【SPORTS × MODE】アスリート、才藤歩夢さんが登場。新時代を駆け抜けろ

鍛え抜かれたしなやかな肉体が躍動した瞬間、服のシルエットはより美しく研ぎ澄まされ、まとう人も、服も輝きを増した――。今季のビッグトレンドでもあるアスレジャースタイルをフェンシングと近代五種で活躍する注目の才能が着こなす。2020年のオリンピックに向け時代が変わろうとしている今、モードの世界を切り拓くのは新ヒロインだ。

フェンシングのスピリットをハイモードな装いにのせて

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シャツ¥77,000・パンツ¥91,000・ハーネス¥115,000・コート¥179,000/ドリス ヴァン ノッテン イヤーカフ(左耳)¥62,000/THE WALL SHOWROOM(ラッツェル アンド ウォルフ)

袖部分に潔くブラックの染めが施された端正なシャツを彩るのは、フェザーやビーズが編み込まれたハーネス。それは中世貴族や騎士のスタイルを連想させる。才藤さんが手にしているのは本人が実際に使っているフェンシング用のマスク。騎士道が起源というそのスピリットとハイモードの掛け合わせは、強くて美しい女性像を生み出す。ウエストにはスポーティなコートをラフに巻いてモダニティを演出。

リズミカルなステップでサイクリングパンツを軽快に

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ブルゾン¥120,000・Tシャツ¥24,000・中に着たトップス¥33,000・ショーツ¥51,000・靴¥46,000(すべてマリーン セル)・ハンドカフ(右手)¥168,000・アンクレット(左脚)¥56,000・イヤーカフ(左耳)¥85,000(すべてラッツェル アンド ウォルフ)/THE WALL SHOWROOM

引き締まった脚線で、フェンシングのフットワークを機敏に運べば今季のイットアイテムであるサイクリングパンツが、タフなムードに。構築的なデザインのブルゾンとミニマルなボトムの対比がコンテンポラリーに映える。

バックスタイルが際立つミニマルなボディスーツ

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ボディスーツ¥120,000・パンツ¥175,000・ベルト¥101,000・ヘアバンド¥28,000(すべて予定価格)/プラダ クライアントサービス(プラダ)

「普段からスポーティなスタイルが多いのですが、このプラダのような大胆なものはあまり着ないので新鮮でした」と才藤さん。大胆にU字にカッティングされたバックスタイルも、しなやかな筋肉のボディラインに美しく映える。クラシックさとガーリーなエッセンスを感じさせるヘアバンドを添え、スポーツテイストをプラダらしく新鮮にアップデート。

羽のように優美に広がるサテンドレスで飛翔する

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ドレス¥99,000・パンツ¥19,000・靴¥49,000/TOGA 原宿店(トーガ) ブラトップ¥18,000/スーパー エー マーケット(ヌースウィム) ネックレス¥39,000・イヤーカフ(左耳)¥51,000・ハンドカフ(左手)¥170,000・リング(右手人さし指)¥18,000・(右手中指)¥38,000/THE WALL SHOWROOM(ラッツェル アンド ウォルフ)

袖やウエストに立体的なシャーリングが施された、軽やかでドレッシーなサテンドレスにジャージ素材のパンツを合わせ現代のムードを捉えたルック。彫刻のように無駄のない肉体がドレスの柔らかな質感とコントラストを描く。たくましさと優雅さを備えた多面体の魅力が開花する。

世界一過酷な競技を制する、若き才能

「普段のスタイルは圧倒的にスキニーパンツ派。ふわふわした服は好きじゃない」とクールに答えたのは近代五種とフェンシングの選手として、東京五輪とその4年後のパリ五輪での活躍を期待される才藤歩夢選手。手足の長い、均整のとれた恵まれたスタイルで、ハイブランドの服を華麗に着こなした。

 日本ではあまりなじみのない近代五種という競技を才藤選手はひと言で「過酷」と表現する。それもそのはず、馬術、水泳、フェンシング、レーザーラン(射撃、ランニング)の五種目を一日で競い合うというハードな複合競技であるため。近代オリンピックの父、クーベルタン男爵が古代オリンピックの競技をならい創設したという、歴史と由緒ある種目でもある。日本での競技人口は少ないが、才藤選手が出合ったのは必然だった。

「父が近代五種の選手でした。体を動かすのはもともと好きだったので父に促されるまま幼い頃から泳いだり、走ったり、乗馬をやっているうちに気がついたら5種目をやっていた、という感じです(笑)。実は飽きっぽいので、いろいろな種目ができるのは自分に合っていたのかも」

 近代五種やフェンシングの遠征で多忙を極める中、気持ちの切り替えに成功の鍵があると語る。

「トップ選手を見ていると、追い詰められて試合に臨むよりも、競技そのものを楽しんでいるような姿が印象的です。見る側としても、そういう選手を応援したくなりますよね。私も気持ちの切り替えをうまくして、そこを目指したい。ぜひ会場で競技を見ていただきたいのですが、迫力のある試合運びはもちろん、意外と選手の休憩時間も人それぞれで素が出て面白いと思います。私は誰かとしゃべってリラックスする派なんですけどね」

Ayumu Saito/さいとう あゆむ

1996年生まれ、東京都出身。近代五種&フェンシング選手。ソウル五輪に出場し、ロンドン五輪で近代五種の監督を務めた才藤浩を父に持つ。自身は近代五種とフェンシングの二刀流で東京、パリ五輪を目指すハイブリッド派だ。試合前はネイルサロンに行って気持ちを切り替えるのがルーティン。

model: Ayumu Saito photography: Akinori Ito〈aosora〉 styling: Fusae Hamada hair: Keiko Tada〈mod’s hair〉 make-up: Yuka Sumimoto〈MARVEE〉 interview & text: Michino Ogura