橙色のカーネリアン【ガブリエラ・キス】 #73

橙色のカーネリアン【ガブリエラ・キス】 の画像_1

世の中に美しいと思う色はたくさんあるが、“自分にしっくりくる色”というのは限られていると思う。わたしの場合、そのひとつが橙色。陽の光を受けて輝く金木犀の色、幻想的な夕焼け空の色、映画『フィフス・エレメント』でミラ・ジョヴォヴィッチが演じたヒロインの髪の色、どれもずっと飽きずに見ていられる、大好きな色。身のまわりの日用品や洋服、口紅も、そういえば同系色が多い。そのせいか親しい友人からも、知らぬ間に橙色のイメージを持たれていた。「この色、すごくあなたっぽい。カーネリアンみたいな色してる」と言って、去年の誕生日に枇杷のようなガラスの花器をくれた。カーネリアンといえば鮮烈な赤の印象が強かったのだが、こんなやさしい色もあるんだなとそのとき思った。何より、「こんな綺麗な色の中にわたしを探し出してくれるなんて!」といたく感激したのだった。

今までで一番心をつかまれた橙色のカーネリアンは、ガブリエラ・キスのピアスだった。ニューヨーク郊外、ハドソンバレーののどかな村に、アンティークショップのようなアトリエ(海外メディアで紹介されているのを見たことがあって、ため息がこぼれるほど素敵だった)を構える彼女は、大学で彫刻を学んだ後、NYを代表するジュエリーデザイナー、テッド・ミューリング氏のもとで経験を積み独立。ブランド立ち上げから今年で35年目、世界中に熱狂的なファンを持つ実力派クリエイターだ。

橙色のカーネリアン【ガブリエラ・キス】 の画像_2

サクマドロップスみたいなぽってりとしたシェイプのピアスの表面には、ひし形のファセットが施されている。揺れるたびに光がキラキラ反射して、まるでプリンセスの宝石のよう。愛らしい造形を見ていると、幼い頃の憧れがやっと現実になったような感覚が湧き上がる。決してチープに見えるわけではなく、乙女すぎるわけでもない。リュクスなアートピースとして昇華されているのは、地中奥深くのエネルギーを内包した天然石だからこそ。

ルースにぴたりと寄り添うマットなゴールドフレームは、色石の美しさを最大限に引き出すべく、非常に薄く仕上げられている。その波打つような形状が花のがく片のようにも見えて、ミニマルでありながらもチャーミングな趣。さりげないユーモアがトッピングされ、石はいっそうの輝きを増す。自然界の生物から得たインスピレーションをジュエリーづくりに活かす、ガブリエラさんらしい大胆かつ繊細なクリエーションだ。

橙色のカーネリアン【ガブリエラ・キス】 の画像_3
ピアス〈カーネリアン、K18YG(フレーム)、K14YG(ワイヤー)〉¥291,500

ところで、カーネリアンの石言葉は「成功」と「勝利」。ピアスの穏やかな色合いとは裏腹に、かなり強気な言葉を秘めていて、そのギャップにも個人的にはグッとくる。スリークにまとめたヘアの耳もとに、みずみずしい輝きを放つ橙色のピアスを躍らせて。夏の陽光に溶け入るような、やわらかくもエネルギッシュなきらめきが、持ち主に確かな自信を与えてくれることだろう。

ソウス(ガブリエラ・キス)
http://www.source-objects.com/
03-3443-5588

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