知って、手に入れる【ダイヤモンド】。ずっと愛せる逸品の選び方

地中から探し出され、人の手で磨かれることで光り輝くダイヤモンド。一生ものを手に入れるなら、背景をきちんと学びずっと愛せる逸品を選ぼう。

ハリー・ウィンストン

ハリー・ウィンストン ペンダント「クラスター」
ペンダント「クラスター」〈Pt、ダイヤモンド〉¥2,431,000/ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション(ハリー・ウィンストン) ベスト¥47,300/ロンハーマン(エブール フォー ロンハーマン) 中に着たブラ¥12,100/BIOTOP(ヨー ビオトープ)

5つのペアシェイプ・ダイヤモンドが立体的に重なる技巧的なデザイン。創始者の自邸に、クリスマスにかけられていたヒイラギのリースの葉が重なる様子からイメージされている。ハリー・ウィンストンではダイヤモンドの品質基準である、4C(カラット・カラー・カット・クラリティ)とは別のCとして個性(Character)という独自の基準を追加。石そのものの個性を活かすデザインと融合する贅沢を堪能したい。

ティファニー

「ティファニー Tワン」「ティファニー ロック」
バングル(右)「ティファニー Tワン」〈RG、ダイヤモンド〉¥3,850,000・(左)「ティファニー ロック」〈RG、WG、ダイヤモンド〉¥2,255,000/ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク(ティファニー) ブラ¥12,100/BIOTOP(ヨー ビオトープ) タイツ¥7,040/ショールームリンクス(ババコ)

2019年よりティファニーは0.18カラット以上のダイヤモンドを個別に登録し、原産地情報が追跡可能となった。トレーサビリティへの真摯な取り組みは選ぶ側としても重視したい要素に。2連のパヴェ ダイヤモンドのバングルは一本でも印象的だが、カッティングエッジなフォルムのタイプと重ねるとよりクール。

ピアジェ

ピアジェ リング「ポセション」
リング「ポセション」〈WG、ダイヤモンド〉¥3,806,000/ピアジェ コンタクトセンター(ピアジェ)

リングの中央2列がそれぞれくるくると回るプレイフルなリング「ポセション」。機械式時計の技術を活かした精巧なデザインだ。ホワイトゴールドの上品な地金とリズミカルに整列するダイヤモンドのコンビネーションが目を楽しませる。動くことでさまざまな角度から光を取り込めるので、ダイヤモンドがいっそう輝きを放つ効果も。全方位的にきらめくリングにノックアウトされたい! 

グラフ

グラフ ピアス「ザ グラフ アイコン」
ピアス「ザ グラフ アイコン」〈WG、ダイヤモンド〉¥2,570,000/グラフダイヤモンズジャパン クライアントサービス(グラフ) ベスト¥47,300/ロンハーマン(エブール フォー ロンハーマン) ブラ¥12,100/BIOTOP(ヨー ビオトープ)

グラフが誇る高品質なハートシェイプダイヤモンドが輝くピアス。愛らしい姿とは裏腹に卓越した研磨技術が必要とされるカットだ。ハートシェイプ専門の職人によってカットされたストーンは、ロンドンの工房で手作業でジュエリーに仕立てられる。原石の入手から制作まで自社で行うことでかなう確かな品質に惚れぼれ。

ルイ・ヴィトン

ルイ・ヴィトン ピアス「LV ダイヤモンド」
ピアス「LV ダイヤモンド」〈WG、ダイヤモンド1.00ct〜〉¥3,355,000〜(片耳)/ルイ・ヴィトン クライアントサービス(ルイ・ヴィトン)

メゾンの伝統を物語るモノグラム・フラワーモチーフを上質なダイヤモンドで表現した逸品。特許取得済みのエクスクルーシブな「LV モノグラムスターカットダイヤモンド」を、センターにセットし、その複雑なファセットから比類なき輝きを生み出した。品質基準の4Cの評価も高いダイヤモンドを、信頼できる供給源より調達し使用している。

ディオール

ディオール リング「ローズ ディオール バガテル」
リング「ローズ ディオール バガテル」〈WG、ダイヤモンド〉¥1,900,000/クリスチャン ディオール(ディオール ファイン ジュエリー)

