レネー・ゼルウィガー #10

『ザ・エージェント』より  ©Everett Collection/amanaimages

「彼女、絶対にスターになると思う」。今から20年前、レネー・ゼルウィガーのことをこう予言したのは天海祐希だった。NYで行われたトム・クルーズ主演の『ザ・エージェント』('96)のワールドプレミアに出席した天海。短い時間だったが、直接レネーと話し、スターの原石のような輝きを感じたという。実際、トム・クルーズほどの大スターの相手役となると萎縮してしまって本来の自分の魅力を出しきれない女優も多い中、往年のオール・アメリカン・ガール(アメリカ人みんなが好きになる)ドリス・デイに比するとまで言われた親しみやすさをも全開にできた力量は大したもの。チャンスを逃さなかったレネー、偉い。

美しい女優はいっぱいいるけれど初めてレネーにインタビューした時に驚いたのは、白桃のようなというか、白桃のうぶ毛がないようなちょっとピンク味がかった白い肌だった。
「両親がスイスと北欧系でどっちにしても牛乳をいっぱい飲むからかな(笑)」とレネー本人は照れながら教えてくれたけど、ケラケラ笑うと頬がピンクに染まるのも可愛い。そのインタビューから数年後に再会したら、「あ、あなた、わたしの肌を褒めてくれた人ね!」
確かに、プロのメイクで何とでもなるのと違って、ベースである肌の美しさはごまかせないものね。

そんなレネーなのに、ある時期から整形疑惑、劣化云々とバッシングされていたのは気の毒。彼女に限らずパパラッチされる写真が酷い例は後をたたず、女優としてのキャリアにも影響が出そうだ。そんな状況のレネーが11年ぶりに当たり役のブリジット・ジョーンズに三度目に取り組んだ『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』。確かにフェイスラインもボディもミドルエイジっぽくなったが、相変わらず悩み多き等身大の女性っぷりで面白い。あの重量感があるからこそ、憧れのお姫様抱っこの現実も大笑いできるし、マーク役のコリン・ファースのスーツ姿の素敵さとのギャップも効いてくる。40代、それが何か?だ。

『シカゴ』('02)のロケ地で会った時、「私がロキシーを演じちゃうなんて、私自身が一番驚いているわ(笑)」と語っていたレネー。しかもコンビを組むのが幼い頃からプロのミュージカル俳優として活躍していたキャサリン・ゼタ=ジョーンズとなれば、レネーの劣勢は火を見るより明らかだった。ところが、結果は2度目のオスカー候補になるほどの高評価。夫がある身なのに愛人の男を殺しスターになったレキシ—という役柄と同じく、これまでそれなりの恋愛スキャンダルも経験しているのに、全然マイナスになっていないのも得だ。こうなれば50代でもブリジット・ジョーンズ、やる?

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ジャーナリスト佐藤友紀プロフィール画像
ジャーナリスト佐藤友紀

映画や舞台、ダンスに造詣が深く、独自の視点で鋭く切り込むインタビューに定評が。ジョニー・デップから指名されることも多々。