No. 10 Natsuko Ishikawa

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普段着の着物を楽しむ石川さん

Natsuko Ishikawa(石川奈都子)/フォトグラファー
大阪生まれ。大学卒業後、染色作家工房に弟子入りし、27年前から京都西陣の町家に移り住む。その後、フリーカメラマンとして独立。建築、プロダクト、人物など、暮らしに関する撮影全般を手がけ、幅広い媒体で作品を発表している。

大切にしたいものと、近しい人と、小さな自然を愛でる京町家の暮らし

100年以上前からある路地の2軒続きの町家を、建築家の夫とともにアトリエ・事務所兼自宅として改装。1階のLDKにて愛犬の梨太とともに

Q 外出を控えるようになって、自分の中で変わったことは?

「日々の暮らしを楽しむことを今まで以上に工夫するようになりました。外ではなくて内を感じる感覚です。たとえば、見られるためではなく自分の心を喜ばせることとして、妊娠・出産でしばらく離れていた、着物で暮らす生活を再スタート。手芸とか、お菓子作りとか、やりたいと思ったことを子育ての合間に楽しんでいたら、毎日あっという間です」

Q 家での時間を楽しくするための、インテリアのポイントは?

「家の中には、顔の見える間柄で大切にしたいものを置きたいと思います。なので、有名無名にかかわらずすべてご縁のあった方のものでピンときたものを集めてきました。暮らしの中で、作った方のことを思い出しながら使うのは幸せです。それから花を生けること。近所のオーガニックな青果店で買う元気な草花や美しいお野菜を、そこかしこに飾っています」

Q あなたの考える心地いい暮らしとは?

「地球にも心にも体にもやさしい暮らし。顔見知りのコミュニティで互いの得意なものを持ち寄り交換していければと思い、5年前からここで小さなマルシェを開催しています。土の近くで、動植物とともに生きる暮らしは本来すべての人間が大切にしていたこと。文明がどんなに発達しても日々の小さな感謝を忘れず、健やかにのびのびと今を楽しみたいと思います」

1    ソファはknot。今興味のあるパンチニードルの手芸をここで
2 アトリエには、仕事を通じて出会った辻和美さんのガラスシェードが
3 町家の間にもともとあった路地の共用井戸を、改築の際に家の中に取り込んだ
4 路地は大家さんの私道。「ふたりの子どもと一緒に、前庭のように使わせてもらっています」

photography: Natsuko Ishikawa interview & text: Azumi Kubota

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