ロンシャンが創業の地・パリで初のアートフェスティバルを開催!

2026年9月4〜6日、フランス・パリにてロンシャンが主催するアートイベント「ロンシャン・アートフェスティバル」が初開催された。1948年に創業者のジャン・キャスグランがレザーグッズを扱うブランドとして革巻きパイプを発表して以来、ロンシャンはこの地で家族経営のまさに“メゾン”として、誠実にビジネスを続けてきた。半世紀以上にわたり、キャスグラン家が受け継いできた価値観には、クラフツマンシップやクリエイティビティへの敬意に加え、アートへの深い関心がある。そうしたファミリーの歩みとロンシャンの価値観を体現するのが、この「ロンシャン・アートフェスティバル」だ。

2026年9月4〜6日、フランス・パリにてロンシャンが主催するアートイベント「ロンシャン・アートフェスティバル」が初開催された。1948年に創業者のジャン・キャスグランがレザーグッズを扱うブランドとして革巻きパイプを発表して以来、ロンシャンはこの地で家族経営のまさに“メゾン”として、誠実にビジネスを続けてきた。半世紀以上にわたり、キャスグラン家が受け継いできた価値観には、クラフツマンシップやクリエイティビティへの敬意に加え、アートへの深い関心がある。そうしたファミリーの歩みとロンシャンの価値観を体現するのが、この「ロンシャン・アートフェスティバル」だ。

INDEX

アートをオープンに、誰にでも親しみやすく

アートを愛するキャスグラン家は、数々の作品を収集してきたのみならず、ロンシャンとしてもさまざまな形でアートとの関係を育んできた。フランス国内外のアーティストとの協業による製品コラボレーション、世界各国のフラッグシップストアやブティックでの作品展示、アーティストの展覧会協賛、そして所蔵作品の展示を中心とする「ロンシャン・アートフェスティバル」の開催と、ファッションとアートの接点を広げている。

パリ・マレ地区の「ロンシャン・アートフェスティバル」会場

満を持して開催された「ロンシャン・アートフェスティバル」の会場となったのは、多くのアートギャラリーがひしめくマレ地区の一角。“Movement”をテーマに、絵画、彫刻、写真、デザイン、デジタルアート、音楽、ダンスなどを組み込んだ複合的な3日間のプログラムが展開された。事前予約制ながら入場無料で、来場者は自然光が注ぐ開放的な空間にて、著名な作家から気鋭の若手まで、世界各国の約30組のアーティストによる作品を鑑賞できた。

ジャン・キャスグランとソフィ・ドゥラフォンテーヌに聞く、メゾンを形づくるアートの力

今年4月のKYOTOGRAPHIEに続き、再びクリエイティブ・ディレクターのソフィ・ドゥラフォンテーヌ、また彼女の兄でありCEOのジャン・キャスグランにも話を聞くことができた。

ロンシャン創業家のファミリーポートレート

ロンシャン創業家のファミリーポートレート。左中央から時計回りに、ジャン・キャスグラン(創業家3代目 CEO)、エイドリアン・キャスグラン(創業家4代目 CSRおよびトランスフォーメーション・ディレクター)、ジュリエット・ポパード(創業家4代目 イベント・ディレクター)、ソフィ・ドゥラフォンテーヌ(創業家3代目 クリエイティブ・ディレクター)、ヘクター・キャスグラン(創業家4代目 フランス担当ジェネラル・ディレクター)   photo: Say Who_Michael Huard

――おふたりにとって、アートとはどのような存在なのでしょうか?

ソフィ・ドゥラフォンテーヌ(以下、S):間違いなく、大きな刺激を与えてくれるものです。人々との出会いをもたらし、時に実践的な技術や知識、世界や国々を“発見”できる。そして、オープンな心構えで物事を考えるきっかけにもなりますね。 

ジャン・キャスグラン(以下、J):私にとってアートの定義とは、感情を生み出すものです。 

――会場には、日本人アーティスト・西川裕子さんの作品も展示されています。西川さんの作品を選ばれた理由と、どのような点に惹かれたのか、お聞かせください。 

J:実は、〈MINDO CLOUD FOREST〉は我々のコレクションに加わったばかりなのです。彼女の作品を購入したのは初めてなので、私たちにとってフレッシュです。この作品は静止しているのではなく、動きがある点がとても気に入っています。そして、繊細でありながら軽やかで、控えめな美しさがある。ロンシャンのブランド価値とも非常に合致していると思います。 

S:優雅で知的だとも感じます。 

日本人アーティスト・西川裕子の〈MINDO CLOUD FOREST〉展示風景

日本人アーティスト、西川裕子の〈MINDO CLOUD FOREST〉展示風景

――ご存じの通り、彼女の作品はリサイクルした紙を素材にしており、ロンシャンの姿勢とも共鳴していますね。では、コレクションに加える作品を選ぶ際、どんなことを重視されているのでしょうか? 

