夏に口臭が気になるのはなぜ? ドライマウスなど口臭の原因と対策を専門医に聞く!

人と近い距離で話すときや、ふとした瞬間、「もしかして……」と口臭が気になった経験は、誰にでもあるはず。自分では気づきにくいからこそ、不安になる口のニオイ。実は夏は、暑さや夏バテなどにより、口臭が発生しやすくなる要因が増える季節なのだという。

不安を手放すために今日からできる口臭ケアを、大阪大学大学院で顎口腔機能治療学を専門に研究し、ドライマウス外来で診療も行う阪井丘芳先生に教わった。

人と近い距離で話すときや、ふとした瞬間、「もしかして……」と口臭が気になった経験は、誰にでもあるはず。自分では気づきにくいからこそ、不安になる口のニオイ。実は夏は、暑さや夏バテなどにより、口臭が発生しやすくなる要因が増える季節なのだという。

不安を手放すために今日からできる口臭ケアを、大阪大学大学院で顎口腔機能治療学を専門に研究し、ドライマウス外来で診療も行う阪井丘芳先生に教わった。

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▼話を聞いたのは、こちらの先生

阪井丘芳先生プロフィール画像
大阪大学大学院 歯学研究科 顎口腔機能治療学講座教授阪井丘芳先生

大阪大学歯学部附属病院などを経て現職。顎口腔機能治療、唾液腺研究、口腔ケアなどを専門とし、唾液腺・ドライマウスなどについて国際的にも研究成果を発表。2006年より同大学病院でドライマウス外来を開設。全国から訪れる患者の診療にもあたる。

大阪大学歯学部附属病院 顎口腔機能治療部 サイト

1. 口臭対策には「唾液」の分泌が欠かせない

夏に口臭が気になるのはなぜ? ドライマウの画像_1

——そもそも、口臭の原因はなんですか?

口の中の細菌がたんぱく質などを分解する過程でつくり出す「揮発性硫黄化合物(VSC)」というニオイ物質が、口臭の主な原因です。特に歯周病に関係する細菌が、舌の表面や歯周ポケット、歯と歯の間に残った汚れに含まれるたんぱく質を分解すると、こうした物質が発生します。

唾液には、口腔内を潤すだけでなく、細菌や食べかす、ニオイ物質を洗い流す自浄作用や、細菌の増殖を抑える抗菌作用があります。そのため、唾液が十分に分泌されていると口臭は抑えられますが、唾液が減るとVSCが口腔内にとどまりやすくなり、ニオイが強くなっていくのです。

2. 夏に気になる口臭、主な原因とは?

——夏に口臭が悪化するのはなぜでしょうか?

発汗による水分不足や冷房による乾燥、暑さによる口呼吸の増加によって、唾液量が減り、口腔内が乾燥しやすくなります。また、夏バテで食欲が落ち、食事の間隔が空くのも口臭につながる一因。本来、しっかり噛むことで唾液腺への血流が促され、サラサラの唾液が分泌されるのです。そのため食べない時間が長くなると、唾液が出る機会が減ってしまいます。このように夏は、唾液が減りやすい条件が重なるため、口臭の原因にもなる「ドライマウス」という症状が出やすいのです。

夏に口臭が気になるのはなぜ? ドライマウの画像_2

——そのほか、口臭を招きやすい生活習慣はありますか?

カフェインやアルコールは利尿作用と代謝による体内脱水を起こすため、口の乾燥につながりやすいです。そのため量やタイミングの調整など、飲み方に工夫が必要です。また、仕事でプレッシャーを感じたり人前で話したりするときなど、緊張やストレスで自律神経の交感神経が優位になると、唾液の分泌が減るので口が乾きやすくなります。基本的な歯磨きを怠っていてももちろん口臭につながります。

3. 自分はどうだろう? 口臭リスクをセルフチェック

自分では判断しづらい口臭。見過ごしがちな口腔内の変化をキャッチして、現在の状態を客観的に確認してみよう。

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【口臭が気になるかも? セルフチェック項目】

以下の要素がひとつでもあるなら、口臭の原因でもある「ドライマウス」の可能性も。

  • 唾液が出にくく、口が乾いている
  • 口の中が乾燥していて、話しにくい
  • 会話していると声が掠れたり、詰まったりする
  • 食事のときに飲み物がないと飲み込みにくい
  • クッキーなどパサパサしたものが食べにくい
  • 朝起きると口の中がネバネバしている
  • 夜間、喉が渇いて水を飲むために起きる
  • 虫歯や歯周病になりやすい
  • 舌がひび割れやすく、口内炎を起こしやすい
    参考:『ドライマウス 今日から改善 お口のかわき』(阪井丘芳)医歯薬出版株式会社

【ドライマウスのサインは、舌の状態でも確認できる】

舌の状態もドライマウスが進行していないかの目安になる。気になることがあれば、歯科医師に相談を。

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  • 注視が必要な舌(イラストの左側)
    ドライマウスなどにより舌乳頭(細かな突起)が萎縮すると、舌の表面がつるっとして光沢のある状態になることがある
  • 健康な舌(イラストの右側)
    舌の表面に舌乳頭があり、適度な凹凸があるのが一般的。白っぽく汚れて見えても、舌乳頭が保たれていれば必ずしも異常とは限らない
阪井先生よりコメントコメント画像
阪井先生よりコメント

