大正ロマン香る、この夏の装い

日盛りの鮮やかな光をよけて、私は微睡のなかにいました

大正ロマン香る、この夏の装いの画像_1
浴衣¥25,000(反物価格)・半幅帯¥9,000/堀井 ヘアピン 各¥2,100・三分紐¥3,500・帯留め¥12,000/SUZUKI

さらりとした肌ざわりで、普段着の素材として愛されてきた綿麻紬には、素直で飾らない魅力がある。薄紅色のぼかしの市松文様に麻の葉柄の半幅帯を合わせ、どこか懐かしく甘やかな雰囲気に。

陰は心地よく体を包む。けれど、日向の匂いがどうにも懐かしくて

大正ロマン香る、この夏の装いの画像_2
浴衣¥67,000(反物価格)/竺仙 半幅帯¥20,000/堀井 かんざし¥16,000・帯留め¥28,000・二分紐¥4,000/SUZUKI

凛とした佇まいの江戸紫の地に、清廉な撫子のつなぎ柄を白く染め抜いて、上品に。紅梅織りは、薄羽のように透ける夏らしい素材。ほのかに色香の漂う繊細な奥行きが室内の陰影に涼を運ぶ。

いつか誰かが教えてくれたのは、微風を肌に感じること

大正ロマン香る、この夏の装いの画像_3
浴衣¥57,000(お仕立て上がり価格)/呉服 鈴木 竹籠¥19,000・コーム¥38,000・根付¥8,000・桐下駄¥12,000/SUZUKI 兵児帯¥35,000/竺仙

鳩が羽ばたき、平和を謳う空。清らかな祈りを描いたファンタジックな綿絽の浴衣。小千谷縮の兵児帯、髪に挿した櫛、桐下駄の鼻緒。それぞれ、澄み切った青空を思わせるやさしい色合いでまとめて。

雷を宿した雲の、遠い音に耳を澄ませること

大正ロマン香る、この夏の装いの画像_4
浴衣¥41,000(反物価格)/竺仙 半幅帯¥9,000/堀井 コームセット¥18,000/SUZUKI

藍色の浴衣に赤の帯、梅の花を絡ませた格子柄と目に鮮やかな市松柄。小気味のいい色と柄のリフレインが、愛らしく、モダンな印象。雷鳴が連れてくる夕立の予感に、少しだけ胸を躍らせながら。

おはよう。日向は気持ちがいいね

大正ロマン香る、この夏の装いの画像_5
浴衣¥45,000(お仕立て上がり価格)/Wing 半幅帯¥23,000・ヘアスティック¥18,000・三分紐¥2,500・帯留め¥25,000/SUZUKI

目の奥で弾む太陽と空の残像、プリズムのような色と柄は、昭和初期の銘仙を型友禅で復刻したもの。昼下がりの微睡のあとは、笑顔によく似合う、朗らかな一枚を纏って出かけよう。

そして、私は思い出す。私が――――だったこと

大正ロマン香る、この夏の装いの画像_6
浴衣¥29,000(反物価格)/堀井 半幅帯¥28,000・帯留め¥16,000・三分紐¥3,500/SUZUKI

伝統的技法の注染を用いて描く、墨絵のような濃淡。ところどころに浮かぶホオズキ色が鮮やかな印象を残す。シンクロするように珊瑚色の帯留めをあしらった有松絞りの帯には、のびやかな猫の姿が。夢と現を漂うように、夏衣で遊ぶ時間は過ぎてゆく。

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