ホラー嫌いにもなぜか刺さる!? ホラーマニアが激推しする“ジョー・ベゴス監督作”の3作品

エレクトリカル・サイコホラー作品として話題を集め、2023年7月18日(火)より日本上映された『クリスマス・ブラッディ・クリスマス』を筆頭に、今回はジョー・べゴス監督が手がけたホラー映画3作品をセレクト! 視聴リストに加えたい、刺激的な作品ばかりです。

【クリスマス・ブラッディ・クリスマス】殺人サンタはターミネーター!雪景色を血に染める地獄の逃走劇スラッシャー!!

ホラー映画 クリスマス・ブラッディ・クリスマス  ジョー・ベゴス監督作品
『クリスマス・ブラッディ・クリスマス』

ジョー・ベゴス監督の作品は、あまり規模を広げすぎず、限定的なシチュエーションの中で手を替え品を替え、しつこく攻防を描く特徴がある。そんな彼の特色と設定がバッチリハマったのが本作。この映画を一言で表すと「殺人サンタ版ターミネーター」だ。劇中に出てくるサンタは人ではなく精巧なロボットなので、比喩ではなくマジのターミネーターなのがポイント。普段は店の入り口などに飾られるサンタロボが、どういうわけか大暴走!これまたどういうわけか斧を装備して、目に付いた人たちを片っ端から叩き割っていくのだ。こいつにたまたま目を付けられた女性が逃げ回る様を延々と映すのがメインストーリー。

シンプルにもほどがあるが、これが不思議とまったく飽きない。強烈な色彩のベゴス照明は今回も冴え渡り、真っ白な雪模様を未知の世界へと変える。やはりこの色合いは大きな魅力だ。後半にかけてテンションがグングン上がり、それと比例して死者数もうなぎ上りに増えていく作り。主人公が警察署に逃げ込んでからの連続クライマックスは、かなりテンションが上がる! サンタロボは轢かれても撃たれてもすぐに立ち上がる。だがボディは次第にボロボロになっていき、やがて中身の金属がむき出しに。おぞましい見た目となった殺人サンタとの攻防は『ターミネーター』1作目を彷彿とさせる鬼気迫る名シーン! 観ればきっとベゴス監督への信頼が増すこと請け合いだ。

【VETERAN ヴェテラン】最強ジジイVS凶悪ジャンキー!血肉に彩られた傑作籠城サバイバル!!

ホラー映画 VETERAN ヴェテラン ジョー・ベゴス監督作品
『VETERAN ヴェテラン』Prime Videoで配信中。

これまで、SFホラーや超能力バトルなど、ジャンル映画の人気要素を次々とモノにしてきたジョー・ベゴス監督。本作で彼は『要塞警察』に代表される籠城サバイバルにチャレンジ。その結果、彼の監督作の中でもトップクラスでご機嫌な、血肉が飛び交う一大バイオレンス絵巻が誕生した。敵は危険ドラッグで凶暴化した悪党ども。そいつらに立ち向かうのは、かつて戦場で活躍した元兵士のおじいちゃんたち! 圧倒的な数の敵を、老いた身体にしみ込んだ殺人スキルで残忍にブチ殺していく。頭部に斧をブッ刺すなどの容赦ないバイオレンス描写の数々が見どころだ。

ドギツイ赤と青の照明に照らされるなか、果てしない攻防が延々と続く。おじいちゃんサイドは『ドント・ブリーズ』や『アバター』シリーズで最強老人界を駆け上がるスティーブン・ラングを筆頭に、『シャドーチェイサー/地獄の殺戮アンドロイド』で殺人ロボを演じたマーティン・コーヴや、『ダイ・ハード2』等でお馴染みのウィリアム・サドラー、『ブラック・コブラ』シリーズ等で知名度を上げたフレッド・ウィリアムソンなど、戦力の高すぎるメンツが勢ぞろい!超豪華。ご高齢版『エクスペンダブルズ』だ。じいちゃんたちのアツい友情劇あり、DIY処刑術あり、豪快な人体破壊も勿論大ありの素敵な作品。強い老人映画が好きなら必見!!

【人間まがい】サービス精神旺盛!でも手堅い! ベゴス監督の職人業に唸るデビュー作

ホラー映画 人間まがい ジョー・べゴス監督作品
『人間まがい』TSUTAYA DISCASでレンタル可能。

寄生生命体が人間の身体を乗っ取る設定を物語に組み込んだ、いわゆるボディ・スナッチャー・ホラー映画は、古くからいくつも作られてきた。特に有名なのは『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』とそのリメイク『SF/ボディ・スナッチャー』あたりだろうか。『人間まがい』は、ジョー・ベゴス監督がボディ・スナッチャーに挑んだ作品である。ベゴス監督は本作で長編デビュー。これを観ると、最初から無駄をそぎ落としたソリッドな作風が完成されていることが分かる。

宇宙から来た何かに身体を乗っ取られた男が人間を殺戮するという、スラッシャーとSFホラーの合わせ技な展開が面白い。80分の中に過不足なく見せ場を配置し、ゴア度も中々。更にはグチャドロな触手などの特殊造形も盛り込み、こちらの見たいものを万遍なく提供してくれる。なにが必要でなにが不要か、それを客観視して作品を仕上げる。ベゴス監督は自分の好きなものが明確なオタクでありながらも、作品が破綻しない範囲でやりたい放題やって、ちゃんと面白い映画の形にする技術に優れた、非常に優秀な職人監督だと感じる。改めて本作を観返して、その手堅く無駄のない作りに感心した。あと『人間まがい』って邦題も凄く好き。原題の『Almost Human』が、おどろおどろしくジャンル映画風に変換されていて見事な翻訳だと思う。


【ホラードラマ ナビゲーター】
人間食べ食べカエル
あらゆるジャンルのホラー映画・ドラマを網羅する敏腕ライター。人が喰べられる作品に目がない。的確なコメントと面白いつぶやきがクセになる「X」アカウントは、@TABECHAUYOをチェック!

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