該当項目がひとつでもあれば、ドライマウスの疑いがあります。症状が一時的ではなく、目安として3ヶ月ほど続く場合は、かかりつけの歯科や耳鼻科、内科に相談するのがおすすめです。放置し続けると、唾液の自浄作用や抗菌作用が低下して細菌が増えやすくなり、虫歯や歯周病、口内炎などの口腔トラブルにつながるほか、口腔内の細菌が気管に入り、肺炎などのリスクを高めることもあるので注意が必要です。今は特に症状がなくても、3ヶ月に一度は歯科検診を受けておくと安心ですよ。また市販の口臭チェッカーは、ニオイのレベルを判断するには限界がありますが、客観的な口臭レベルを把握するのにはいいと思います。

4. 医師に聞く口臭対策! 自宅でのセルフケアと、出先でのレスキューケア

ドライマウスや口臭につながるサインがあったら、まずは日々の習慣を見直すことから。基本の歯磨きなどの口腔ケアはもちろん、十分な唾液を分泌させるための具体的な方法や、口臭ケア用品を選ぶポイントについても知っておきたい。

【自宅でのセルフケア】歯磨きや就寝中の乾燥対策のポイント

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——口臭ケアの基本となる日々の歯磨きで意識すべきことはなんですか?

基本の歯磨きに加えて、歯ブラシが届きにくい歯と歯の間のケアも習慣にしましょう。食べかすや汚れがたまりやすく、口臭の原因にもなるため、歯間ブラシやデンタルフロスを使い、1日1回を目安にしっかり取り除くことが大切です。1週間ほど汚れを取り続けると、効果を実感しやすくなり、継続の意欲が湧くと思います。

——舌クリーニングは必要ですか?

舌の表面にある細かな突起、「舌乳頭」の長さや状態には個人差があります。舌乳頭が長く、舌が白く汚れやすい人は、汚れや細菌がたまりやすいため、ガーゼや柔らかい舌ブラシでやさしくケアを。一方、ドライマウスなどで舌乳頭が萎縮している場合は、舌をこすると傷つきやすく、出血や炎症につながることもあるため、強い舌磨きは避けましょう。

——就寝中にできることはありますか?

マスクをして眠ることで乾燥を防いだり、就寝中の口呼吸を防ぐ、市販の口テープを使用したりすることも効果的です。口の渇きが気になって目覚めたら、うがいで口腔内の雑菌を取り除き、コップ一杯の水を飲むなど水分補給をしましょう。マウススプレーなどを枕元に置いておくのも便利です。

【出先でのレスキューケア】外出先でも口臭ケアするポイント

——会議前などニオイが気になったときに、エチケットとして取り入れられる口臭ケアはなんですか?

ガムを噛むことも、唾液分泌を促す習慣のひとつ。急いで食事を済ませがちだったり、麺やパンなど柔らかいものを食べることが多い場合は噛む機会が少なくなりがちなので、ガムを噛む時間をつくるとよいでしょう。目安は、1日に3〜5回程度、1回あたり2〜5分ほどです。噛むことで唾液腺への血流が促され、唾液が出やすくなります。ガムが苦手なら、昆布やグミなどでもOK。飴を舐めて唾液を出すのも効果があります。

——口臭が気になるときの水分補給には、何がいいでしょうか?

結局水が一番、影響がないのでおすすめです。そのほか、お茶もすっきりするのでいいですね。

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——簡単なマッサージなどで、気になったときにすぐ唾液を出す方法はありますか?

両方のてのひらを頬に当て、円を描くようにマッサージして耳の前にある大きな唾液腺を刺激する「耳下腺マッサージ」や、舌を口蓋(上顎)につけて舌を離すときにポンと音を出す「ポッピング」は、舌で口腔内を刺激できるので簡単にケアできます。
思い切り口をすぼめて「ウー」、次に口を横に引いて「イー」と動かす口のストレッチや、声を出してもよい状態なら「パ・タ・カ」と交互に発声する方法も取り入れてみましょう。

——オーラルスプレーやマウスウォッシュは、効果的ですか? 選び方も知りたいです。

これらを携帯して、気になったときにケアするのもよいでしょう。選び方としては、香りで匂いを打ち消すマスキング効果を狙ったアイテムよりも、要時生成型亜塩素酸イオン水溶液(MA-T®)を使用した商品など、除菌・消臭等のニオイの原因にアプローチするものをおすすめします。水をこまめに飲んで、水分補給を忘れないのも大切です。

「加齢によって、唾液量は減りますか?」と聞かれることがありますが、80歳くらいまでは唾液分泌量は変わらないという有力な研究もあります。自分の心がけ次第で、年齢を重ねても健やかな口腔内を保つことはできるので、ケアを続けていきましょう。



口臭を気にして、笑うことや話すことまでためらわないために。口腔内のコンディションを整えることは、自分らしく人と向き合うための小さな自信にもつながる。今日からできるケアを味方につけて、夏のコミュニケーションをもっと軽やかに楽しもう。