2026.06.11

【眼福ゴールド】ティファニー、カルティエほか、珠玉のジュエリー8選

科学や芸術などあらゆる領域において、古くから人類の生活に輝きをもたらしてきた唯一無二の物質、ゴールド。ジュエラーの珠玉の逸品とともに、その奥深き魅力にせまる

科学や芸術などあらゆる領域において、古くから人類の生活に輝きをもたらしてきた唯一無二の物質、ゴールド。ジュエラーの珠玉の逸品とともに、その奥深き魅力にせまる

INDEX

ティファニー「クーパー ブレスレット」

ティファニー「クーパー ブレスレット」

ブレスレット「クーパー ブレスレット」〈YG、サファイア、ダイヤモンド〉¥21,945,000/ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク(ティファニー)

金と地球の運命的な出合いを体現するような逸品。幾何学的なゴールドのリンクブレスレットに埋め込まれたのは、神秘的なサファイアと宇宙の星のようなダイヤモンド。1956年にアーティスト、ジャン・シュランバージェが手がけ、縫製のクロスステッチを思わせるイエローゴールドのXモチーフが特徴だ。

【 金は宇宙からの贈り物 】
「地球誕生からまもない約40億年前、無数の隕石が降り注ぎました。そこに含まれていた金属成分がもたらされ、この惑星に“ゴールド”という物質が宿ることに。そのため、今も地下の奥深くにゴールドは眠っています。ゴールドのような密度の高い元素は、地球上では生成することはできず、質量の大きな恒星の合体といった膨大なパワーのもと生成されるんです。宇宙のどこかの惑星にゴールドが存在するかもしれないと考えるとロマンがありますが、探し当て、地球まで持ち帰るコストを思うと現実的ではない。そういった点からもゴールドは宇宙からの“贈り物”だといえるでしょう」

池水雄一プロフィール画像
一般社団法人日本貴金属 マーケット協会代表理事、 貴金属スペシャリスト池水雄一

商社の貴金属部への配属を機にゴールド取引に携わる。以後、トレーダーとして大手商社や外資系金融機関で経験を積み、東京拠点の責任者を歴任。現在は現職にて、貴金属市場に関する業務に従事し、執筆や講演を通じて情報を発信。

カルティエ「ジュスト アン クル ブレスレット」

カルティエ「ジュスト アン クル ブレスレット」

ブレスレット「ジュスト アン クル ブレスレット」〈YG〉¥8,052,000(参考価格)/カルティエ カスタマー サービスセンター(カルティエ)

1970年代にデザインされて以来、力強く個性的なスピリットを宿す“ジュスト アン クル”。1本の釘というエッジィなモチーフをプレシャスなジュエリーに昇華した名作は、創造への尽きない挑戦を示すよう。ゴールドの圧倒的な輝きを享受するなら、最も太いエクストララージモデルのブレスレットを。

【 錬金術は、夢のまた夢 】
「卑金属から金の生成を試みる錬金術の歴史は古い。しかし、実用に至る量と質を人工的に作ることは不可能と言ってもいいでしょう。2025年、スイスの素粒子物理学研究施設が鉛をゴールドに変える実験成果を報告しました。特別な加速器に鉛の原子をかけ、ほぼ光の速さで超周辺衝突という現象を起こす、という仕組みです。しかし出現したゴールドは1兆分の1グラム、かつマイクロ秒しか存在しない。ゴールドを生み出すには、天文学的なコストと時間を要するのです」(池水雄一)

ブシュロン「セルパンボエム ヴィンテージ ネックレス」

ブシュロン「セルパンボエム ヴィンテージ ネックレス」

ネックレス「セルパンボエム ヴィンテージ ネックレス」〈YG、ダイヤモンド〉 ¥6,336,000(予定価格)/ブシュロン クライアントサービス(ブシュロン)

神秘的な蛇は、再生や永遠の愛を司るともいわれる。精巧なゴールドのテクスチャーとドロップモチーフでスネークを表現したアイコンコレクション、「セルパンボエム」。繊細な彫金はまさに芸術だ。

