新型コロナウイルスの流行で、家の中を心地よく、楽しく整える思いが強くなったのは、お隣ソウルでも同じ。再び自由に往来できる日を願いつつ、最新ライフスタイルショップガイドと女性たちのインテリアルポで、家と暮らしの彩り方を探る旅へ。
ソウルのライフスタイルショップを夢見て
パンデミックの影響下でも、常に進化を続けるソウルの最新ショップ。個性豊かなオーナーがプロデュースする店内には、心地よく過ごすためのインテリアのヒントが。SNSだけでは見られない、リアルなソウルの「息づかい」を体感して。
One Ordinary Mansion
のびやかな空間で一堂に会するはミッドセンチュリーの伝説的名品
店内はまるでミッドセンチュリー・モダンのミュージアム。プルーヴェ、ジャンヌレらの名作家具がスタイリッシュにコーディネートされ、邸宅ライフへの憧れをかき立てる。「家は住む人の魂を盛った器です。家で過ごす時間が増え、好きなものに向き合い、ライフスタイルを構築するにはいいタイミング」と語る、オーナーのイ・アヨンとキム・ソンミン夫妻。彼らのコレクションは、デザイナーのコンセプトがより色濃く表現されるファースト・エディションにこだわりが。
1・2 各コーナーのインテリアアレンジにイメージがふくらむ。アクセントのきいたライティングのコーディネートが秀逸。
3 天井が高く、広々とした店内。ル・コルビュジェ、ジャン・プルーヴェ、シャルロット・ペリアンなど、最近はオーガニックなムードのフレンチモダンのコレクションが増えた。
4 ヨーロッパ各国からバイイングしたサーリネン、ポールセン、ベリーニなど、名作家具＆照明だらけのディスプレイ！
5 J.J.P Oudのダイニングテーブルセット。
6 カリフォルニアのモビールアーティストとのコラボレーション。全3種類。₩68,000
※₩（ウォン）1 ＝約0.094円（2月1日現在）。国際電話の国番号は82です。
SHOP DATA
One Ordinary Mansion（ワンオーディナリーマンション）
ソウル市江南区紫谷路7 キル24
02-451-0525
営業時間：10時～19時 無休
Instagram:@oneordinarymansion
※2021年3月現在、予約制で営業中
39etc
心を弾ませるユニークなオブジェで家を飾って
アートディレクションチーム39etcがキュレーションするオブジェクトショップ。「美しいものを見て気持ちがよくなる、という根源的な幸福感を家の中で味わってほしい。そのためにはまず自分たちが面白く感じるアイテムを」と、ウィットに富んだセレクトを行なっている。アメリカやヨーロッパ、日本を中心としたアーティスト作品とヴィンテージ、オリジナルのプロダクトもあり、表情豊かなラインナップ。目が合ったとき、思わず笑みがこぼれるオブジェを、心のままに選び、連れ帰りたい。
7 プレイフルなディスプレイが店内のあちこちに。39etcオリジナルの「Leather charm multiplug」も。
8 HEEEのフラワー＆プランツスタンド「0（ゼロ）」（写真・左）
9 家具に掛けたり、ハンギングしても楽しめるBLESSのブランケット（₩630,000）がおすすめ。
10 最近はサステイナビリティの観点から再発見するヴィンテージオブジェのセレクションに力を入れている。
SHOP DATA
39etc（サングイティシ）
ソウル市龍山区二村路18キル21の47
010-8810-09210
営業時間：13時～18時 定休日：水曜、正月、旧正月、旧盆
Instagram:@39etc
www.39etc.com
tta
モダンな感性でセレクトした世界各国のクラフトたち
セラミックの器やテキスタイル、インセンスを中心に、日常使いの雑貨をセレクト。現在は東欧、北アフリカ、アメリカなど、11カ国のクラフトに加え、韓国の若手作家の作品も扱い、作り手と交流しながら生まれた商品も多い。オーナーはヘルシンキとベルリンでデザインを学んだイ・ギスンさん。「心に安らぎをもたらすものについて、今は振り返る時期。人の手が生む暮らしの小物で、自分好みの空間を再構築してほしいですね」
11 セラミックアーティストのホ・イソをはじめとする作家の器や花器が多数勢揃い。
12 壁に掛けられたテキスタイルはttaオリジナルのブランケット。各国のクラフト家具も取り扱う。
13 アーティスト、キム・ホジョンが手がける「Flow Ceramic」シリーズ。韓国出身の若手アーティストの作品を展示することも。
SHOP DATA
tta（ティティエイ）
ソウル市西大門区延嬉路11キル28の5
070-4773-9594
営業時間：12時～20時 無休
Instagram:@tta_official_
www.shop-tta.com
OIIOII STORE
ひとつひとつ表情の違う雑貨をステイホーム中のパートナーに
取り扱うのは、ヴィンテージグラスを中心に、センスある現代作家による雑貨や、小規模で丁寧な服作りをするブランドのファッションアイテム。「今の時代、気楽に長くつき合えるものが、持ち主のライフスタイルをつくり上げていくと思います。お客さんと手に取った商品との間に、唯一無二のストーリーが生まれるような出合いを提案しています」とオーナー。愛着をもてる小物たちが、ステイホームの時間を明るくしてくれるはずだ。
14 ユーモラスなインセンスホルダーは、アーティスト、カン・ヒウンの作品。 各₩20,000
15 ジュエリーブランドNIEUN STUFFの天然石を用いた雑貨やアクセサリーとヴィンテージグラスをミックスしてディスプレイ。
16 ここでしか買えない韓国のアパレルも扱う。
17 1970年代のメキシコのヴィンテージグラス。₩59,000
18 貝殻モチーフが美しいスプーン。各₩49,000
SHOP DATA
