2026.09.16

トム フォードから醸し出される色気とは? スタイリストがその魅力を解説

細部まで完璧に計算され尽くした、ハイダー・アッカーマンによるトム フォードのコレクション。2026-’27年秋冬は特に、ファッション業界で多くの喝采を浴びた。緊張感が漂いながら、同時に余裕を感じさせる。そのノーブルな色気の正体に迫る。

細部まで完璧に計算され尽くした、ハイダー・アッカーマンによるトム フォードのコレクション。2026-’27年秋冬は特に、ファッション業界で多くの喝采を浴びた。緊張感が漂いながら、同時に余裕を感じさせる。そのノーブルな色気の正体に迫る。

2026-’27年秋冬 トム フォードを着用したモデル

ニット¥401,500・中に着たシャツ¥260,700・下に着たスリップドレス¥381,700・ベルトつきスカート¥1,003,200・グローブ¥187,000・タイツ¥39,600・靴(参考商品)/トム フォード ジャパン(トム フォード)

「奔放さのあとに訪れる規律には、かすかな緊張が宿る」というハイダー・アッカーマンのショーノートを体現するルック。エフォートレスなカシミヤニットに合わせたのは、レザーでトリミングされたフェティッシュなスカート。そこから繊細なレースのスリップドレスと、シルク地のストライプシャツを透かせて。タフさと甘さが絶妙なあんばいで共存する。

2026-’27年秋冬 トム フォードを着用したモデル

ジャケット¥1,204,500・スカート¥997,700・グローブ(右手のみ使用)¥187,000(参考価格)・靴¥193,600/トム フォード ジャパン(トム フォード) ストッキング/スタイリスト私物

なめらかなラムレザー製のセットアップ。純白で首もとが詰まった禁欲的なデザインながら、ウエストはシェイプされ、ペンシルスカートも体にぴったりフィットする。ピンキング処理されたジグザグのヘムラインがほどよい遊び心を添えて。着る人にも見る人にも恍惚感を与えるルックだ。

2026-’27年秋冬 トム フォードを着用したモデル

ボンバージャケット¥803,000・中に着たジャケット¥642,400・その下に着たシャツ¥341,000・一番下に着たスリップドレス¥381,700・グローブ¥187,000(参考価格)・タイツ¥39,600・靴¥193,600/トム フォード ジャパン(トム フォード)

艶やかなサテン地のボンバージャケットの中に、相反するクラシックなテーラードジャケットと、シルクシャツをレイヤリング。そこからのぞかせるスリップドレスとモノグラムタイツが、フェミニニティを薫らせる。

2026-’27年秋冬 トム フォードを着用したモデル

ベルトつきジャンプスーツ¥1,146,200・靴¥234,300(参考価格)/トム フォード ジャパン(トム フォード)

上下セパレートされたように見えるシルクウールのジャンプスーツ。ウエストでバイアスに切り替え、肌の上に極細なベルトをのせて、ひとさじの官能性で意表を突く。腰ではくスラックスと風に舞うボウタイが肩の力が抜けたエレガンスを約束する。

2026-’27年秋冬 トム フォードを着用したモデル

コート¥1,298,000・タンクトップ¥151,800・デニムパンツ¥198,000・ベルト¥126,500・手に持ったスカーフ¥119,900・グローブ(右手のみ使用)¥187,000・靴¥262,900(ともに参考価格)/トム フォード ジャパン(トム フォード)

完璧に作り込まれた 服が放つ、余裕の美
―― 飯田珠緒

パリの展示会でハイダー・アッカーマンによるトム フォードのコレクションをファーストシーズンから見てきたスタイリストの飯田珠緒さん。トム フォードから醸し出される色気とは、何が秀逸なのかを聞いた。

「細部まで計算された、完璧に美しい服——コレクションを見て最初に感じたことです。ただ、どこかにエフォートレスな"余裕"があるんですよね。"隙"とも違うし、"抜け感"といった軽い言葉はふさわしくない。もちろんシャツがはだけているルックもあるんですが、完璧に作り込まれた中にあるからこそ、生きてくる。手袋を片手に携えていたり、しぐさも優雅。緊張と緩和の駆け引きが新しくて、それがとても上質なことに感じたんです」

飯田さんが感銘を受けたのは、細部の作りだと言う。

「たとえばストライプのシャツ。カフスは異なる生地で仕立てられていて、その端には細かく3ミリ幅で折りたたまれたプリーツフリルが施されている……息をのむほど美しいディテールなんです」

特に心を奪われたのは、1枚目のルックだった。「パリで見たときに、『なんて素敵なの……』とうっとり。上質なカシミヤニットにPVCのスカートを合わせる。メンズライクなシルクシャツをあえてぐしゃっとタックインして、細いレザーのベルトをする。その時点で尖っているんですが、かっこいいだけじゃない。チュールレースのスリップドレスを仕込ませて、フェミニニティを薫らせる。糖分過多ではない可愛らしさも感じます。アヴァンギャルドさ、色気、光沢とマット、透け感——あらゆる要素が混じり合って、それらがちょうどよいバランスで合致した、奇跡の一点を捉えたルックなのです」

今まで"色気"に距離を置いてきた人にも響くのではないか。「知性に裏打ちされた強さがあるから、考えてまとっている、という気概が伝わるんですよね。誰かに媚びるためではなく、自分が心酔するための服、とでもいうのでしょうか。女性が心地よく、自信を持って街を歩ける。それが今、求められる色気なんだと思います」

クラシックなツイードのチェスターコートには、カラフルなシークィンがきらめく。ストーンウォッシュドデニムはハイウエストで、脚を美しく見せる絶妙なフィット感。襟ぐりが大胆にあいたピーチスキンシルクのタンクトップが、エフォートレスな色香を醸す。

2026-’27年秋冬 トム フォードを着用したモデル

ジャケット¥856,900・シャツ¥260,700・パンツ¥240,900・ベルト¥126,500・サイハイブーツ¥518,100(参考価格)/トム フォード ジャパン(トム フォード)

ブランドのシグネチャーともいえるテーラードジャケットには、間近で見て初めて気づくほどの小さなビジューが縫いつけられている。シルクシャツの袖口には異なるパターンを配し、さらに細かなプリーツでトリミングするという徹底した美学が注ぎ込まれている。スラックスをクロコ型押しのサイハイブーツに入れ込み、新しいバランスを追求した。

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