カーネーション 吉田結衣さん × 吉住さん

(吉田さん)ジャケット¥86,900・シャツ¥46,200・パンツ¥49,500/アカネ ウツノミヤ 靴¥154,000/ジェイエムウエストン 青山店(ジェイエムウエストン) (吉住さん)ニット¥52,800 ・中に着たワンピース¥58,300/アカネ ウツノミヤ 靴¥165,000/ジェイエムウエストン 青山店(ジェイエムウエストン) 靴下/スタイリスト私物
SPUR(以下S) 吉田さんは男女コンビ、吉住さんはピン芸人として活躍していますが、その理由は?
吉住 私、本当は誰かと組みたかったんですよ。でも組んだコンビは1年半ぐらいで解散してしまって。
吉田 私も2回解散してるし、どの相方とも仲よくないし、結局私が悪いんやなと思うんですけど。やっぱり好きなものがある人同士が一緒にやるって相当難しい。おのおのの正義があるし、ポリシーがあるから。だから私は男女コンビしか無理やと思います。同性やったら本当にもめてると思う。男ならそもそも理解し合えなくても、そういうもんだって割り切れるところがあるから、多少は気楽。
吉住 私も男の人と養成所で組んだことがありますが、もう脳の作りが違うのかもとは思った。
吉田 コンビって特殊じゃないですか。恋人同士でもないし、友達でもないし。でも人生は共にしていかなきゃいけないっていう。われわれはコミュニケーションも最低限しかとってなくて、結果も出せていないのでよくはないんやろなと思うんですけど。でも今は、私の精神衛生を守ることが一番大切だから。
吉住 それを言えるってすごい。昔は芸人同士の飲み会でもお笑いという体で泣かされることがめちゃくちゃあったって聞きますし。そういうのは本当になくなってるし、意見を言う女性のことを、ただ気難しいで片づけられなくなってる。女芸人の先輩たちが戦ってきてくれたからだなって。
S 自分は“女芸人”なんだなと自覚するのはどんなときですか?
吉住 「女芸人の中では面白いよね」って言われるときとか。
吉田 あー、まだそれある。
吉住 若手の頃、同じぐらいの位置にいる2組の先輩がいて。片方は今、テレビで大活躍していて、もう片方の方たちはそうでもない。これ、なんでだろうと思ったら、売れた人たちは言葉がどんどんアップデートされてるんです。まだ私が2、3年目の時点で、もう「女」とか言ってなかった。でも、もう一組の方は、一発目から「お前ブスやな」。相手がどういう芸風で、どういう人間で、とかを深掘りする前に、自分たちがやりやすいブスいじりをしてきたなっていう感覚があって。そこの差なんだろうなと。
吉田 「あのときウケた伝家の宝刀を持って今日も来ました」みたいな。
吉住 それに私たちが合わせないといけないんだ、っていう。
吉田 こちらに興味持ってくれているかどうかは大きい。明らかにSNSでバズってる後輩に「誰やねん」とか言ってるのは恐ろしいなと思う。知らないことは恥ずかしいと思わなきゃ。
吉田さんは天海祐希さんなのかもしれない
S 吉田さんがきっぱりとものを言う「引き締め」が話題になっています。
吉田 これ、私は認めてないんですけど(笑)。おっしゃったのが影響力のある千鳥のノブさんっていうのもありますけど、見事にみんなの違和感を言語化してくれたなっていう感じ。私を見たときの「なんやこの人」っていうのを、わかりやすく「引き締める」と表現されたので。それで見やすさが加速した。そういう意味では、女で得したという面もあるのかな。異質な存在ではあったと思うんですよ。男性芸人に男がツッコむのは日常ですけど、女がツッコむとどうしても目立つ。むしろボケっぽくも見える。それは損か得かでいうと、得やったんやろうなとは思います。結果論ですが。
吉住 本当にそう思って言ってるんだろうなっていうのが、めっちゃ面白いんだと思う。嘘がない。さっきふと思ったんですけど、吉田さんは天海祐希さんなのかもしれない。
吉田 ええ?