【 クリムトの黄金様式は、日本に影響を受けた 】
「画家グスタフ・クリムトが絵画に金を用いたのには、いくつかの理由があります。一つはビザンティン美術の金のモザイク壁画の影響。もう一つはいわゆる“ジャポニスム”の影響が大きいと考えられます。1873年の万国博覧会以降、クリムトが活躍したウィーンでも日本美術が流行しました。クリムトは、ときに金屏風を彷彿とさせる金を用いた平面的な表現を、西洋絵画の写実的な描写と巧みに組み合わせ、絵画と工芸を融合したような独自のスタイルを築いたのです。愛知県美術館は、国内では貴重なクリムトの黄金様式期の作品《人生は戦いなり(黄金の騎士)》を所蔵。本作品を描いた頃のクリムトは、ある公共建築の天井画の制作をめぐり批判されていました。黄金に輝く騎士は、逆境に立ち向かい新しい芸術を追い求める彼の勇ましい精神を象徴しているといわれています。画面左下には〝敵〟を表す邪悪な蛇が顔をのぞかせています」

グスタフ・クリムト《人生は戦いなり(黄金の騎士)》1903年  油彩・テンペラ・金箔、画布、100.0×100.0㎝、愛知県美術館蔵

グスタフ・クリムト《人生は戦いなり(黄金の騎士)》1903年 油彩・テンペラ・金箔、画布、100.0×100.0㎝、愛知県美術館蔵

長屋光枝プロフィール画像
愛知県美術館 副館長兼学芸部長長屋光枝

2000年に名古屋大学文学研究科博士後期課程単位取得後退学、2002年に博士の学位取得。専門は、ドイツ語圏を中心とした20世紀前半の西洋美術史。国立新美術館を経て現職。

エルメス「ブックルセリエ・オン・ザ・ロック」

エルメス「ブックルセリエ・オン・ザ・ロック」

ネックレス「ブックルセリエ・オン・ザ・ロック」〈PG、スピネル 〉¥10,307,000/エルメスジャポン(エルメス)

機能美を昇華させ、軽やかにアップデートされたジュエリーといえば、エルメスの「ブックルセリエ」だ。メゾンの原点と言える馬具、ハーネスを着想源にしたバックルが特徴で、しなやかでいて重厚感のあるチェーンと組み合わせている。構造そのものが美として際立つ佇まいは、まとう人のスタイルに芯のある表情を与える。モダンな緊張感を添えるのは、力強い輝きのブラックスピネルだ。

【 日本の金鉱山は都市にもある 】
「近年よく耳にする“都市鉱山”。使用済みのスマートフォン、PCといった電子機器や家電を鉱山に見立て、そこに金属資源が眠ることを意味する言葉です。日本には多くのレアメタルが眠っており、昨今では回収・再資源化をしようとする動きも活発になっています。たとえば同じ体積のスマートフォンと天然の鉱石があった場合、ゴールドを回収できる濃度はスマートフォンのほうが高いというデータも。とはいえ、そもそもゴールドの工業用需要は全体のわずか10%。今回の企画で取り扱っているような宝飾品としての利用のほうがずっと多いです」(池水雄一)

ピアジェ「ピアジェ サンライト」

ピアジェ「ピアジェ サンライト」

リング「ピアジェ サンライト」〈PG、ダイヤモンド〉¥2,728,000/ピアジェ コンタクトセンター(ピアジェ)

太陽は、いつの時代も人々のインスピレーション源となる。ピアジェの「サンライト」 コレクションは、幾何学的なデザインとゴールドの輝きで自由な精神を宿す。身につけると大輪の花が指に咲き誇るようなリングは、光線を巧みに表現。ゴールドに細やかな線状の彫りを刻むブランドの伝統技術 “デコ パレス(パレス装飾)”が温かみのある表情を生む。

【 古代エジプトでは、金は神の体とされた 】
「エジプト神話の中で最も重要な神、太陽神ラー。万物を創造した偉大な存在として古代の人々に崇拝されていました。その肉体は黄金で作られていたという記述があります。そのことから、死者を埋葬する際に金製のアクセサリーなどで死者の体を飾ることで、死後の世界で神に近い存在になれるようにと祈りが込められていたんです。また、錆びずに輝きを保ち続ける金の性質も、冥界で永遠の命を得ることを目指す当時の人々に好まれた理由。ユニークな副葬品に“金の舌”と呼ばれる薄い金製の板があります。舌として死者の口内に置き、冥界で最後の審判を受ける際に自分を弁護できるように、という意図がありました」

