既に17AWプレタポルテも!パリ・オートクチュール週間速報

1/22〜1/26に渡って開催された、パリ・オートクチュール・ファッションウイーク。先週のディオールに続き、今回は新たに4メゾンをご紹介しましょう。

まずは、シュール・レアリスムとゆかりが深いスキャパレリ。今回はヴァンドーム広場でも隣のエヴルー邸でもなく、拡張した本社で開かれました。新たなる部屋は、一昨年ローンチされた高級プレタポルテのライン、プレタ・クチュール(Prêt à Couture)のプライベート・サロン。アーティスティック・ディレクター、ベルトラン・ギヨンによるエルザ・スキャパレリへのオマージュは今回、グラフィック・パターン、鳥かごやロブスター、ハート、鍵などアイコニックなモチーフに加え、着物のシルエットやシノワズリの一連で表現されました。またショーの翌々日には、若い才能を発掘する“イエール国際モード&写真フェスティバル”の第32回(今年4月末に開催)で、ベルトランがモード部門の審査委員長を務めることが公に。

そして、科学とアート、またはテクノロジーとクラフトの融合と言うユニークなアプローチで知られる、オランダのアイリス・ヴァン・ハーペン。このビトゥイーン・ザ・ラインズのコレクションで彼女が追求したのは、相反する素材の出会いが引き起こす”ずれ“。ヴィジュアル・アーティスト&建築家、フィリップ・ビースレー(Philip Beesley)とのコラボレーションでは、まず反復する線によって描かれた幾何学パターンが、アクリル樹脂にレーザーカットされ、次には特殊な技術で、透明のポリウレタンの”スカルプチャー“に仕上げられました。平面画像が3Dプリンターで立体的な形に仕上がるのと似ています。そしていくつかの作品では、さらにその上からハンドペイントやステッチが。ステージで、16体の完成されたルックは、いずれもネガフィルムにように浮き上がって見えます。

さて、メンズ/ウイメンズ、クチュール/プレタポルテ、プレ/メインが交錯し、どのシーズンのコレクションなのかよくわからなくなって来ている昨今ですが、今回のクチュール・ウィークでも、メジャーな二つのメゾンがプレタポルテを発表しました。

まずは、このサイクルになって2シーズン目、話題のヴェットモン。ポンピドゥー・センターで開かれたのは、プロのモデルや友人、老若男女をミックスした、ハイブリッドなショーでした。スウェットなどがブランドの象徴的アイテムとして人気爆発する一方、新しい境地を開拓しようとしたデムナ・ヴァザリア。彼は各ルックを“パリジェンヌ”、“ツーリスト”、“カウチ・ポテト”、“フーリガン”のように名づけ、それら特定のジャンルの人々のドレスコードをインスピレーションにしたそうです。中にはヴィンテージをリサイクルした、珍しいピースもありました。

そして、2012年まで続けていた自分のサイクルに戻って、クチュール・ウィークに復活したのが、メゾン・ラビ・ケイルーズ。転機となったこのショーでレバノン出身のラビーは、得意のミニマルながらフェミニンなカッティングで、エッセンシャル・アイテムを昇華することに専念しました。そんなアイテムとは、トレンチコートやブレザー、シャツ、ペザント・ブラウス、パンツ、そしてチュニック・ドレスのバリエーション。クリーム、黒、ピンク、赤、ブルー、グリーンといったトーンはコンテンポラリーなシルエットを際立たせ、ときには奇妙なバランスのレイヤーが、ユニークなスタイルを提案していました。

ちなみに、シャネルやヴァレンティノをはじめとするオートクチュール・ハイライトは、3月23日発売SPUR5月号のFindsでご紹介します。お楽しみに!

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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