お酒じゃなくても楽しいぞ! 飲まない日の、東京夜ガイド

ノンアルコール界に新風到来。2つ以上のドリンクを掛け合わせたロンドン発の擬似カクテル(=モクテル)の登場など、飲まない日にもうれしい多様な夜の選択肢が話題だ。

モクテルの“プロ”に聞くアルコールフリーのすすめ

野村空人さん
のむら そらん●帰国後は「フグレントウキョウ」のバーマネジャーを経て、2017年に独立。

 アート系の大学に通うために渡英。ひょんなことからバーの世界へ流れ着いた野村空人さん。以来、7年間現地で修業し、英国だけでなく世界各地のバーシーンを間近で目撃。現在はフリーバーテンダーとして、上記「フュンクライン」などでコンサルタント業務もこなす彼に、ノンアルコール界の動向を聞いた。

「ロンドンで過ごした学生時代、生活費を稼ぐためにアルバイトを探していたら、友人伝いで、とあるバーを紹介してもらいました。そこで、アートよりもハマってしまったんです。カクテルの魅力は、異なるドリンクをブレンドする配合のバランスによって、新しい味に出合えること。僕にとっては“色塗り”みたいなもので、アートなんですよ。今は世界的に見てもミレニアル世代のアルコール離れが顕著だけれど、モクテルと呼ばれる擬似カクテルもじわじわ来ていて、ノンアルコールの需要が高まっていますね」

 普段は飲めるという女性でも、生理中や、妊娠中、授乳期間のアルコールフリーは避けられない。今までどおり、お酒の場で気楽なコミュニケーションをとることができたなら。そんなときの強い味方が、モクテルだ。オーセンティックなバーのみならず、野村さんがカウンターに立つ、カジュアルなカフェバーでもメニューを増やしているそう。

「カクテルと同じくらい気合の入った飲みごたえのあるモクテルはありますよ。代々木上原の『ナンバー.』はフレーバーの種類が豊富だし、『フュンクライン』や渋谷の『エスジー クラブ』にも。今後、ノンアルコールのバランスは、3分の2くらいまで増えると思う。海外では、よりよいものを選びたい人たちが、続々とアルコールを手放していますね」

本格バーテンダーの作る贅沢なモクテル

土を基調にした、広々としたフロア

fünklein フュンクライン

タップから流れるのはビールだけではない
レストラン、グロサリーショップなどが一体化するGYREの4階。その中央に位置するバー「フュンクライン」を斬新なアイデアでオーガナイズするのは、レモンサワーバー「オープン ブック」を営む田中開さんとフリーバーテンダーの野村空人さん。ビールサーバーの蛇口から注がれる、自家製のジンジャエールに、琉球シナモンと島唐辛子のエッセンスを加えた「唐木ジンジャエール」などのモクテル2 種類が秀逸だ。

●東京都渋谷区神宮前5の10の1 4F
電話:03-6803-8699

営業時間:11時〜23時30分
定休日:不定休

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ノンアルコール界に新風到来。2つ以上のドリンクを掛け合わせたロンドン発の擬似カクテル(=モクテル)の登場など、飲まない日にもうれしい多様な夜の選択肢が話題だ。

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 高知の柚子を使った、甘さとほろ苦さのバランスが絶妙な「ユズ塩キャラメル」¥700
 沖縄を視察して考案した爽やかな味の「唐木ジンジャエール」¥600

No. ナンバー

オフィスとカフェバーの融合
クリエイティブチーム「301」のデザインオフィスに併設された新感覚のカフェバー。ここでは、より多くの人々がバー文化に親しめるようにと、14時からバーテンダーが腕を振るう。ナンバリングされた、キャッチーなビジュアルのメニューからオーダーが可能。わかりやすいチャート式に加え、ポエティックな味の説明も楽しい。カクテルと同じコンセプトで作られた個性豊かな6 種類のモクテルを用意。

●東京都渋谷区上原1の33の11 3F
電話:03-6712-5068

営業時間:9時30分~24時
定休日:月曜

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 カフェバーを象徴する、ノンアルコール版、コーヒーカクテルとも言える一杯。エスプレッソ、バニラアイス、ミルクを組み合わせた人気メニュー「No.3」¥900
 マンゴージュース、ヨーグルト、レモンにココナツウォーターを加えたフルーティな「No.4」¥900

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 見開きでアルコールとノンアルコールのコンセプトを共有する親切なメニュー構成
 カウンターで、仕事をするスーツ姿の常連客のいる光景も、ここならでは

PeterBar ピーターバー

“飲めない”バーテンダーが作る日本一のモクテル
2017年に開かれた「全国モクテルコンペティション」で優勝した折り紙つきのモクテルを飲むなら、ここへ。ゲストバーテンダーとしても活躍する、この道20年のプロ、鎌田真理さん率いる、「PeterBar」では、本格的なカクテルと並んで、お酒好きをも満足させるアルコールフリーを提供する。自身が下戸であることから、国内外でモクテルを飲み歩き、研究。複雑な味わいとスタイリッシュな見た目にこだわる。

●東京都千代田区有楽町1の8の1 ザ・ペニンシュラ東京24F
電話:03-6270-2888

営業時間:12時〜24時、12時〜翌1時(金・土)
定休日:不定休

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 藤色で統一された店内はホログラムの葉が光を放つロマンティックな空間
 メニューを開くと、モクテルだけの項目が。3月14日までシーズナルでいちごを使ったカクテルとモクテルも登場。併せてチェックして!

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お酒のプロと一般投票によって選出された「全国モクテルコンペティション」。そこで見事1位を獲得した自慢の「エピス・ルージュ」も堪能できる。カルピスに葡萄ジュースとトニックウォーターをミックスし、数種類のスパイスが香る一杯。¥1,600

The SG Club エスジー クラブ

1階ではカジュアルに、地下では本格的な一杯を
バカルディ主催のカクテルコンペティションにて、優勝経験を持つ後閑(ごかん)信吾さんの店。1 階はチャージなしで、ごくごく飲めるカジュアルさが魅力。コーヒーや、天然素材にこだわったモクテルなどが楽しめる一方、地下はクラシックなバーとして展開。「通商交渉のためにアメリカへ渡った侍がバーを開いたら」というコンセプトが両フロアの内観に落とし込まれており、どこか非現実的な感覚になれる場所だ。

●東京都渋谷区神南1の7の8 豊産ビル
電話:03-6427-0204

営業時間:1F 14時~翌2時、B1 18時〜翌2時、18時〜翌3時(金・土)
定休日:不定休

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左上 陶製のカップでお酒に見えないようカムフラージュしていた禁酒法時代に思いを馳せた「モスコミュール」。自家製のジンジャーシロップとソーダで構成。¥900
右下
 菫、ラベンダー、バタフライピー、レモンに、炭酸をブレンドしたエレガントなフレーバーの「バイオレットフィズ」¥900

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 肩の力を抜いて訪れることができる1階スペース。ランチタイムはカクテルのようにスパイスの配合にこだわったカレーを提供している
 オーセンティックなバーの世界を味わうなら、階段を降りて地下1階へ

SOURCE:SPUR 2020年月号「飲まない日の、東京夜ガイド」
photography: Celine O’Connor, Nahoko Morimoto(p.146 portrait, No., The SG Club, RK) illustration: DenQ edit: Ayana Takeuchi

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