12星座別、あなたの2020年 by 真木あかり

価値観が変わる時代、しなやかに生きるために

 2020年は木星が山羊座に滞在、その山羊座では土星が行きつ戻りつしながらこの2年余りを総括し、年末の「グレート・コンジャンクション」に向かっていきます。グレート・コンジャンクションとは、木星と土星が20年に一度、同じ場所に集まるというもので、時代を支配する雰囲気ががらりと変わるという一大イベント。特に今回は200年に一度のレアな機会でもあり、金銭やモノなどの物質的価値が支配する世の中から、知性やコミュニケーション、移動といった形のないものの価値が重視される時代へと移ります。価値観やプレイヤーは大きく変わり、「たくさん稼いでいるからすごい」「資産があるから評価される」といったことは、もうこれまでほどには通用しなくなります。それよりも「何を考え、何をするか」「既存のフレームワークにとらわれず、どれだけ自分のペースで自由に生きられるか」がクレバーでかっこいい、という流れになっていくでしょう。仕事も恋愛・結婚も、縛られないものになっていきます。

 グレート・コンジャンクションが起きるのは’20年12月22日。20年、200年という大きな節目を前にして、私たちは何を意識して生きればいいのでしょうか?

 ひと言で言えば「本物の努力」をやりきること、これに尽きます。粘り強く自分を磨き、実力を積み重ねることです。’00年からの20年、私たちはよりたくさんのものを得ようともがき、収入を上げようと頑張ってきました。’21年あたりからは、飛躍的に自由に、思考の幅を大きく広げてこそ生きやすくなってくるでしょう。人とのつながりも、利害関係や上下関係で縛り合う・縛りつけるようなものではなく、お互いをより高め合うための理想的なつながりをつくっていけます。マウンティングする人、男女の枠組みにとらわれすぎてしまう人は、次第に居心地が悪くなってくるかもしれませんね。

 こうした流れに乗るために必要なのが「本物の努力」です。高く飛翔するためには翼を支える筋肉が必要なように、声を届けるためには適切な言葉選びができるだけの知識が必要なように、ベースができていなければ、形のないものの価値というのは非常にもろく、あやふやなものになってしまうのです。

 カギとなるのが、おそらく’17年末あたりからあなたが直面し、頑張って向き合ってきた「試練」。やりたいことも我慢して、人が遊んでいるときもじっと耐えて頑張ってきたことはありますか?「もっと頑張らなくては」と自分を駆り立てて、ストイックに取り組んできたことはあるでしょうか。逃げたい、楽になりたい。そんなふうに感じていたことに、’20年は力強い追い風が吹きます。いつの間にか、自分に「なんとかする力」が備わっていたことに気づく人は多いでしょう。世の中的な「すごい」とは違うかもしれないけれど、自分だけが知っている大切な結晶。手足を動かしやすくなる、つまり前よりも逆境をしのぎやすくなることでそれに気づく人も多いことでしょう。

 3月から7月にかけては、年末のグレート・コンジャンクションに向けた「始まりの始まり」のような予兆を感じる人もいらっしゃるかもしれません。テクノロジーの暴走、というものが世の中的にあるとしたら、ちょっとストップがかかります。便利さと私たちの心のバランスを、現時点でちょうどいいものにしていくような流れがあるでしょう。

 7月から12月頭までは、再び’17年頃からの試練に立ち向かうことになります。これまでの経験を振り返って「わぁ嫌だな、たまったもんじゃないな」と思う人もいるかもしれませんが、大丈夫。ここまでの2年半であなたが経験したことの「最終試験」のようなものであり、あなたはずっと頑張って過去問を解いてこられました。特に3月頃まで必死でやってきた方なら「あっ、この問題知ってる!楽勝!」といったことも、十分起こりうるだろうと思うのです。

 こうした試練は、なぜ私たちに与えられるのでしょうか。できたら楽に生きたい、ほどほどの人生でいいから苦労せずにいたいという考え方もあるでしょう。ただ、試練のなかで私たちはときに自分を曲げ、自問自答しながら心を揉んで、しなやかな強さを身につけることができます。それこそが、「楽に生きる」ことを実現するのではないかと、私は考えています。

 冬が来る前、北国では植木の枝を縄で吊り、雪の重みで枝が折れないように「雪吊り」をします。この雪吊りが施されるのは、堅い木です。しなやかな枝を持つ木は枝がしなって雪を落とせるので、しなくても大丈夫なんですね。もちろん木の形状もありますから単純に比較はできないでしょうし、木に優劣があるわけではありません。堅い木も柔らかい木も、それぞれに素敵です。ただ、自分で努力をして変えることができる人間の心を雪吊りになぞらえていうならば、堅さはもろさにもつながる、といえるでしょう。人生で時折訪れる、冷たく重い雪の季節。それをしなやかに受け止めていくために、星々はチャンスをもたらしてくれているのだろうと思います。変わりゆく時代の前の、特別な試練の一年を、精一杯よきものにしていきましょう。

占い監修 Akari Maki/まきあかり 四柱推命を中心に占星術や九星気学、タロットカードを用いて鑑定・執筆を行う。『2019年下半期 12星座別あなたの運勢』(幻冬舎)など書籍の執筆をはじめ、占いアプリの監修や個人鑑定でも活躍。
Twitter : @makiakari123

SOURCE:SPUR 2020年2月号「“読む”2020 リボーン占い」
illustration: Lee Izumida text:Akari Maki

ターニングポイントを迎えたり、大事な下積みの時期だったりと2020年はどの人にとっても大切な一年。どんな心構えで日々を過ごすべきか、真木あかりが総合運を丁寧に解説。心強い言葉であなたをエンパワメントする