RINA'S VOICE

等身大の自分を表現する音楽とファッション

コート(参考商品)/バレンシアガ クライアントサービス(バレンシアガ) ドレス£865/Ashley Williams その他/私物

Q リナさん流スタイリングの3つのルールを教えてください。

「一つ目は、流行にとらわれすぎないこと。3年ごとに来るトレンドはその時代の空気感を反映しているから気にするようにはしているけど、季節ごとの流行にはあまり流されたくないと思っています。買い物をするときは、本当に投資する価値があるかどうか、じっくり見極めたい。安いTシャツ1枚にしても、毎日のように着られるかどうか、自分の手持ちのワードローブに合うかどうか、よく考えて買うことを心がけています。二つ目は、洋服を大切に手入れして長く着ること。洗濯や保管方法に気を使って、大事に着ます。洋服の使い捨ては好きじゃないから、ファストファッションのアイテムはもう長いこと買ってないかも。三つ目は、自分を表現するためのクリエイティビティを持つこと。それが全身のコーディネートでなくてもいいんです。それこそ小物でもよくて、たとえばバッグだったり、口紅だったり、シューズだったり。自分を最大限に表現できるものをひとつでも身につけることが大切だと思う」

Q 若手のデザイナーまで幅広くチェックしていますね。どのようにキャッチアップしていますか

「撮影時にさまざまなデザイナーの作品に触れる機会が多く、気になるブランドについてはスタイリストによく質問し、クールだと思うデザイナーについては書き留めるようにしています。それに、ロンドン・ファッション・ウィークの期間中はできる限り多くのショーに足を運ぶようにしています。ロンドンは新進気鋭のデザイナーを発掘するのには、世界最高峰の場所だと思うから。気になったショーはウェブサイトで調べ、スクリーンショットを事務所やスタイリストに送ってファイリングしたり。その中から衣装のコンセプトに合ったデザイナーやルックを引っ張ってくることも。今はストックホルム発のブランド、エイティーズがとても好きで、今日着てきた私服のジーンズとシューズも同ブランドのもの。ちなみにオレンジのダウンジャケットは、韓国のエイダ。私服は90年代のスタイルや、ラグジュアリーストリートウェアが好み」

Q リナさんにとって、ご自身の音楽におけるファッションの役割とはどんなものですか?

「ファッションは、自分の音楽を新鮮に保ってくれる存在だと思っています。衣装を変えるだけで、同じ曲でもまったく違った魅せ方ができるし、自分自身も飽きることなくフレッシュな気持ちでパフォーマンスできるんです。ツアーやライブ、テレビ出演のときはいつも、個性的でひとつのスタイルにとらわれない、いろいろな解釈ができるファッションを心がけています。衣装に関しては、どんなオーラをまといたいのか、明確な意思がある。そこからディレクターやスタイリストと話し合って決めていく。ときには、自分で資料を持参することもあります。MVの衣装にしてもそう。それぞれの楽曲のサウンドが持つ世界観をビジュアルに落とし込むときは、ひとつのキャラクターを創り上げるようなもの。10代の頃、レディー・ガガの「バッド・ロマンス」のMVを見て衝撃を受けて以来、彼女は私にとって絶大な影響力を持つ着想源なんです。ガガのような孤高の世界観を生み出すことを、いつも目指しています」

Q 衣装のアイデアのインスピレーションは日常の中からも得ていますか?

「YouTubeからヒントを得ることが多いです。それに、若手のデザイナーやコレクションを中心に、インスタグラムは常にチェックしています。でも、スタイルそのものとか、たとえばランウェイのルックをそのまままねしたい、このアイテムが欲しいということではない。あくまでもクリエイティビティを刺激するきっかけになるものを探している感じ。メイクアップアーティストのアナ(@anatakonyourface)とヘアスタイリストのトモミ(@tomomiroppongi)とはもう1年以上チームを組んでいるので、彼女たちの意見も参考にしています。アイデアのリファレンスを共有し、それぞれが自分なりの解釈をしてひとつの作品に仕上げていきます。私の髪や顔やスタイルを熟知している、信頼のおけるチームと一緒に仕事をすることで、最高の作品になると信じているので。今回念願がかなってご一緒したアイ(@aikamoshita)のスタイリングは以前から大好きでした。今日のルックはどれも素敵で、とても気に入っています!」

Q クローゼットの中に、絶対に手放せないファッションアイテムはありますか?

「撮影の衣装とはまったくテイストが違い、私服はとにかく着心地がよくてリラックスできるものが好き。黒のゴツめのチャンキースニーカーは常に持っています。北欧ブランドのエイティーズだったり、バッファローだったり。今日のスニーカーは1年くらい履いています。同じものを長く愛用するのが好きで、あれこれ買うことはあまりしないかな。ここ2カ月なんて、Tシャツ5枚とジーンズ1本、カーゴパンツ1本、ジャケット2着で過ごしたんです。今はこういう時期だからそうでもないけど、引っ越しも多かったし頻繁に移動していたから、それが今のライフスタイルに合っているというのもあるかも。そういうシンプルな暮らし方が性に合っているのかもしれない。選択肢がありすぎて、コーディネートに頭を使いすぎるのは好きじゃない。もちろん、ドレスアップして出かけるのも楽しいですよ。撮影やイベントのために気合いを入れて着飾るのも好きだけど、普段着はもっとリラックスした感じでいたい」

Q リナさんの楽曲からたくさんのパワーをもらいました。2021年に向けて、SPUR読者にメッセージを!

「ありがとうございます! 私の曲はどれも、パーソナルな経験を題材にしています。いろいろなプロデューサーやソングライターたちと一緒に、その曲に物語を与えていく作業は本当にワクワクする。どんな物語に仕上がるのか、そのプロセスをようやく楽しめるようになってきたところです。わずか1年くらい前までは、自分にはまだその力量がない、まだまだ実力が足りないと感じていたから、ファーストアルバムには満足できなかった。でも、ようやく自分より若い友人たち……自分の若い頃みたいな友だちに、私の曲を聴いて少しでも勇気が湧いてきたり、幸せな気持ちになってもらえたらうれしいと思えるようになってきたんです。自分に正直であること、その大切さを実感しています。だから、私からの2021年に向けてのメッセージは、あるがままに、真実の日々を生きましょう! そして素晴らしい1年にしましょう! かな?(笑)」

Profile
1990年日本生まれ。4歳で渡英し、ケンブリッジ大学卒業後、ロンドンを拠点に活動。2020年4月に家族とアイデンティティを主題にしたファーストアルバム『SAWAYAMA』、11月にEnd of the Worldリミックスのシングル「Bad Frien(d End of the World Remix)」をリリース。

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