「流動体について」について

すみません、今回は先週金曜のMステを正座して視聴した方にはわかるであろうやや個人的な内容です。

90年代の半ば、私は高校生でした。東京とはいえ三多摩地区の高校だったので、センター街やギャルとは無縁。のどかな学生生活を送っていました。
毎月楽しみでしょうがなかったのが、3日と18日。勘のよい方ならここでうすうすお気づきですね、雑誌『オリーブ』の発売日です。帰り道に雑誌を買い、部屋で読むのが至福の時でした。ええもう、当時の理想のタイプはもちろん「オザケン」です。当時の私は変なパーマかけちゃったりする、まあイケてない女子高生だったわけですが「なんで学校にはもっさい男子しかいないんだろう」と、自分のことを完全に棚に上げつつ夢想する毎日でした。

何でこんなことを思い出したかというと、先週、小沢健二の19年ぶりのシングル「流動体について」が発売されたから。そして、火曜日の朝刊に入っていた新譜発売の新聞広告に、なんだかとても心を打たれたから。

その新聞広告は、全面に小沢くん(ってもう言っちゃいますね、すみません)のちょっとユーモラスなモノローグがぎっしり掲載されているというもの。瞬時に心は「ドゥワッチャライク」(『オリーブ』の小沢健二連載コラム)を読んでいた頃に逆戻り。わくわくしながら読みました。その日の朝は、いつまでも朝食を食べずに遊んでいる子供にイライラして、思わず声を荒げてしまったばかり。自己嫌悪と反省。モヤモヤしていたところに、3歳の息子さんとのクスッと笑えるエピソードが沁みました。(何よりも文章の中に「ジュウオウジャー」なんて単語が出てきたことに驚き!)

あの頃雲の上の王子様だと思っていた人にもいろいろなことがあって、今は子供がいたりして、生活は続いていて。まわりの人にも、もちろん自分にも。選ばなかったもの、こうなるかもしれなかった人生、いろいろありながらも、みんな2017年を生きているんだなー。すみません、完全におばちゃんの感傷が炸裂しておりますが、今回の新譜、素敵です。歌詞をかみしめてジーンとしながらも、明日に向かう気持ちになれるというか。

今回の中年たちの興奮ぶりを「何だこれ」と眺めているお若い方は、現在特設サイトで過去のMVがフルで視聴できますので(期間限定)見てみてください。ほんとにカッコよくて王子様なんですよー!

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エディターOKUDA

ミニマリストに憧れながらも、己の物欲と食欲から逃れられません。好物は生ビールと生牡蠣と生肉、そして大きなイヤリング。

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