山崎まどかイチ押し! "恐るべき少女たち"

#GirlsINSPO

ミリー・ボビー・ブラウンは2004年生まれ。「ストレンジャー・シングス」のイレブン役が印象的で、その佇まいからファッションの仕事も多い。『Godzilla:King of Monsters(原題)』で映画デビュー予定。ダフネ・キーンは’05年生まれ。現在『ローガン』(’17)で彼女が演じたローラ役を主演に据えたスピンオフシリーズの話が持ち上がっているという。

’02年生まれのソフィア・リリスは7歳のときからニューヨークの舞台で活躍する実力派。現在もマンハッタンの名門演劇学校に在籍している。ローワン・ブランチャードは’01年生まれ。「ガール・ミーツ・ワールド」でスターに。

ロスを拠点に活躍するビリー・エイリッシュは14歳でデビュー。ドラマ「13の理由」の挿入歌も話題になった。’04年生まれのグレース・ヴァンダーウォールはテレビのオーディション番組でオリジナル曲を披露し、大手レコード会社と契約。高校を卒業したばかりのレヴェン・ラネイは話題のR&BシンガーSZAのツアーでオープニング・アクトを務めた。

サーシャ・オバマの本名はナターシャ。姉マリアはハーバード大学へ入学したが、彼女の進学先も注目されている。

 いつの時代も新世代の女優は映画やドラマの世界に新風を吹き込むものだけど、今はローティーンの若い女優が新しい女の子像を体現しているかのようで、それが新鮮だ。可愛いだけではなく、身体的にも精神的にも強い少女ヒーローたちである。彼女たちからはただ野性的というよりも、ハイブリッドな洗練された強さを感じる。

 代表は何と言っても、『ローガン』のローラ役で鮮烈な映画デビューを果たしたダフネ・キーン嬢だ。まだ12歳! カリスマ性と身体能力、強いまなざしで堂々とスターであるヒュー・ジャックマンと渡り合った。オーディションでもローラ役は彼女以外に考えられなかったのではないだろうか、と思ったら、このオーディションにはもう一人の天才少女が参戦していたのである。Netflixドラマ「ストレンジャー・シングス」の超能力少女イレブンで話題沸騰の13歳、ミリー・ボビー・ブラウンだ。この二人が戦った最終オーディション会場のことを考えるだけでも鳥肌が立つ。きっと彼女たちの目が合った瞬間、窓ガラスや植木鉢は割れ、ほかの子役の少女たちは突風に吹き飛ばされて泣きながら退散したことだろう。この二人の少女ヒーローは新世代女優のイメージを一新した。

 ここに加わりそうな少女がさらに一人、映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(’17)に登場。少年たちに交じって恐ろしいピエロと戦ったソフィア・リリスである。まるでモリー・リングウォルドみたいな80年代的美少女ながら、内に秘めた強さを感じさせるところが現代的である。今の女優はただ演技がうまいだけではなく、同世代の女性たちを引っ張っていくようなアクティビストであることが求められているが、その役割を現在、担っているのがディズニー・チャンネルの生んだ少女スターのローワン・ブランチャードだ。ジェンダーや人種、環境問題についての知的なエッセイをブログで発表し、ウィメンズ・マーチでもスピーチした。彼女をお手本にしているファンたちが大人になるとき、世界は変わるかもしれない。

 音楽の世界に目を移してみても、ただ歌うだけではなく、自分で曲を作り、サウンドを選ぶ少女シンガーソングライターの台頭が目立つ。ラナ・デル・レイがお手本というアンニュイなビリー・エイリッシュは16歳、オーディション番組から飛び出し、次世代のテイラー・スウィフトと呼ばれているグレース・ヴァンダーウォールは13歳だ。好調なシカゴのR&B/ヒップホップ・シーンから出てきたレヴェン・ラネイも18歳。

 こうなってくると、エンターテインメント業界だけではなく、政治の世界にも一人、10代の少女ヒーローが欲しい。気になるのはオバマ家の次女、サーシャことナターシャ・オバマの動向である。彼女が活動を始めたら、その影響力は計り知れないはずだ。

SOURCE:SPUR 2018年2月号「2018年の#INSPOを探せ」
photography:©amanaimages, ©Getty Images text:Madoka Yamasaki

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