ひそかに話題の羽根木エリアで、アートに浸る

最近、おしゃれスポットが増えているとの噂を聞きつけ、ひそかに気になっている羽根木エリア。下北沢からもほど近く、最寄りの新代田駅から少し歩けば、樹木に囲まれた静謐な小道が連なっています。都内のはずなのに、まるで軽井沢のような異空間に包まれるのも、この地域ならではの魅力。週末に、散歩がてら詮索を入れてきました。確かに、「ここ何だろう?」と思わず足を止めたくなるようなセンスの良いギャラリーやショップをいくつか見つけたので、回をまたいでご紹介していきます。

今回取り上げるのは、羽根木の玄関とも言える場所にある小さなカフェ&ギャラリー。新代田駅の改札を出てすぐの大通りを挟んだ真正面、京王井の頭線のRailwayと環状7号線のRoadがちょうど交差する所に店を構える「RR -COFFEE TEA BEER BOOKS‐」。

1階がスタンド、2階がイートインスペースになった陽当たりの良い店内です。そこでふと目を引いたのが、壁に飾られたTシャツと手描きのペイント。聞けばちょうど今、アーティストの個展の会期中なのでした。

個展の主は、Akinobu Aoki さん。絵描きである傍ら、Rega という人気インディーズバンドのベーシストとしても活躍されている方です。

2階に展示された作品を見てきました。作風は、一見ポップで可愛らしくも見えますが、決してそうではありません。むしろダークで毒々しいし、鬱屈とした威圧感もある。なのに、 何だかとても優しく繊細で、陽気な部分も同時にあって、その矛盾がとても愛おしい。RRの清潔感ただよう空間にも、絶妙に融け込んでいました。

動物モチーフを主役に、ダークな世界観で色彩豊かに描かれた作品は全20点。「Both electrodes(両電極)」と名付けられた今作は、自身が抱える闇の部分を主軸としながらも、その対局にある光の部分との両端を表現したんだとか。

人は誰しも、心の中に光と闇を持ち合わせているもの。自分ではどうすることもできない状況に悩み苦しむことだってあります。されど、闇があるからこそ光のあるところへ向かおうとする。彼が描いたのは、そういった人間の本質的なところなのでしょうか。誰もが日常の中で抱く感情だからこそ、無性に惹かれるものがあるのかもしれません。Akinobuさんの作品とお洒落なグッズに囲まれながら、そしてRRのブレンドコーヒーに癒されながら、ぼんやりとそんな思いにふけった週末なのでした。

Akinobu Aokiさんの個展「Both electrodes」は、7月10日(日)まで、新代田のカフェ RRにて開催中です。お近くの方は、ぜひ立ち寄ってみてください。

“エディターHAYASHI”

エディターHAYASHI

生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。