リングは日常でも目につきやすく、ダイヤモンドの多彩な輝きを常に堪能できるアイテム。ホワイトゴールドでバラのシルエットをかたどり、ダイヤモンドをパヴェ状に配したデザインは優美な印象。数千品種のバラが咲き誇るパリのバガテル ローズガーデンにちなんで名付けられたコレクションのひとつだ。繊細なセッティングが織りなす、こまやかな光を楽しめる。

スタージュエリー

スタージュエリー ネックレス〈Pt950、ダイヤモンド〉・〈Pt950、ダイヤモンド〉
ネックレス(上)〈Pt950、ダイヤモンド〉¥275,000・(下)〈Pt950、ダイヤモンド〉¥242,000/スタージュエリー 表参道ヒルズ店(スタージュエリー)

エクセレントカットを施したセンターストーンの周囲をダイヤモンドが取り囲み、栄光の象徴と言われる"HALO(ヘイロー)"をデザイン。ハレの日もデイリーにも合わせやすいタイプ。横一列に10粒のダイヤモンドを強弱つけて配したネックレスも華やか。

スピネリキルコリン

スピネリキルコリン リング
リング(人さし指)〈SV、ホワイトダイヤモンド、K18YG、グレーダイヤモンド〉¥1,485,000・(薬指)〈K18RG、ホワイトダイヤモンド、K18YG〉¥825,000/サザビーリーグ(スピネリキルコリン) タイツ¥7,040/ショールームリンクス(ババコ)

LA発、コンテンポラリーなデザインのブランド。マスキュリンなボリューム感と繊細なダイヤモンドのコントラストが絶妙。つけ方も工夫できるので楽しい。

アーカー

アーカー ピアス「シャンデリア フローグラン」
ピアス「シャンデリア フローグラン」〈K18YG、ダイヤモンド〉¥1,100,000/アーカー ギンザシックス店(アーカー) ジャケット¥55,000/POSTELEGANT

研ぎ澄まされたゴールドのバーから流れるようなダイヤモンドがシャンデリアのよう。テニスチェーン状のダイヤモンドは可動域が広く、フレキシブルに揺れる楽しさも。動くたびに、耳もとに輝くきらめきに目が離せなくなりそう。デイリーな装いに静かに寄りそって。

ハム

ハム シグネットリング
シグネットリング〈Pt、ダイヤモンド〉¥740,300(受注生産)/エスケーパーズオンライン(ハム)

ひとりひとりの個性に寄り添うシグネットリングはマスキュリンな趣でモードマニアも熱視線を注いでいるアイテム。リングのシャンク、フレーム、文字のデザインや素材の組み合わせを選んでオーダーできる。ダイヤモンドでフレームを彩ったタイプはリュクスな表情をたたえて。職人たちによる手仕事のこまやかさが光る。

ジュエリージャーナリスト、本間恵子氏に聞く。今、価値のあるダイヤモンド

宝石の中でも最上級であるダイヤモンド。そこに込められた物語や類いまれなる技術の進化を知ると、その魅力は増すばかり。ジャーナリスト本間恵子さんに、価値を見極めるポイントを学ぶ。

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ダイヤモンドの持つ装飾性をあえて排除することで、より本質的な美しさを浮き彫りにしたシハラのデザイン。正八面体でカットされないダイヤモンドは神秘的な趣。リング「Un-Signet Rough Diamond Ring 02」〈K18YG、ダイヤモンド〉¥435,600 ~/シハラ トウキョウ

宝石の王様は どこから来たのか?

エンゲージやマリッジではなく、自分で手に入れるダイヤモンドは格別に“あたらしい贅沢”なものといえる。長い歴史の中で人間はダイヤモンドになぜ魅了されてきたのか、どう選べばいいのか? ジャーナリストの本間恵子さんに聞いた。まずはダイヤモンドが“宝石の王様”と呼ばれるゆえんから。

「ダイヤモンドの揺るぎない価値というのは、その輝きが、ほかの石と比べても断然美しいという点に尽きると思います。天然の物質の中で、たとえば水なら約1・3、ガラスは1・4〜2・1ほどですが、ダイヤモンドは約2・4の屈折率を誇ります。光を浴びると、表面もですが、石の中に光が入って屈折しながら反射して、この上ない輝きが生まれます」