竹野内 世理愛プロフィール画像
早稲田大学文学学術院 考古学コース講師(テニュアトラック)竹野内 世理愛

1992年、東京都生まれ。早稲田大学文学部考古学コース卒業後、早稲田大学大学院文学研究科修士・博士後期課程修了、博士(文学)。2022年4月より現職。エジプト考古学を専門とし、中でも埋葬習慣や葬送儀礼を研究。年に一度は調査のため、エジプトへ赴く。

ブチェラッティ「トルサデ」

ブチェラッティ「トルサデ」

ネックレス「トルサデ」〈YG〉¥8,965,000/ブチェラッティ

もし現代の世界で秀吉の茶会に招かれたなら、こんな静かな強さを秘めたネックレスをつけていきたい。“ねじれ”を意味するコレクション名「トルサデ」が示すように、金そのものを撚ったような装飾を堪能できる逸品。ボリュームのある力強い螺旋モチーフが、凛としたムードを演出する。「リガート」と呼ばれる職人技法によって、表面に絹織物の質感を再現した繊細なディテールは圧巻だ。

【 豊臣秀吉の黄金の茶室は組み立て式だった 】
豊臣秀吉が造らせた“黄金の茶室”は、柱や敷居・鴨居や壁、障子の骨・板もすべて金だったと伝わる。公家や大名と茶会を開き、外国使節の応接にも用いられたそう。約3畳の空間は、実は持ち運びが可能。京都の御所や大坂城で使用されたかと思えば、大陸への出兵拠点となる城を築いた肥前名護屋(現在の佐賀県唐津市)で使用したという記録も。現在、史料に基づき再現された「黄金の茶室」が佐賀県立名護屋城博物館に復元されている。ユネスコの無形文化遺産に登録された金沢の金箔を2度ずつ押し、品格のある美しい輝きを誇る。見学はもちろん、当時の大名気分でお点前をいただけるプログラムも。(出典:佐賀県立名護屋城博物館HP)

ミキモト「ユニヴァース エレメンツ」

ミキモト「ユニヴァース エレメンツ」

リング「ユニヴァース エレメンツ」〈YG、白蝶真珠(ゴールデン)、ダイヤモンド〉¥1,600,500/ミキモト カスタマーズ・サービスセンター(ミキモト)

海が生む神秘、パールが黄金色に染まったら? 貝殻の縁が金色の白蝶貝から採れる“ゴールデンパール”を、コンテンポラリーなリングに。パールのやわらかな光沢、ダイヤモンドのきらめき、そして地金の艶やかさが融合し、シンプルながら美しい存在感を醸す。つける角度によって異なる表情が楽しめるのも魅力。

【 海水の中にもゴールドは含まれる 】
「実は身近なところでゴールドを見つけることができます。たとえば、海水です。濃度は1トンあたり0.1〜0.2㎎とごく微量ですが、総量で考えれば膨大。それでも採取が実現していないのは、採算性の問題から。ゴールドの価値は存在量ではなく経済によって決まるので、 もし価格がさらに高騰すれば、海からゴールドを取り出す時代が訪れる可能性もあるかもしれません」(池水雄一)

ヴァン クリーフ&アーペル「ゾディアック コレクション」

ヴァン クリーフ&アーペル「ゾディアック コレクション」

ネックレス「ゾディアック ロングネックレス サジタリィ(射手座)」〈RG、ピーターサイト〉¥4,210,800・メダル「ゾディアックメダル」〈YG〉各¥462,000/ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク(ヴァン クリーフ&アーペル)

私たちを豊かにする現代の“金貨”は、ヴァン クリーフ&アーペルの「ゾディアック コレクション」に違いない。緻密なスタンピング技法で12星座のシンボルを描いたインティメイトなジュエリーだ。デイリーに楽しめる直径21㎜のメダルと、存在感を放つカラーストーンが配されたロングネックレス。サンタクロースのように、大切な誰かへの贈り物としても。

【 元祖サンタクロースは、金貨を配った 】
 サンタクロースは、4世紀に小アジア(現在のトルコの一部)に実在した聖人、聖ニコラウスがモデルだと伝わる。彼は、不幸な人々を助けるためにさまざまな奇蹟を起こす庶民の味方として親しまれていた。貧困のために身売りをしようとした娘の家の煙突へ金貨を投げ入れ、その一家を助けたという伝説が後のサンタクロース・ストーリーの原型といわれている。煙突から落ちた金貨が、暖炉で干していた靴下の中に入ったことから、ソックスにプレゼントを入れる文化が始まった、とも。(出典:サンタクロース事務局HP)

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