人気スタイリスト4人のモード心と春の服「そうです、私は飽きっぽい」

半年ごとに一新されるモードの世界。それがファッションの醍醐味であり、その変化に私たちはわくわくする。だから、飽きっぽくていいんです! モードの最前線で活躍している人気スタイリスト4人が、昨年とは一変した今の気分を語る。

1.70年代西海岸風スポーツクチュール/飯島朋子

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ポロシャツにはキャミソールを重ねてフェミニン要素をプラス。トラックパンツもサイドにレースがあしらわれたものを。クチュールライクなチョーカーで首元を飾って。
ジャケット¥510,000/エトロ ジャパン(エトロ) ポロシャツ¥12,000/ラコステお客様センター(ラコステ) キャミソール¥7,500/バースデス パンツ¥39,000/オンワード樫山 お客様相談室(カルバン・クライン) チョーカー(参考色)¥108,000/マーク ジェイコブス カスタマーセンター(マーク ジェイコブス) スニーカー「ライトン」¥117,000/グッチ ジャパン(グッチ)

 

トラッドは封印。カラフルな柄物が着たい

マニッシュなスタイリングを得意とする飯島さんは、自身もつねにパンツスタイル。トレンチやシャツなど、ベーシックな色みのトラッドなアイテムを愛用していた。しかし、年齢を重ねるにつれ、心境の変化が。「肌のくすみが気になってきて(笑)、鮮やかな色や柄物を着たくなりました。まずは寒色から始めてみようと」。そこで選んだのがエトロのフラワーモチーフのジャケット。全面にレースが施されている。「今年は"スポーツクチュール" をテーマにしたい。スポーティなアイテムを用いながら、華やかなジュエリーやフェミニンな要素をミックスするんです。これまではアメリカで言うならきちんとした東海岸スタイル。今はゆるい西海岸のムードで着たいですね」

2.ジャケットをドレスとして着る/山本マナ

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ジャケットに対して、足もとは白いタイツ+スニーカーで。ナイキのスニーカーはボリュームがあるものを選ぶのがベストバランス。
グラデーションカラーのジャケット¥264,000/メゾン マルジェラ トウキョウ(メゾン マルジェラ) 2 枚重ねてはいたタイツ 各¥1,300/ぽこ・あ・ぽこ(パメラマン) スニーカー¥15,000/NIKE カスタマーサービス(ナイキ スポーツウェア)

 

まったく着ることがなかったジャケットにトライ

ピュアな印象なのに内に秘めた強さがある。それは、山本さんのスタイリングにも、自身のファッションにも言えること。「自分で着るときはレイヤードなど、凝ったことはあまりしません。ひと目でぱっと伝わる感じが好き」。オーバーサイズのスウェットやライダース、ブルゾンなど、リラックスしたアイテムを好んでいたが、最近メゾン マルジェラのジャケットを試しに羽織ってみて驚いたそう。「堅い印象だったり肩に力が入るようなアイテムはまったく着なかったのですが、これはいつものスタイルに意外としっくりきたんです。ジャケットを買ったのは初めてと言っていいほど。ここ数年、服を着ることが楽しい。型にはまらずにどんどん挑戦していきたいと思っています」

3.コケティッシュなパリの不良娘のように/清水奈緒美

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シックなドレスに、アクセサリーも柄もソックスも、あえてレイヤードして盛るのがスタイリングのポイント。
コート¥375,000・ドレス¥1,400,000(ともに予定価格)/セリーヌ ジャパン(セリーヌ バイ エディ・スリマン) ヴィンテージのイヤリング(フープ)¥29,000・(白)¥28,000・ストール¥26,000・ブレスレット(右手)¥38,000・(左手・シルバー)¥15,000・(ゴールド)¥50,000・ベルト¥60,000/ライラヴィンテージ ストッキング¥1,300(Jonathan Aston)・リブソックス¥1,000(We Love Colors)/ぽこ・あ・ぽこ ブーツ¥260,000/ジョン ロブジャパン(ジョン ロブ) 髪とバスケットにつけたリボン・バスケット/スタイリスト私物

 

パリシックスタイルをセリーヌ流にアップデート

シックなスタイリングを信条とする清水さん。自身はストリートブランドも好きで、足もとはスニーカーが最近の定番だった。それが、新生セリーヌを見たことで一変。「エディ・スリマン流にアップデートされたパリシックなスタイルに心奪われました。イメージしたのは、60年代のアイドル、マリアンヌ・フェイスフルや、作家のフランソワーズ・サガン。ともにドラッグやアルコールに溺れたりしてスキャンダラスな存在でしたが、佇まいや言動に育ちのよさがにじみ出ていたのが魅力」。今季セリーヌがメインで打ち出しているミニ丈にも10年ぶりに挑戦するつもり。「どんどん脚を出したい。足もとはメンズライクなシューズで。当分スニーカーは履きません!」

4.素材使いで攻める、究極のクリーンネス/飯田珠緒

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シースルートップスとパンツ、メタリックのパンティ、セラミックのピアス、PVCのシューズ。フォルムと色はシンプルでも多様な素材を選ぶことで、スタイルは研ぎ澄まされる。
シースルートップス¥76,000・中に着たタンクトップ¥28,000/ドリス ヴァン ノッテン シースルーパンツ¥93,000/アデライデ(ピーター ドゥ) 中にはいたメタリックのパンティ¥9,000(ベルベットソックス バイ シモーネワイルド)・ピアス(左・両耳あり)¥15,000・(右・両耳あり)¥15,000(ともにジー・ビンスキー)/フィルグショールーム チェーンネックレス¥503,000/クロムハーツ トーキョー(クロムハーツ) 靴¥93,000/ジャンヴィト ロッシジャパン(ジャンヴィト ロッシ)

 

ストリート系から、クリーンなムードへシフト

最新モードで「今」を表現したいとき、その審美眼で絶大な信頼を得ている飯田さん。フーディとデニムにスニーカーを履き、ヴィンテージのレオパードのファーコートを羽織るといったストリート系スタイルにはそろそろ飽きているよう。「とにかくきれいに服を着たい。だらんとしたオーバーサイズが中心でしたが、徐々にジャストサイズにシフトしていく予定」。セリーヌで経験を積んだ新鋭、ピーター ドゥは、今の気分を体現するブランドのひとつとして注目。その透けるパンツからはメタリックのパンティをあえて見せる。「一見シンプルでも、いろいろな素材を大胆にミックスさせて静かに攻めたい。そしてジェンダーレスなムードにまとめるのが新しい季節の気分です」

SOURCE:SPUR 2019年5月号「そうです、私は飽きっぽい」
photography: Hiroko Matsubara styling: Tomoko Iijima, Mana Yamamoto,Naomi Shimizu, Tamao Iida hair: Koichi Nishimura〈angle〉 make-up: NOBUKO MAEKAWA〈Perle〉 model: Marland illustration: Shoko Takahashi edit: Itoi Kuriyama