S:まず、私たち自身が気に入るかどうかが最も大切です。 

J:確かに。 

S:著名なアーティストの作品だとしても、その感性が心に響くかどうかは重要視しています。 

J:コレクションの傾向でいえば、色彩の鮮やかさ、動き、楽しさ、前向きなエネルギーを感じられること、あたりでしょうか。KYOTOGRAPHIEでサポートしたタンディウェ・ムリウを例に挙げると、彼女の写真のカラーパレットは非常に鮮烈ですよね。そして、コレクションの大部分は抽象的、または幾何学的な作品で構成されているとも思います。 

S:そうですね。ジャンがお伝えした特徴は、ロンシャンがブランドとして探求しようとしていることとも深く結びついていると思います。 

キャロライン・ヘランとロンシャンのコラボレートによる作品

今シーズン、カプセルコレクションとして協業したフランス人アーティストのキャロライン・ヘランによる作品

――ちなみに、アート作品を手に入れることは大きな決断だと思うのですが、ご家族の間ではいつも意見が一致するのでしょうか!? 

J:大抵はね(笑)。 


S:ええ(笑)。私たちは別々にアートフェアや展覧会を回ることもあります。ですが面白いことに、後で意見交換すると、ふたりとも同じ作品に惹かれていたりもするのです。もちろん、ときには議論することもありますが、ジャンと一緒に収集に取り組めるのは本当に楽しいですね。 



――ではソフィさんにお聞きします。ファッションの視点から捉えるアートとは? 


S:私はアートではなくファッションデザインに携わっており、両者を切り離して考えています。私の仕事は常に女性に向けられています。これは私たちのコレクションにとって非常に重要なことだと思います。そして、どのプロダクトも魅力的である必要がありますが、機能性に支えられていなければなりません。ただ自由なだけで、着られなかったり使えなかったりするようなものであってはならないのです。私はデザイナーですから、目的を持って創作しています。一方でアート、そしてアーティストは、自由の象徴なのです。あらゆることを探求できるのですから。

ソフィとジャーナリストのジェラルディン・サラティアのギャラリートーク

イベント初日となる9月4日の朝、ソフィと著名なアートジャーナリストのジェラルディン・サラティアによるトークショーが開催された。

パリで開催された「ロンシャン・アートフェスティバル」の展示風景

トークでは、ジェラルディンとの対話を通じて、ロンシャンとアートとの長い関係について語られた。

ジャンとソフィは、ロンシャンの前身である高級喫煙具専門店の2階で生まれたことや、ソフィの祖母が多くのアーティストに囲まれて暮らしていたことなど、キャスグラン家の絆やアートの距離の近さを振り返った。

また、1971年にはアーティストのセルジュ・メンジスキーにロンシャンのレザーを用いた作品制作を依頼していたことや、1998年に10人のアーティストとともに“夢のようなバッグ”を考えるプロジェクトを実施したことにも言及。その試みは、その後のアートコラボレーションの原点になったという。

さらに2004年のトレイシー・エミンとの協業については、ソフィ自身や職人たちに新たな挑戦と発見をもたらした出来事として振り返られた。

トーク後は聴衆からの質問が寄せられ、さらにはサプライズとして、キャロリン・デネルヴォによる40分以上にわたるライブペインティングも。目の前で変化し続ける作品とその制作プロセスは、“Movement”というテーマをより鮮やかに印象づけた。

メゾンと親交の深いアーティスト・foxcoも来場!

2023年にコラボレーションを果たして以来、ロンシャンとの親交が深いアーティスト、foxcoとして活動する渡邉香織さんも駆けつけた。

パリの「ロンシャン・アートフェスティバル」会場でのfoxcoこと渡邉香織

アシンメトリーな袖が特徴のバーガンディのドレスに、キャロライン・ヘランのアートワークをあしらった「デイロング」バッグを合わせて

――今回、パリで「ロンシャン・アートフェスティバル」に参加した感想は? 
 
マレ地区のかわいらしい街並みの中に突如会場が現れて。この空間に、今回は“Movement”というテーマで動きのある作品がたくさん並んでいます。ロンシャンとして、誰もが入りやすい空間を意識しているとのことで、こういう場所が身近にあるといいな、と思っていました。 
 
――お気に入りの作品は? 

ギヨーム・グランドの〈SURFACE ET PROFONDEUR VAGUE DE CHALEUR〉です。表面に水面のようなテクスチャーがあり、作品に沿って歩いていくと、色彩によって作品を見る自分自身の気持ちまで変化していくように感じられて。すごく気に入っています。 
 
――アーティストの立場から感じる、ロンシャンらしさについて教えてください。 
 
ロンシャンとは、2023年に表参道と銀座にあるフラッグシップストアのウィンドウに飾る「現代のパリジェンヌ」のイラストを描かせていただいてからのご縁です。実際にパリのオフィスやアトリエも訪れ、その際にクリエイティブ・ディレクターのソフィさんとお話ししました。ラフを描く段階で、「香織、もっとプレイフルにしていいよ」と言ってくださり、自由で、楽しくて、みんなが楽しめるような作品にしてほしい、とリクエストをいただいたのをよく覚えています。ここで拝見している作品にも、同じようにプレイフルな雰囲気を感じています。 


一家そろってアートを愛し、その価値をより多くの人に伝えていこうとする姿勢は、会場の随所から感じられた。アートを“鑑賞するもの”にとどめず、人や街、会話をつなぐ場として提示した今回の試み。ロンシャンの今シーズンのテーマ、「Creative Curiosity(創造的好奇心)」は単なるシーズンコンセプトではなく、メゾンそのものを表す言葉なのかもしれない。

ジャン・キャスグランがオープニングの挨拶で語った「ファースト・エディション」という言葉どおり、この取り組みがどのように発展していくのか、次回以降にも期待したい。

ロンシャン・ジャパン
https://www.longchamp.com/
0120-150-116

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