ダイヤモンドは地球上で最も硬い物質。その稀少性から歴史的にも大切にされてきた側面がある。

「人類が初めてダイヤモンドに出合ったのは紀元前4世紀頃のインド。昔はダイヤモンドが採れたのはインドだけだったんです。今でもゴルコンダ産のものは稀少性が高いです。18世紀後半にブラジルで、19世紀になると南アフリカでも採れてくると産出量が増えました。磨こうとしても磨けないほどの硬さに、何かこの石には神秘的な力が込められているに違いないと古代の人は考えたと思います。傷つかない、強い力を象徴するお守りのようなものでした。ヨーロッパの上流階級の間ではダイヤモンドのとがった部分でガラスに名前を記したり、愛のメッセージを書くなんていう遊びもあったそうで、サンクトペテルブルクの冬宮にはダイヤモンドで書かれた文字がガラス窓に残っています」

ダイヤモンドの価値が確立したのは、カットや研磨の技術が進化したことが大きいと本間さんは指摘する。

「エリザベス1世の肖像画を例に挙げると、真珠のネックレスをたくさんつけているのですが、よく見るとドレスに黒く四角い石が縫いつけられています。それは原石を表面だけ磨いたダイヤモンドでした。19世紀に入るとダイヤモンドは面を増やせば輝きが増すことがわかってきます。表面だけ磨いて使っていたものを、石の上部に面をとり、下部に深さがあると光が反射して輝くということがわかってきて、ラウンドブリリアントカットの発明につながっていきます。ジュエリーの歴史において、エポックメイキングだった出来事はティファニーが1886年にティファニーRセッティングを発表したこと。ダイヤモンドって裏の面を塞いでしまうと光が入らない。そのために6本の立て爪で石を持ち上げてリングに留めるという画期的なデザインを考案しました」

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ジュエリーの歴史にも刻まれる、ティファニーが考案した「ティファニー® セッティング」。エンゲージリングの定番ともいえる存在。19世紀初頭に生まれたラウンドブリリアントカットのダイヤモンドと組み合わせることで最も美しいデザインの基準を作り出した

現代を生きる私たちがダイヤモンドを選ぶなら

安定的な供給が整い、品質基準となる4C(カラー、クラリティ、カット、カラット)も定められ、選ぶ基準は人それぞれだ。

「4Cの中で、私はカットを重視する派。ダイヤモンドの輝きは優れたカットで引き出されますから。逆に海外の人に聞くと石の大きさが一番だという人もいます。その次がクラリティという透明度の基準。ダイヤモンドは内包物やキズが少ないもののほうが価値が上がります。その後にカラー、カットの順ですね」

ジュエリー選びのプロである本間さんご自身が今でも愛用しているダイヤモンドのジュエリーはというと?

「アンティークジュエリーから外してリメイクしたダイヤモンドのリングです。実は5カラットもある大きな石なのですが、カットは左右対称でないし、肉眼でも内包物が見えるぐらい。色もちょっと完全に無色とはいえません。でも、完璧すぎる美しさよりもどこか欠点があるところも人間くさくて、可愛いなと感じるんですよね」

長い歴史の中で、宝石として最上級の評価を持つダイヤモンドだが、モードマニアが選ぶなら、もっとパーソナルな基準で見てもいい。

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火山活動や地殻変動を経て、人間が採掘できる地中まで押し上げられ宝石の原石は採掘される。写真は採掘される前のダイヤモンド

「今はデザインも多彩だし、選択肢も豊富。完璧すぎるものより、多少欠点があっても愛着が湧くデザインを選ぶというのもありだと思います。シハラなど目が肥えていて、意欲的なブランドはあえて原石を使ったデザインも発表していますし。ダイヤモンドって、揺れたり、動きのあるデザインで顔まわりにあると表情も明るく見えて効果的。ネックレスやピアスを選ぶのもおすすめですね。そして、今は採掘地や雇用問題など、トレーサビリティの観点でもブランドごとの取り組みがあるので、そこを判断基準にするのもいいと思います」

本間恵子プロフィール画像
本間恵子

ジュエリー・時計ジャーナリスト。雑誌や新聞などを中心に国内外で取材し執筆。編集やスタイリングにも携わる。セミナーやテレビのコメンテーターとしても活躍。

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