[vol.40] 完璧なるソーシャライトを続ける、オリヴィア・パレルモの内面が知りた〜い!

オリヴィア・パレルモの繁忙期がまた始まった。9月から、ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリの世界4大ファッションショーの開催にあわせて、彼女はモードのサーキットのフロントロウを死守すべく渡り歩くのだ。いったい何年続いているのか知らないが、年に2回の4都市ファッションショーに通うだけでも大変なのに、メゾン毎にそこのブランドの先取りの洋服に着替えて写真に納まらなければならないオリヴィア。そのスキのない佇まいをキープする彼女の体力と野心には、並々ならぬものを感じる。

オリヴィアはニューヨーク出身のソーシャライト(裕福で家柄もよく、社交界のイベントやチャリティ活動に熱心なアッパー層)にカテゴライズされているが、実はコネチカット州生まれのニューヨーク育ち。不動産コンサルタントの父親とインテリアデコレーターの母親といういかにもな両親のもと、確かに『ゴシップガール』のような青春時代を送ったかもしれないが、桁外れな金持ちのヒルトン姉妹とは訳が違う。正真正銘のセレブなパリスが、お騒がせなニュースばかりでおよそソーシャライトらしくないのに比べて、オリヴィアは羽目を外さず、ハンサムなモデルの夫とも円満で、やることなすことオシャレで上品。おまけに、ファッションビジネスも順調ときている。ソーシャライトの鑑だ。

そんなオリヴィアの、各国のファッションウィークに配信される写真を見ていると、相変わらず完璧ではあるが、そして、毎回、違う洋服でありながら、ファッションの鮮度というものが最近は感じられないのだ。出現し過ぎだからか?メイクアップがおんなじだからか?いつも微笑んでいるからか?いやいや、そういうことだけじゃなくて、すべてにオサレ過ぎてスキがないのが、逆に彼女をつまらなくさせているのだ。太ったり、坊主頭になったり、離婚したり、過激ファッションを着たり、そういうことのない、いやそういうことを自分に禁じたソーシャライトな女。きっと、誰にも見せない内面はドロドロに違いない、などと疑ってしまう私なのだ。

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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