ・ヴェネタのカスタマー登録をした人には、展示スペースにてフォトブックが配布されるそう。数量限定、なくなり次第終了となるのでお早めに!

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『花椿』の、資生堂創業150周年・『花椿』創刊85周年記念号の刊行を祝う展覧会も必見。

一方、「特別展『花椿』資生堂創業150周年記念号」は、資生堂創業150周年・『花椿』創刊85周年記念号の刊行を記念して開催。資生堂が1932年頃に制作していた、化粧品購入者への景品である「現代化粧百態繪端書」の現物を展示するほか、記念号の配布とともに2017年以降のバックナンバーも展示する。10月28日(金)には小林エリカ(作家/マンガ家)、穂村弘(歌人)、森岡督行(森岡書店店主)、志賀玲子(花椿アートディレクター/資生堂クリエイティブ株式会社)、塚田優子(株式会社資生堂 花椿編集室)が参加するトークショー「現代化粧百態繪端書にみる、美のすがた」も開催する。

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リソグラフ特別企画「Risopioneers」では、リソグラフ界におけるレジェンド的な存在として知られるオランダのKnust Pressによる展示も行われる。

リソグラフ特別企画「Risopioneers」は、近年世界各国のアーティストたちの間で人気の、理想科学工業株式会社が開発したリソグラフという印刷技法にまつわるもの。東京を拠点とするリソグラフスタジオ、Hand Saw Pressが企画する特別プログラムでは、現在のリソグラフシーンを牽引するノルウェーのPamflettと、30年以上の歴史を持つオランダのKnust Pressを招いて展示を行うほか、上映会、トークショー、ワークショップを開催する。


他にも個人で活動を行うアーティスト、出版社を主な対象とした、新たな才能とアイデアが集まる「ZINEʼS MATE」エリアにも注目。TOKYO ART BOOK FAIRによるポッドキャスト番組「ZINEʼS MATE Podcast」では出展者たちへのインタビューも行っているので、ブックフェアをより楽しむためにも、ぜひチェックしてほしい。



TOKYO ART BOOK FAIR 2022
会期:2022年10月27日(木)〜30日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2F、エントランスホール ほか(東京都江東区三好4-1-1)
時間:10月27日(木)17:00〜20:00/28日(金)〜30日(日) 10:30〜19:00
入場料:一般 ¥1,000 ※要事前予約(https://artsticker.page.link/TABF2022)
https://tokyoartbookfair.com/