[vol.42] キング・オブ・ハリウッド、ジャック・ニコルソン。出っ腹でも余裕の人生!この、おおらかさが好きだわ〜

常に映画の出演を望まれながらも、ほぼリタイア状態のジャック・ニコルソン80歳。アカデミー賞のノミネートは男優で最多の12回。受賞は主演で2回、助演で1回。歴代のオスカー受賞俳優の長者番付ではトップ(ちなみに2位はトム・ハンクス、3位がロバート・デ・ニーロ)だそうで、名実共にキング・オブ・ハリウッドなのだ。だが、御大は演技にもはや情熱を感じられなくなったとのことで、潔く役者から遠ざかっている。そんなジャックが、何十年も熱狂的なファンであるNBALAレイカーズの試合のフロントローにいつものように現れて、その見事に出っ張ったおなかをはだけてドーナツをむさぼり食べている写真を見つけた。

LAレイカーズ観戦をするジャックは、もはや地元の名物。なにしろ、彼の撮影スケジュールはLAレイカーズの試合とバッティングしないように組まないといけなかった。そのように契約書にも明記しているくらい有名なレイカーズファンなのだ。コートでは選手と交流したり、審判に抗議したり、またはアダム・サンドラーなどの同じレイカーズファンの役者仲間と連れ立って観戦したりと、ジャックはいつも注目を浴び写真を撮られ続けているから、もうカメラにどう自分が写っているかなんてことは気にもとめていない。いや、この御大、写真にどう撮られようとも茶目っ気たっぷりで、本当に愛されキャラなのだ。今回のドーナツがっつき写真も、そのだぶついた腹の肉を惜しみなく見せつけ奔放老人パワー全開。「ジャックは試合とドーナツをマックスにエンジョイしていた」と笑いをとっている。色気から食い気へと、欲望をシフトしつつ人生を謳歌しているジャック。やっぱり憎めない。

実は私はアカデミー賞のアフターパーティの取材で生ジャックを拝ませていただいたが、タキシードを着崩した彼がそりゃあもうセクシーでダントツにスターのオーラを放ち、そこらのイケメン俳優なんか吹っ飛ぶカッコよさだった。その年は彼が『恋愛小説家』で3 度目のオスカーを受賞したのだが、受賞の瞬間、バックステージで待つプレスから一斉に拍手が沸き起こったのを覚えている。そんなふうに業界人からも人気絶大なところもまた、キングなのだ。

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

https://twitter.com/michikaishikawa

 

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