目が合ったら誰もがファンになる。世界的アイドル「真珠の耳飾りの少女」の魅力!

「オランダの『モナ・リザ』」とも称される「真珠の耳飾りの少女」は、その神秘性やピュアな美しさからもはや世界的なアイドルといっても良さそうです。会場もかなりの混雑だと報じられていました。8月末の休日、大阪中之島美術館には11時頃に到着し、しばらく入場列に並んで会場内へ。「フェルメール『真珠の耳飾りの少女』展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日」は6つのテーマとヨハネ・フェルメールで構成されていて、作品数は12点なので、マウリッツハイス美術館からはるばるやって来た17世紀のオランダ絵画をじっくり鑑賞できます。

「オランダの『モナ・リザ』」とも称される「真珠の耳飾りの少女」は、その神秘性やピュアな美しさからもはや世界的なアイドルといっても良さそうです。会場もかなりの混雑だと報じられていました。8月末の休日、大阪中之島美術館には11時頃に到着し、しばらく入場列に並んで会場内へ。「フェルメール『真珠の耳飾りの少女』展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日」は6つのテーマとヨハネ・フェルメールで構成されていて、作品数は12点なので、マウリッツハイス美術館からはるばるやって来た17世紀のオランダ絵画をじっくり鑑賞できます。

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大阪中之島美術館の展示会場入り口。30分ごとの入場時間で列が区切られていました。涼しい館内で待機できます。

「歴史画」コーナーにはピーテル・ラストマン「ラザロの復活」などが展示。ピーテル・ラストマンはレンブラント・ファン・レインの師匠でもあり、宗教画、歴史画、寓意画の傑作を描いています。この作品は、ラザロが死亡後、イエス・キリストの奇跡で復活する場面が描かれています。ラザロとは誰か、弟子か聖人的な存在かと思ったら、イエス・キリストの友人だとのことで、友人相手に気軽に奇跡を披露していたとは。ドラマティックな場面で、集まっている人々の表情の豊かさも見どころです。心配そうに見ている犬もかわいいです。

「正直者を探すディオゲネス(ある家族の寓意的肖像画)」(セイザル・ファン・エーフェルディンヘン)は、古代ギリシャの哲学者ディオゲネスがオランダの街で人々の中に正直者がいないか探している場面を描いています。賢者のようなおじいさんが真ん中で人を探していますが、うかない表情で、結局正直者はまだ見つかっていないようです。絵の中の人々は、実在する家族、ステイン家のメンバーだそうですが、その家族にも正直者はいない、ということなのでしょうか……。

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「肖像画・トローニー」のコーナーには有名な作品、レンブラントの「笑う男」が展示。陽気なキャラのおじさんで実際にいそうですが、トローニー(特定の人物をモデルにしない架空の人物画)だそうです。小さい絵なのに人を惹きつける魅力があるのは、画力はもちろん、金箔を貼った銅板の上に描かれているゴールドのパワーでしょうか。画材はケチってはダメだと巨匠に教えられたようです。

「風俗画」の展示室ではヤン・ステーンの「老いが歌えば若きが笛吹く」が存在感を放っていました。オランダに伝わることわざ(タイトルと同じ。親の姿を見て子は育つ、という意)をテーマにした絵画。一見にぎやかで楽しげな家族の集まりですが、よく見たら酒を飲んだり、男女がイチャついたり、タバコを吸ったりと風紀が乱れ気味です。悪習も子供に受け継がれる、という教訓を表しています。

「静物画」には、珍しい女性画家の作品が展示。マリア・ファン・オーステルウェイクの、「装飾的な壺の花」は、美しい花がそれぞれ宗教的な意味を持っています。「神の存在」を象徴するヒマワリが、他の花と比べて色がくすんでいるというか枯れかけているように見えるのが気になります。それも風刺なのかもしれません。

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「ディアナとニンフたち」に描かれているディアナは、月と狩猟の女神で、貞操の規範を示す象徴でもありました。フェルメールは純潔や貞操を重視していたようです。ヨハネス・フェルメール《ディアナとニンフたち》1653–1654年頃 油彩、カンヴァス 97.8×104.6 cm マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague

「教会内景画」コーナーの「想像のカトリック聖堂の内部」(エマヌエル・デ・ウィッテ)は、教会の内部を見て描いたのかと思ったら、なんと作者の想像上のカトリック教会だそうです。17世紀のオランダではカトリック教徒の信仰が制限されていたので、作者はカトリック教会に憧れるあまり、妄想でリアルな教会内部を描いた、ということらしいです。薄暗い教会には厳かな空気が漂っています。

