「南向きに窓があるリビングにデスクを置いて仕事場を兼ねています」
Yui Takuma(田熊佑衣)/グラフィックデザイナー
神奈川県藤沢市生まれ。美大卒業後、デザイン会社勤務を経て2018年に独立。ファッションブランドやマガジンのアートディレクションおよびデザインワークを中心に、撮影ディレクションやWEBサイトのデザインなど幅広く活躍。
自然を取り入れ、家具を移動し、日々、家の中の風景を変えてゆく
時々、違う場所で仕事。組み立て式の仕事机は脚と天板に分かれる作り
Q 毎日の仕事をどのように進めていますか?
「家が仕事場のため、外出自粛期間も大きな変化はありませんが、普段から生活と仕事が切り離されていない空間をポジティブに考えています。プロジェクトによってデスクを移動して部屋中を楽しみます。仕事の合間に部屋を見渡し、花や石を眺め、鳥の声に耳をすませ……するとアイデアが降りてきたり、思い出した家事を済ませたり、そんな日々です」
Q 家での時間を楽しくするためのインテリアのポイントは?
「愛着があり好きなものしか置いていないのですが、それらは自分を確かなものにしてくれる存在なのかなと思います。美しいと思う心を信じることは、仕事のためのヒントにもなっています。また最近は、太陽のありがたみに改めて気づいたように感じます。光を感じ、ちょっと風を通して、植物がいてくれさえすれば、それが贅沢、居心地がいいのです」
(上)木からくりぬいて作られたボウル。ビタミン補給のため柑橘系を常備
(右下)近くの中古家具店で見つけた、革張りのイームズのチェア
(左下)阿部春弥さんの器。白磁の上品さや佇まいが素敵で、さまざまな料理に合う
Q あなたにとって、心地のいい暮らしとは?
「一つめは、ほどよく肩の力を抜いて過ごすこと。忙しくても感受性を失わずに。まわりに流されるのではなく自分自身を大切に。変化しながら、流れるようにやわらかくありたいと思っています。二つめは、身近な部分を大切に感謝を忘れないこと。三つめは、空間に自然のものを取り入れること。お花や、あちこちに飾っている石もそのひとつです」
(右)外出自粛をきっかけに、バルコニーで、ピクニックのようにして絵を描くことを思いついた
(左)かつての勤務先から譲り受けたブックシェルフ。木の色やデザインが気に入って大切に使っている。こちらも可動式で、日常的に模様替え
photography:Takeshi Takagi〈SIGNO〉 interview&text: Azumi Kubota