魔法にかかるバッグと本 #SPUR9月号

「魔法にかかったような」と表現したくなる運命的な出会いや摩訶不思議な出来事。子供のころは信じていたけれど、いつの間にか冷静な目で見るようになりました。大人になったそのことに後悔はないのですが、夏の夜、望遠鏡を担ぎ出して天体観測に行かなきゃならない気がするムッとした夜には、「魔法にかかる」体験をちょっとだけ思い出してみたくなるのです。
というわけで半ば強引に、SPUR9月号から夏の夜におすすめの二つの特集をご紹介します。

ひとつめは、新作バッグ特集。ネクストシーズンの注目株を32ページにわたり取り上げます。写真は、「ビューティフル・バッグを連れて」特集のなかで紹介したプラダのショルダーバッグ。いにしえの書物を思わせるデザインは、特別な物語を感じさせます。ふとした瞬間に視線がぶつかって、魔法にかかるように恋におちる。そんな美しいバッグとの出会いを思い出してみませんか。他にも、「ネイルとバッグのモードな関係」、「新作バッグの気になる傾向と対策」、「まじめなバッグとおかしな2人」ほか、32ページ盛りだくさんでお届けします。

ふたつめは、作家スティーヴン・ミルハウザー氏の初来日インタビュー。そこで取り上げた新作『魔法の夜』(柴田元幸訳/白水社刊)は、アメリカ東海岸の海辺の町を舞台にした中篇小説です。夏の夜、眠らずにいるのはさまざまな境遇の老若男女、さらには百貨店のマネキンや屋根裏のおもちゃも加わり不思議な一夜が描かれます。しかしそれはファンタジーではなく、リアリズムを内側から押し広げた結果だとミルハウザー氏は語ります。その意味とは? 貴重なインタビュー、ぜひ本誌でお楽しみください。



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