ランウェイからイベントまで、パリ・オートクチュール週間ハイライトvol.1

1月21日から4日間に渡った、19年春夏オートクチュールのファッションウィーク。ここでは、花を巡った3つのコレクションをご紹介しましょう。

まずはオペラ座のフォワイエで展開された、ファンタジー溢れるスキャパレリのランウェイ。テーマの一つ“花に溢れる庭”は、エルザ・スキャパレリの子供の頃の思い出にちなんでいるとか。さまざまな花はシルエットに、色合いに、刺繍やプリントに、とあらゆる形で解釈され、スタイル・ディレクターであるベルトラン・ギヨンの力量を感じさせました。

一方サヴォアフェールを駆使した花が咲き乱れたのは、シャネル。この朝外では雪が降り始めましたが、会場のグランパレに足を踏み入れると、中の景色は地中海の別荘の庭園!アイコニックなツイードのスーツに始まったショーでは、多くのルックで耳元にも花があしらわれています。ほどなく花の刺繍が登場し、後半に向かっては羽からスパンコール、ビーズなどを素材にした色とりどりの花が、至るところに。

そして特筆すべきは、ヴァレンティノ。演出や奇をてらったテーマに頼ること無く、純粋に服の美しさで勝負する彼の姿勢が、私は大好きです。今回のコレクションは、目の周りを花びらに見立てた羽で縁取ったメイクアップからレーシーなストッキングまで、文字通り頭のてっぺんからつま先まで、百花繚乱!花モチーフのジャカードや鮮やかな色彩のシフォンなど、軽やかな生地を惜しみなく使った各ルックには、花の名前がつけられていました。

一方、オートクチュール週間ならではのイベントとして、今は亡きクチュリエへのオマージュが捧げられました。その1つがクリスティーズで開かれた、ムッシュ・イブサンローランのオークション。彼の長年の友人だったカトリーヌ・ドヌーヴが、自身のワードローブを一部手放すことになったのです。「リヴ・ゴーシュ」ラインの数点を除き、そのほとんどがオートクチュール。5日間に渡る展示の後24日には、ロットの半分近くが売りさばかれましたが、残り140ロットはオンラインのみでの販売で、1月30日フランス時間0時まで競り落とし可。見積額約3万円からなので、貴重な一点の入手も夢じゃない!?

また、アズディン・アライア・ギャラリーでは新しい展覧会「エイドリアンとアライア アート・オブ・テーラリング~仕立ての技術~」が幕をあけました。エイドリアンとは、アライアが尊敬し、影響を受けたと言う1930~50年代のハリウッドのコスチューム・デザイナー、エイドリアン・ギルバートのこと。本展ではアライアが蒐集していた彼のスーツやジャケットと、アライア自身による作品を平行して展示。両者が広い肩とギュッと絞ったウエストで表現した、力強いフェミニンさが感じ取れます。

オートクチュール・コレクションのレポートは、ミナコラム次回に続きます。お楽しみに。

text: Minako Norimatsu

 

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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