BTS Vやパク・ソジュンが出演する話題沸騰のバラエティ番組『ソジンの家』をはじめ、心優しいふたりのボクサーが壮大な死闘を繰り広げる『ブラッドハウンド』など、今知っておきたい韓国エンタメ４作品をセレクト。深夜飯が止まらない料理バラエティ、クライムアクション、ヒーリングドラマ、リーガルサスペンスなど、どれもこれも一気観してしまう作品ばかり！
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班／エディターK
母の影響により、第１次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、約20年間あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手俳優の発掘が趣味の領域に。
『ソジンの家』／観る度に体重増加!? 深夜食が止まらない最強バラエティ！
こちらはドラマではなくバラエティです。以前ご紹介した『IN THE SOOP フレンドケーション』で悶絶級きゅんきゅん仲良しっぷりを見せてくれたウガウガファミリーの３人も出演。それだけでも垂涎なのですが、そもそもこの『ソジンの家』、かのアカデミー俳優ユン・ヨジョンが社長を務める人気バラエティ『ユン食堂』のシリーズ４作目。え？こんなお方がこんなことを〜!!と思うような大スターたちが、海外の小さな町で韓国料理店をオープンし、料理に接客に奔走する模様をヤラセ一切なしに追っていくリアリティ番組なのですが、今回はヨジョン社長の都合がつかず、それまで理事だった俳優イ・ソジンが社長に昇格。はてさてソジン新社長がどんな采配を振るのか、その下で我らがウガファミは無事に社員のミッションをやり遂げることができるのか。BTSのVことテテの新参加も相まって、見る前からワクワクが止まらないのは言うまでもありません。
舞台となるのは七色の湖が広がるメキシコのバカラル。美しいリゾート村ではありますが、ニューヨーク大学経営学科出身の新社長は１も２もなく「売上」重視。だから、社員たちは呑気に村を満喫できるわけもなく、ひたすら業務に励むしかないのですが、社長のトレードマークのエクボは客が多くなるほどご機嫌に深くなり、客足が遠のくと露骨に消え去り不機嫌に。故に、みんなそのエクボバロメーターに戦々恐々。そのご機嫌を伺い合う社員たちの妙な連帯感も面白く。そして、我らがウガファミ長男パク・ソジュンです。天性の料理上手っぷりをたっぷり見せてくれるのはもちろん、どんな場面でもぶれずに黙々とこなす姿はやっぱり頼れるヒョンとつくづく。
次男のウシクは愛嬌たっぷりのホールサービングとお笑い担当。隙あらばサボろうと画策するウシクと社長の攻防もめちゃ楽しく。やる気満々ながら緊張気味のマンネのテテも、徐々に茶目っ気を発揮。皿洗いに料理のサポートに精を出しつつも、忙しすぎて魂が抜けちゃうファン垂涎のシーンも満載です。紅一点のチョン・ユミのさりげない気配りにも癒されること必至なのですが、第５話ではそんな社員たちの長所と短所を社長が評する場面もあり、的確すぎるその人事評価も必見です。それにしてもスターが作る料理はどれもめちゃおいしそうで、番組内ではレシピも公開。ちなみにレシピをマネして作っては食べていた私は体重１キロ増。要注意です。（さすらいのライター山崎）
『ブラッドハウンド』／ふたりのボクサーが、魂をかけて悪に立ち向かう
大人気ウェブトゥーン原作の実写化がついに配信開始！ ヒロイン降板のトラブルで一時はどうなることかと思いましたが、苦渋の脚本修正でストーリーに影響は生じたものの、凄まじいフィニッシュへと導きました。とにかく除隊後復帰作として目覚ましい成長を見せたウ・ドファンとイ・サンイのケミと熱量が桁違い！！ 『ミッドナイト・ランナー』『D.P. -脱走兵追跡官-』あたりのバディものが好きであればハマるはずです。序盤から仕上がっている肉体美が、中盤からはハイレベルに尖りまくっており（ここ要注目です）、その姿はまさに警察犬としても活躍する犬種「ブラッドハウンド」。嗅覚に優れ追跡を得意とする彼らが、まさに本作のふたりを表しているんですね。
ボクシングの新人王戦で優勝した若手期待の星であり、驚くほど純粋に「ボクシング」という競技を愛するゴヌ（ドファン）。試合で対戦したウジン（サンイ）と海兵隊出身という共通点で仲良くなり、本物の兄弟のような関係性になっていきます。このやり取りにニヤニヤするのも束の間、カフェを営むゴヌの母（ユン・ユソン）が悪徳貸金業者スマイルキャピタルの詐欺に遭い、多額の借金を背負うことに。代表ミョンギル（パク・ソンウン）に刃物で顔に大きな傷をつけられたゴヌはウジンとともに、弱者を喰いものにするミョンギルたちを倒すことを決意し、壮大なる死闘を繰り広げていきます。
貸金業の伝説と謳われたチェ社長（ホ・ジュノ）をはじめ、元右腕ヤンジュン（イ・ヘヨン）、元左腕ドゥヨン（リュ・スヨン）の助けのもと毎話激しい攻防戦を繰り広げるんですが、「この撮影、本っ当に大変だっただろうな……」と涙ほろりしそうな苦労が透けて見えていて、魂こもった演技が連発。それだけで観る価値ありありです。ミョンギルにゴミ扱いされる財閥３世のミンボム（SUPER JUNIOR チェ・シウォン）や、情報を横流しするキム警官（キム・ミンジェ）など、スペシャル出演枠のキャストがいいスパイスに！
