とにかく一度ライブを観て欲しい

基本的に、その方が格好がつくと思って、十代の頃から無理して洋楽ばかり聴いてきたクチです。その日着る服のテイストによって聴くジャンルを変えるのは、今でも変わらない自己流の楽しみ方。たとえば、ルーズなダメージデニムでグランジテイストな日は、やっぱりカート・コバーンのサウンドが聴きたくなるし、もう少しミニマルにまとめた日なら、The Orb やジェフ・ミルズがしっくりくる(メンツがやたらと90年代なのは、世代のせいです)。
ちょうど90sファッションがリバイバルしている昨今、昔は背伸びして ”ガンバって” 聴いていた音楽も、ようやく自然体で楽しめるようになった気がして、懐かしい反面どこか新鮮さを感じている今日この頃。

photo by SYNCHRONICITY STAFF

ただ、洋楽名盤もいいけど、日本のインディーズシーンだってまったく捨てたもんじゃありません。最近は特にそう感じるようになりました。そして先日、今年で開催11年目を迎えた都市型フェス SYNCHRONICITY'16 に行ってきて、その思いはいよいよ確信にいたりました。
その日トリを務めた渋さ知らズや、懐かしのクラムボンなどベテラン勢はもちろんだけど、何より若手のバンドがすごくカッコよかったんです。彼らの熱量を生で感じられて、やっぱりライブは楽しいなぁとつくづく思った一日でした。しかし人混みの中の立ちっぱなしは、もうそろそろキツいかも……。

そんなわけで今日は、あの日会場でひときわ観客を沸かせていた注目のバンドを1組ご紹介させてください(本当はあと2組いるんだけど、それはまた別の機会に)。


photo by Genta Hisada

京都を拠点に活動するjizue(ジズー)というバンドです。ギター、ベース、ピアノ、ドラムの4ピース編成で、ボーカルはいません。
誤解を恐れずに言うと、第一印象はなかなか取っ付きにくい。ジャズやラテンのムードを感じながらも、入り混じるハードコアな要素や、予測のつかない変拍子、息をのむようなブレイクのタイミング。全体的にとてもスリリングなサウンドで、キャッチーさはほとんどありません。それでもなぜかものすごく惹きつけられるのは、メンバーひとりひとりの圧倒的な演奏力があるから。

数年前からひそかに追いかけていて、都内でのライブには頻繁に足を運んでいるのですが、圧巻のライブパフォーマンスは毎回心に迫りくるものがあります。何ていうんでしょうか、体の奥底から小刻みに揺さぶられるような、ゾクゾクする感覚です。
その高い演奏力が評価され、フジロックやグリーンルームなど大型フェスへの出演も果たし、カナダや中国でもツアーを敢行するなど、活躍の幅はどんどん拡大中。

それと、尖った音楽性とは裏腹にメンバー全員の人柄の良さもまた魅力のひとつ。ライブの合間に挟み込まれる気の抜けたような京都弁のトークは、キレのある演奏とのコントラストが利いていて、個人的にはかなりグッとくるパフォーマンスです。ライブを観るたびに、会って話をするたびに、どんどん深みにハマっていく。非常に中毒性のあるバンドなのです。

今年で結成10年という節目を迎え、525日には新作アルバム「story」がリリースされます。ひと足早く聴かせていただきましたが、タイトルが示す通り彼らの10年間の “物語” がギュッと凝縮された、実にドラマティックな作品に仕上がっています。ご興味のある方は、ぜひ聴いてみてください。でも、百聞は一見に如かず。どちらかというとライブで実際に生演奏を観て欲しいです。とにかく迫力がスゴイんだから!

ちなみに6月からは全国ツアーも始まるそう。また近々、彼らに会える日が楽しみです。

※ライブ情報やCDに関するお問い合わせは、bud music inc. まで。
http://www.budmusic.org/

“エディターHAYASHI”

エディターHAYASHI

生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと長いベースソロが好物。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。

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