魚座(2.19 - 3.20)

暗いところを、やさしく見つめる。来るべき、光のために

魚座の人々にとって、2021年は「熟成」の時期にあたっています。普段よりも活動量を抑えて自分と向き合い、コンプレックスとうまくつき合っていったり、自分のなかに生まれては消えていく欲求を見つめたりする人は多いでしょう。なかには、誰にも言えない秘密を持つ人もいらっしゃるかもしれません。さまざまな思いがマーブル模様を描いて、日々は過ぎていきます。

そんななか、今年のハイライトといえば5月半ばから7月いっぱいにかけてです。この時期、「幸運と拡大の星」と呼ばれる吉星・木星が、魚座に巡ってくることになっているのです。木星は古くは魚座の守護星でした。そしてすでに魚座に滞在している海王星は「インスピレーションの星」などと呼ばれる存在であり、現在の魚座の守護星です。いってみれば、新旧ふたつの守護星が魚座のもとに巡り、それぞれの持ち味を最大に発揮することになっています。直感を大切にしながら、自分のフィールドをどこまでも広げていく。イメージングした分野で可能性を広げていく。そんなことが起こりやすい、非常に強い配置です。12の星座のなかでも、魚座の人は間違いなく、最も影響を受ける星座といえるでしょう。この配置は今年のみならず、2022年前半と秋から冬にかけての間にも起こります。さながら今はシーズン1で、物語の始まりの部分。来年のシーズン2、シーズン3につながっていく伏線がいっぱいに張られています。

そうして始まる下半期。最初の1カ月である7月、ふたつの守護星は申し合わせたように「逆行」というイレギュラーな進行をしています。もとい、この2星は毎年この時期に逆行するので、特別レアなイベントというわけではありません。それでも2星が同じ場所にいるという状態はとても強く、おそらくは人生のなかで最も深く「自分」にフォーカスできる時期となるはずです。たとえば、「自分はこうだ」という確固たる認識を持っていたものの、この時期は改めて「自分とは？」といったことを考えるに至るでしょう。自分が揺らぐのです。こんなのは自分じゃない、自分らしくないと思うような出来事もあるかもしれません。今まで生きてきたなかで、初めての経験と感じる人もいそうです。ただ、もし今までなんらかの形で生きづらさを感じていたならば、ここからつらさの原因を探り、修正・調整をしていけるのだろうと思います。同時に、誰かに深入りしすぎたり振り回されたり、適切な距離感がなかなかつかめずにつらい思いをなさっていたのなら、これもまた調整・修正し、本来のあなたがいつもしていたような「やさしさ」に戻していけるはずです。

こうした明晰な意識の1カ月を過ぎ、8月に入ると再び心は無意識に向かっていきます。おそらくは8月から10月上旬にかけて、心の声がすごくよく聞こえるようになると思うのです。「本当はこうしたい」という願望から、「自分の価値はなんだろう」「どこからが愛で、どこからが執着なのだろう」といった疑問まで、実にさまざまな声が聞こえてくるのです。

なかには「こんな考えが頭に浮かぶなんて」と思わずにはいられないような、ダークな内容もあるだろうと思います。自分がこんなにも闇を抱えていたのかと、びっくりしてしまうこともあるでしょう。でも、それはそれで素晴らしいこと。2022年に訪れるシーズン2、シーズン3を幸運期として活かしていくためには、この夏から秋にかけての時期、どれだけ自分の心に深く潜ることができるかが重要な焦点になります。だから、どんどんブラックな方向にいきましょう。闇を見つめましょう。夜明け前が一番暗い、とよく言われるとおり、今は暗くても大丈夫なときなのです。

ただし、この時期は心が鋭敏になる時期だけに、他人の意識がするりと入り込んで「伝染る」ということが起きやすいときでもあります。ポジティブ発想にせよ、ネガティブ発想にせよ、いつの間にか心のなかに吸収して自分の思考と思い込んでいたりしますから、その点は十分注意を。

10月中旬から年内にかけて、2021年という「熟成」の時期がピークを迎えます。焦らず急がず、時間をかけてじっくりと自分を満たしきっていくことで、次への扉はいくつでも開けたりするでしょう。コンプレックスやネガティブ思考と真っ向勝負する人もいそうです。敵はよく見ないと勝てません。目をそらして「ダメだ！」と否定するのではなく、まずはじっくり見ましょう。きっと、この12年で一番やさしい目を自分に向けてあげられるのではないかと思います。