正直、血を垂れ流しまくるクライムアクション系って不得意なんですが、全８話と短く、展開もスピーディで飽きないために「一瞬観」でした。割とストーリー展開は読めるのに、この手のジャンルが苦手な方は意図せず大声をあげてしまうシーンもあると思うので（私は家族に本気で怒られた）、鑑賞時はお気をつけて！（エディターK）
『なにもしたくない～立ち止まって、恋をして～』／疲れた人に贈りたいヒーリングドラマ
煩雑すぎる仕事、ストレスフルな人間関係、そして、その繰り返し。「なにもしたくない……」と心から思ってしまうことってありませんか？ そう、このタイトルのように。本作のヒロイン、ヨルム（キム・ソリョン）ももちろんそのひとり。周りの人たちに気を遣いながら自己主張することなく生活している内気で消極的なアラサーなのですが、だから、勤務先の出版社では上司のパワハラに反発することもできずに耐えるだけだし、そんな会社のグチを話した恋人からは「なにも言わない君が悪い。そんな君にうんざりなんだ」と別れを切り出され、挙句には大好きな母親の突然の訃報……。それでも、どうにか息をして、会社に向かい、黙々と働き、誰もいない部屋に帰ってため息をつく……そして、その繰り返し。う、う、見ているだけでギュッと胸が詰まりそうになってしまうのは、そのヨルムのつらい状況が自分にも起こり得るリアルだからなのでしょうか。
そんなヨルムですが、ある日の通勤途中、ふと目に飛び込んできた満開の桜に突き動かされるように会社とは反対の方向の電車に乗ってしまうわけです。そこで見る風景には、ヨルムが今まで気づかなかった世界が広がっていて、そして、気づくわけですね、「落ちこぼれないように、人からけなされないように息を殺して生きてきたけれど、誰よりも自分をけなしていたのは自分だった」と。ということで、家も生活道具も全て手放し、リュックひとつ持って人生のストライキへ。そして降り立ったアンゴクという田舎町の小さな図書館に魅せられて、その地で「なにもしない」生活を始めるわけです。ある意味、休息と再生の物語ではあるのですが、その田舎町にも実はいろんな事情や心の傷を抱えた人々がいて……。それがこの物語のもうひとりの主人公であるイム・シワン（『イカゲーム２』主演も決まりましたね〜）演じるデボム。
図書館で司書のアルバイトをしているデボムは、極端な人見知りだけれど純粋で穏やかで優しく、ヨルムはそんな彼に安らぎを覚えるのですが、ということはやっぱりロマンスドラマか？ いやいや、そうでもありそうだし、それだけではなさそうだし、というとことろが実はこのドラマの魅力と言いますか。デボムもそうですが、図書館に入り浸っている高校生ボム（シン・ウンス）も心荒む事情があるようだし、ヨルムがこの町に住むことを快く思わない隣人とかもいて、それにもなにやら曰くがありそうだし。ドラマは、ゆったりと時が流れる穏やかな田舎町を舞台にしながらも、少しずつ、少しずつ、それぞれが抱える事情と秘密、それにまつわる過去の事件の真相が解き明かされていくのですが、真実がひとつずつわかっていくごとに、きゅっと詰まっていたなにかがほぐされ癒されていく不思議な心地よさが胸に広がっていくというか。「なにもしたくない」と思っている心に贈りたいそんな作品。自分にとって本当の幸せはどこにあるのか。ラストのヨルムの独白が、静かに、でも、力強く、そして心地よく胸に響きます。（さすらいのライター山崎）
『有益な詐欺』／詐欺師×弁護士の“有益な詐欺”とは？
共感力ゼロの冷徹な詐欺師ロウム（チョン・ウヒ）と、他人に共感しすぎる“過共感症候群”の弁護士ムヨン（キム・ドンウク）が、互いの復讐のために「有益な詐欺」を働き、諸悪の根源を断ち切る……というかなりインパクトのある設定。数多存在するリーガルドラマのなかでもかなり新鮮なのでは？ 演技力が問われる脚本だけに、主演にアサインされたのが『メロが体質（原題）』のウヒと、『神と共に』のドンウク。ナイスキャスティングに震えます！ 序盤は淡々と進んでいくストーリーに加えてあまりにも演技がリアルなので、なんだか「蚊帳の外」な感覚を覚えるかもしれないけれど、１話進んでいくごとに面白いぐらい引き込まれていくので、ぜひ信じて観進めてほしい。
物語は、両親殺害の罪で10年間服役していたロウムが「冤罪」だったところから始まります。幼少の頃、優れた頭脳と暗記力で「天才少女」としてメディアにバンバン出演し、世間を騒がせていたロウム。しかし突然姿を消したと思ったら数年後に殺人犯として逮捕。その10年後には真犯人が浮上し釈放されると、不可解の連続なんですね。事実だとするならば決して許すことなどできない冤罪事件となるわけです。他人の痛みを過度に感じ取ってしまう「スーパー共感力」の持ち主であるムヨンは、弁護として当然ロウムに肩入れするんですが、なんと中身は超計算高い詐欺師！ そんな意図せず（？）出会ったふたりの悲しい共通点が、本作の軸となる「チョクモク財団」なんですね。少しずつ財団の不気味さと恐ろしさ、そしてロウムとムヨンとの関係性が明らかになっていくんです。裏で糸を引く“会長”は誰なのか？ 今後の展開が気になりすぎる！
さらに、思考が読めないロウムの保護監察官ヨハン（ユン・バク『産後ケアセンター（原題）』）や、天才ハッカーのダジョン（イ・ヨン『未成年裁判』）といった実力者もゴロゴロ。脇を固める俳優たちの演技にも痺れるし、大人がハマる新たな社会派ドラマといったイメージ。現在物語中盤の８話までの視聴でラブのフラグは立っていないものの、ウヒ×ドンウクのロマンスは韓ドラマニアにとってご褒美でしかないので、個人的には期待したいところです。（エディターK）