吉住 吉田さんって、感情でものを言ってない。芯があるんです。吉田さんに何か注意されたら、本当に直したほうがいいんだろうなって思いますもん。
S 先ほど外で撮影してたとき、通行人の方が撮影を気にして立ち止まったのを誰よりも先に見つけて「あ、通ってください」って促した吉田さん……。
吉住 視野が広いです。なんなら、360度見えてる。
吉田 後ろも見えてる。袈裟斬りとかやってみようかな(笑)。
「女性や」みたいな必要のない緊張感
S コンビの吉田さんから見て、ピン芸人の吉住さんはどう見えますか?
吉田 まずネタを自分で作って、世界観を表現していることが本当にすごいことですよね。お笑いの世界で、女性芸人のネタにお金を払うかっていうと、ひと昔前ってほんと少なかったんですよ。特にお客さんの投票制のライブなんかだと、めっちゃウケても、男女コンビ、女性コンビには票が入りづらい。そういう時代を私も味わってきてるんで、ピン芸人で女性で、ネタで笑わせて、民意を得るって、相当難しいことをされてます。
吉住 結果が出たら「R−1」も勝ち進めるんだろうなと思ってました。女芸人のネタって、見てる方がちょっと「面白くなさそう」から入る気がする。
吉田 わかる。
吉住 女がネタをやるっていうだけで、すでに一個キャラが乗っかっちゃってるんですよね。でもこればっかりは見慣れている数だと思う。男性芸人が女装でコントをやるのと、そこを本物の女性がやるときとで、(見る側が)これまで見てきた数が違うだけ。だから一個ちょっと邪魔なんですよね。
吉田 必要のない緊張感を与えるっていうか。「女性や」みたいな。意味わからんけど、でもわからんでもないかなっていうのは思いますね。まあ、「THE W」の1回戦とかに来てくれるような男性ファンは、この先も一生女芸人を勝手に審査し続けると思うんですよ。批評するのが楽しいんですよ、その人たちの見方としては。そういうところは変えられないとしても、「え、この人女性や、何すんのやろう」っていう緊張感を、ちょっとずつ減らせてるのかなっていうのは、今のこの時代のよさとしてありますね。
吉住 よく言われてたのが、女芸人はあるあるネタを求められるっていう。私はピンだったので変なネタをやっても許されるところがあったけど、女性コンビがたぶん一番しんどかったと思う。女性コンビならOLネタやって、あるあるやってって、ポップさを求められてきた。でも今それがなくなってきているのは、本当にいろんな芸風の女芸人が出てきて、いろんなタイプのネタをみんなが見る機会が増えたから。だからここからは、そんなにしんどくなくていいのかなと。
吉田 昔はパーソナルを求められてなかったんかもね。誰がやってもある程度同じレベルのものが作れるのが、あるあるだから。そのほうが入りやすいっていうのは、特にテレビはあるやろうし。でも問題なのは、私はテレビで売れたいんですよ(笑)。なのにテレビに合わせられへんっていうのは矛盾してて。だって、ロケで私となすなかにしさんどっち使うってなったら、絶対なすなかにしさんがいいもんな。私がディレクターやったら。
吉住 企画によると思いますが(笑)。私が出始めたときって、女芸人が体を張るのってどうなの?みたいな転換期だったんですけど、そこにオダウエダの植田(紫帆)さんがすごい格好で出てきたじゃないですか。植田さんみたいに「私はこれがしたい」って言える女芸人が出てくれることによって、やっていいことの幅が広がる。そういう意味でも、自分がやりたいことは、時代を読まずにわがままにしていったほうが、その後の人たちも活動しやすくなるんだろうなとは思います。時代によって価値観の風が吹くんですよね。特にそれにさらされがちかもしれないです、女芸人っていうのは。
吉田 代表にさせられるもんな。
吉住 そこは、先陣切ってくれてる人の後ろから、ちゃんと自分たちもついていかないと。先頭の人を一人にさせないというのは大事かもしれない。
吉田 女芸人は義理堅い。なんだったら「頼むわ」ぐらいの感じで、常に連携してるんで。