各地でルーキーたちが頭角を現している。みなさん、まとめていらっしゃ〜い！
デザイナーへの共通質問
Q1 モットーは？
Q2 アイコンやインスピレーション源は？
Q3 手放せないファッションアイテムは？
Brand: WED/ウェド
Designer: Evan Phillips/エヴァン・フィリップス、
Amy Trinh/エイミー・トリン
Instagram: @wedstudio_
セントラル・セント・マーチンズで学んだ二人がタッグを組み、2019年にブランドスタート。ロンドン在住。
A1 ５年たってもなし得ないことに、５分以上使うな
A2 インスパイアしてくれる人すべて
A3 ヴィンテージの黒のタフタスカート（エイミー）、ヴィヴィアン・ウエストウッドのパンツ（エヴァン）
「新感覚のサステイナブルウェディングドレス」
ヨーロッパのファッションウィークが一段落したある日、知らないブランドから展示会への案内が届いた。何だろう？と検索するとブライダルブランド風だが……。気になったので訪れてみることに。思いのほかグラフィカルでキャッチーなコレクションにすぐさまFALL IN LOVE！ 実は個性的なウェディングドレスであり、特別なデイリーウェアだった。「新型コロナのあおりを受け、限られた素材の中で思いついたのが、残布をつぎ合わせて使った市松模様だったの。結果強いヴィジュアルに」とエイミーがほほえむ。2021年春夏はコンメディア・デッラルテ（仮面を使う即興演劇）が着想源だ。「彼らのシュルレアルな作品を掘り下げ、WFH（ワーク・フロム・ホーム）を逆手にとってみた。お互い違う素材を使って服作りをし、ロックダウン解除後に持ち寄ってひとつのコレクションに。“優美な屍骸”と呼ばれるシュルレアリスムの共同制作の手法を採り入れたんだ」とエヴァン。新しい形のオケージョンウェア、そしてウェディングドレスの提案からスタートしたウェドだが、その根底には日常と非日常の交差がある。サステイナブルな視点で制作をする若手としてもますます注目の的だ。
Brand: YUEQI QI/ユキィ キィ
Designer: Yueqi Qi/ユキィ・キィ
Instagram: @_yueqiqi
広東省出身。2018年にセントラル・セント・マーチンズを卒業後、翌年自身のブランドを設立。’20年春夏上海ファッションウィーク中の、若手サポートプラットフォーム「レーベルフッド」でデビュー。
A1 昨日よりも明日よりも、今日が一番いい日
A2 なし
A3 イッセイミヤケのオリエンタルプリントの洋服
「ロマンティックなチャイナタウン・クチュール」
面白い新人を見つけようと乗り込んだ、2020年春夏上海ファッションウィーク。ダイナミックなフォルムとカラフルなプリント、そして可愛らしいデコレーションに胸キュンが止まらなかったブランドがあった。それがユキィ・キィ！ クリエーションの根底にあるのが、海外で生活をした彼女だからこそできる、中国文化のさまざまな解釈。最新コレクションについて尋ねると、「’21年春夏のテーマ“Au Revoir Champ des Riz（さよなら、田んぼ）”は、国外で伝承されている中国文化を指しているの。かつて異国へと伝わった古い中国文化は、異文化の影響を受けて独自の変化を遂げた。でも同じDNAを持っている。いわゆるピジン言語の具現化みたいなものかな」。それは世界中のどのチャイナタウンにも見ることができる。そんなユキィ・キィは、昨年11月に開催されたグッチフェストで注目の若手の一人として選ばれ、映像作品“Taro Buddha”を公開。ますます飛躍するに違いない！
Brand: IWANNABANGKOK©/アイ ワナ バンコック
Designer: Adisak “Beam” Jirasakkasem/アディサ・“ビーム”・ジラサッカセーム
Instagram: @iwannabangkok
中華系タイ人の家庭に生まれる。３人の兄姉を含め全員がゲイをオープンにしている自由な環境で育つ。10代でタイの老舗ブランドGreyhoundを知り、センスとブランディングに感化されデザイナーを目指すことに。
A1 可愛くあろう！
A2 バンコクの若者
A3 IWANNABANGKOK©クロスボディバッグ
※1TBH＝約3.53円（2月25日現在）
「マスイ爆買い！ バンコクユースのユニフォーム」
なんじゃこりゃ？ サイアム駅横に建てられたポップアップのサイン、中華街の路地裏のグラフィティ、チラチラ目に入る“IWANNABANGKOK©”の文字。気になる……。その正体はすぐに明らかに。チャオプラヤー川沿いにできたショッピングモール「アイコン・サイアム」を訪れると、ひときわ目立つ傾いたポップアップショップを発見！ キャッチーなロゴを使った可愛くて、お買い得なアイテムを爆買いしてしまったのは２年前のこと。そのときに接客をしてくれたのがデザイナーのアディサだった。「若者のパワーをサポートしたいんだ。タイのシステムはすごく保守的で、長い間アップデートされていない。僕たちの世代は素晴らしい変化をもたらせると信じている。だから『IWANNABANGKOK©』はバンコクのダイバーシティとクリエイティブな部分を投影。若い世代が自分たちよりも素晴らしいことをするための、インスピレーションになればいいと思っている」
Brand: ESTER MANAS/エスター マニャス
Designer: Ester Manas/エスター・マニャス（右）、
Balthazar Delepierre/バルタザール・デレピエール
Instagram: @estermanas
ラ・カンブル（高等芸術学校）時代に出会った二人。2018年には卒業コレクションが「H&Mデザイン・アワード」や「イエールフェスティバル」のファイナルに残ったほか、2020年「LVMHプライズ」のセミファイナリストに選出され注目を集める。
A1 女性を信頼する
A2 人から見られたくて噂されたい女性たち
A3 なし
「One Size Fits All！ すべての女性のための服」
「ひとつのコートがどんな体型にもフィットするの」という魔法のような言葉にびっくり！ エスター・マニャスに初めて会ったのは、パリコレが主催する若手デザイナーの展示会。ただオーバーサイズなのではなく、ボタンやベルト使いで表情を変えながら、多様な女性の体を包み込む。新しい方法でダイバーシティに挑戦しているのだ！ 「ブランド設立時から“ワンサイズ”をコンセプトに掲げてきた。もちろんサステイナブルも重要」。生産はスタジオから20分の地場工房、素材の半分以上にデッドストックを採用し、フリーマーケットで素材を探すこともある。「ワンサイズは少ない生産ですむし、無駄がない。バイヤーさんも理解して買ってくれ、服はそれぞれの体によって変化する。みんながウィンウィンでしょ！」とエスター。2021年春夏は“Sorority”（大学の女子社交クラブ）がテーマ。「アメリカの大学の有名女子会を調べたわ。そして中世のヨーロッパで発生した半聖半俗の姉妹団ベギン会を知って興味を持ったの」。ハートの中で手を握るロゴには、そんな人と人のつながりを感じさせる。実は個人的に、このロゴを使った新バッグを虎視眈々と狙っている。早く発売されないかな～。
