自身のブランドのドレスを抱き締めるモリー
Molly Goddard(モリー・ゴダード)/「Molly Goddard」クリエイティブディレクター
ロンドン出身。セントラル・セント・マーチンズで学んだ後、2015年に自身の名を冠したブランドを設立。LVMHのショートリストに残るなど、数多くの賞を受賞。ボリュームのあるチュールやフリルなど女性の心をくすぐるデザインが人気。
家の中でもドレスを着てバルコニーで仕事を
彼女が生まれ育った街、ノッティング・ヒルで公私ともにパートナーのトムと暮らすモリー。リビングの大きな窓からはヨーロッパらしい暖かな光が差し込む
バルコニーの椅子に掛けられたウェールズ地方の伝統的な生地で作られたブランケットとカーディガン
Q あなたにとって心地いい暮らしとは?
「ストレスをためない規則正しい生活。外出禁止が始まってからは、毎朝20分間ヨガをすることが日課になりました。平日は朝10時からチームと電話会議をして、夕方6時から7時頃までひとりで作業を進めます。仕事が終わると道具はすべて片づけて、夜はカンパリのカクテルを作ったり映画を観たり。オン・オフをはっきりするようにしています」
(右)自宅にある調度品はほとんどがオークションハウスやヴィンテージマーケットで揃えたもの。キッチンに置かれた陶器には野菜や卵を並べて
(左)イギリス人画家フローレンス・ハッチングスの作品
(右)(左上)バルコニー。小鳥やリスを眺めながらここでランチや仕事をする
(左下)ロンドン拠点のアーティスト、ジェームス・ショウのキャンドルホルダー
Q “ステイホーム”を経て変化はありましたか?
「今はまだ不確かなことばかりではっきり答えるのは難しいですね。この生活は、何が本当に大切なのか自分自身のコアにある部分を見つめ直すよい時間になっていると思います。また新しい働き方を考えるきっかけにも。制作面ではクラフトの研究と、タイムレスなピースを作るということに注力しています」
Q クリエーションの着想源はどこから?
「インスピレーションを得るために、建築物のアートブックや古いコンランのDIY本を見ることも多く、お気に入りは、フランスにあるル・コルビュジエ建築のロンシャンの礼拝堂です。30歳の誕生日に彼が旅行に連れて行ってくれて感動的でした。いつかあんな素敵な家に住みたいな」
(上)モリーの父親でありグラフィックデザイナー兼彫刻家のマーク・ゴダールが手がけた作品
(下)サイドテーブルに積まれたアートブック。シンディ・シャーマンの写真集やプラダのアーカイブ本など。現在は、ナンシー・ミットフォードの小説『The Blessing』を読んでいる
「週末はガウンのまま一日を過ごすこともあるけど、平日は普段と変わらず、自分のブランドのドレスに着替えて仕事しています。最近届いた新作を着るのを我慢できなくて!」
photography: Molly Goddard interview & text: Saori Yoshida