OIIOII STORE（ウィウィストア）
ソウル市城東区ソウルスップ2キル19の8 1F
営業時間：12時～20時 定休日：月・火曜
Instagram:@olloll.store
韓国のインテリアルポ2021
ステイホームの期間、韓国在住の女性たちが心のよりどころにしたのは、オーガニックな癒やしの居住空間。こだわりがぎゅっと詰まった秘密基地のような、４人のお宅へ、いざ！
有機的に変化する多彩な植物が日常をリフレッシュしてくれる
Seonyoさん
会社員。インスタグラムにて「安息所」を意味する「#안식처」というハッシュタグとともに自宅のインテリアをアップ。フォロワーは8万人を超える（22月1日現在） Instagram: @ju_seonyo
インスタグラマーのソンヨさんの住まいは築20年の団地。限られた空間でも、さまざまな植物とともに暮らすことで日常の疲れがリフレッシュされるという。
「変哲もない壁面も、植物の樹形によってまったく異なるムードになるし、成長につれて部屋の中がゆっくり変化してゆくのが心地よい。季節感も感じられますし。大好きな植物をたくさん置いたら、いつの間にかテラリウムのようになりました。世話をするたび愛情が深まる家の中の自然に、エネルギーをもらっています」
19・20 お気に入りのコーナーはPCを置いたデスク周辺。「好きなものに囲まれ、趣味を楽しむ場所でもあります」
21 春夏の夕暮れ時には、窓から入る日差しで部屋がオレンジ色に染まる。部屋から季節の移り変わりを感じることができるのがうれしい。
22 植物とカードが、にぎやかに空間を彩る。ヴィンテージアイテムはINHOUDEN、Tour feuilleなどのサイトで購入することも。
23 ベッドルームには、スウェーデンの田園生活を描いた画家、カール・ラーションの作品が。「植物とともにある暮らしの風景が私の目指す雰囲気に似ています」。リネンはCOCON、Chez nous à parisがお気に入り。
「森の中にある家」をコンセプトに自然を感じるインテリアを
Yejin Moonさん
フリーランスデザイナー。五感をテーマにさまざまなプロダクトを製作するライフスタイルブランドOTH commaを運営。 https://othcomma.kr Instagram: @yejinmoon_
「光と緑が窓からたっぷりと入ること」を条件に、40軒以上の家を探して理想の家に巡り合えたというイェジン・ムンさん。窓からは森が見え、その自然を招き入れるように家の中を飾っている。「リビングのソファで日差しを浴びながら昼寝をしていると、幸せに包まれます」。寝室をあえて広い部屋に、狭いほうをリビングに割り当てた。ステイホームの期間、そのこぢんまりとした場所にこそ「好きなものだけに囲まれる」というくつろぎを感じたのが、うれしい発見だったそう。
24 ２LDKの部屋のうち、小さな部屋をリビング兼仕事場に。窓から見える森の風景に、室内のグリーンが呼応するような空間。
25 日差しもたっぷりと入るコーナー。仕事の資料を収納するガラスのキャビネットの上には、自身で撮影した自然の風景の写真を飾っている。
26 のびのびと自分だけの時間を満喫できるソファをリビングの中心に。部屋の仕切りに使う波の写真をプリントしたカーテンもイェジンさんの作品。
都心を離れて、窓の外の風景と愛する雑貨に心を和ませる
Chung Deokyoungさん
日本留学後、ソウルでファッションデザイナーを経て、昨年オンラインライフスタイルショップKKOMACK（コマック）を立ち上げた。 Instagram: @kkomack
北欧雑貨を中心に扱うオンラインショップKKOMACKを主宰するチョン・ドクヨンさん。ソウル中心部から約30分ほど離れた、眺望のいいマンションに住む。「家で仕事をしているので、目に映るものは自分を幸せにしてくれるものを。見ていて気分のいい小物や植物を置いていったら、今の空間になりました。なんといっても、窓から見える山、アマルサンの季節ごとの風景が、一番素敵なインテリアになってくれています」
27 ベッドルームのインテリアは、心和むやわらかなトーンで統一。
28 北欧デザインを取り入れたリビングには、大きな窓。「毎朝、ここでコーヒーを飲みながら、鳥の声を聞き、山の風景を眺める時間が本当に大切です。感謝の気持ちで一日をスタートします」
29 KKOMACKでも取り扱うLex Pottのツイストキャンドル。
多様な役割を果たしてくれる家で人生の＂休み時間＂を楽しむ
Kim Jeinさん
猫と植物と一緒に暮らすYouTuber。チャンネル「ジェインセンス」で、ベランダガーデニング動画などを発信中。 Instagram: @sosopub
「10年間飲食業に携わっていましたが、ひと休みしたくなって生活を整理しました。幸い新型コロナウイルス流行の前でした」とキム・ジェインさん。「ニューノーマルの時代の家は、憩いの場であると同時に遊び場」と語り、さまざまな役割を果たすような部屋づくりを実践中だ。時にはベランダで仕事をしたり、家の中でキャンプをしてみたり、工夫をこらして猫と植物との生活を楽しんでいる。
30 リビングは多目的に使えるようにシンプルなスペースづくり。独立性を持たせたキッチンでは狭くても楽しく料理ができる。
31 寝室は大きな鏡とグリーンで空間を広々と演出。ジェインさんも猫たちも一番お気に入りの空間。
32 中央にベッドを置き、電球色の照明とスタンドでコージィな雰囲気に。
SOURCE：SPUR 2021年4月号「最先端インテリアのベストアンサー！ 서울(ソウル)のポジティブ・ステイホーム」
photography: Jungmin Lee〈Danpyun〉 text: Azumi Kubota coordination: Ja-Kyung Jung