「風景画」コーナーに展示されているのは、動物画家として有名なパウルス・ポッテルの「水に映る牛」。牛推しの傑作で、人間はモブというか風景の一部になっていて、牧草地に佇む牛たちの姿がメインで描かれています。当初は宗教画を描いていたのが、途中で牛や馬、羊などの動物を描くようになったとか。他にありそうでない作風を確立したのですが、28歳で早逝してしまったのが惜しまれます。不思議と癒される作品です。

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ディアナとニンフたち」コーナーの窓からチラっと見える「真珠の耳飾りの少女」。期待感を高める仕掛けです。

そしていよいよ「ヨハネス・フェルメール」エリアへ。「フェルメール・シアター」では、これまでの作品や描かれたモチーフについて、大型スクリーンで予習できます。続いての作品展示スペースは、一作品一部屋という豪華な構成。この2部屋のみ撮影可能です。最初の部屋には「ディアナとニンフたち」が展示されているのですが、「真珠の耳飾りの少女」コーナーの間に窓が開いていて、そこから少女がチラ見できました。フェルメールの初期の作品「ディアナとニンフたち」も美しい絵画で傑作ですが、もうすぐ少女と会えるという期待が高まります。

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顔料も展示されていました。目のハイライトには鉛白が、赤い唇にはコチニール、ターバンにはラピスラズリから作られた高価なウルトラマリンが使われています。

そうしているうちに列は流れてあっという間に対面です。ここで、「最前列で写真を撮りたい人は1列目で1枚撮影して進む」「じっくり観たい人は2列目からしばらく眺めても良い」という二択が提示されました。せっかくなので最前列で拝みたいと思い1列目に進んだら……。スマホで撮影して少女の目を見て数秒間でその場を離れることになり、名残惜しかったです。2列目からじっくり観ればよかったと後悔しましたが、そもそもこの絵は少女が振り向く一瞬をとらえたもの。観る時間も一瞬なほうが自然かもしれない、と思うことにしました。視線を目から口、真珠、顔へと動かす時間もありませんでした。

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「少女があなたに会いに来た」というキャッチコピーを見てドキドキしながらブルーの壁の部屋へ。途中の壁にも「真珠の謎」「少女の魅力」、そして使われている高価な顔料(ブルーのターバンのラピスラズリなど)についての展示があって、少女と対面するまで、読みながら列に並びます。「真珠の謎」については、真珠は不自然に大きすぎるので何かの象徴として描かれたのでは、と推測されています。フェルメールは少女の純真無垢な魅力、純潔性を重視していたのでしょうか。「少女の魅力」については、研究によって、絵を観る人の視線が解明されたとのこと。少女の目から口、そして真珠へと自然に移り、また顔へと戻る、というループを繰り返すことで、少女に惹きつけられる、という仕組みだそうです。今はこんなに大人気でフェルメールの代表作になっていますが、発見当初は汚れていて約1万円の安値をつけられた、という不憫な過去があるのもかわいそうで心を掴まれます。

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「真珠の耳飾りの少女」と、ついに対面。特定のモデルがいない「トローニー」なので、浮世離れしている存在感が魅力です。ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》
1665年頃 油彩、カンヴァス 44.5×39.0 cmマウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague

一瞬会えた少女は、生まれながらのブルベ肌でブルーのターバンが似合っていましたが、イエベカラーの茶系の服をミックスすることで、よりおしゃれに印象的なルックスになっているように思います。振り向いた少女は眉がないのが神秘的で、濡れた唇と真珠の光沢、瞳の輝きが瞬時に心に差し込んでくるようでした。「モナリザ」を観た時は、まるで生きているような視線とオーラを感じ驚きましたが、この「真珠の耳飾りの少女」は実在しない人物を描いた「トローニー」なだけあって、存在感は薄いです。妖精のような儚さと透明感をまとっていました。一瞬の出会いでも心が浄化されて、もっと会いたくなって、次回はオランダに行くしかない、と思わせる魔力があります。2回目はもしかしたら少女が覚えてくれているかもしれない、という期待やファン心理が芽生えました。混んでいるショップで少女グッズを大量購入し、美術鑑賞と推し活を合わせたような盛り上がりを体感することができました。

フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展
17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日
期間:~2026年9月27日(日)
時間:09:30~17:00 (9月12日~9月16日、9月19日~9月27日は午後8時まで)※入館はいずれも閉館時間の30分前まで
休:無
会場:大阪中之島美術館 5階展示室
大阪市北区中之島4-3-1
https://vermeer2026.exhibit.jp/

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2階と5階にショップがあって、真珠の耳飾りの少女グッズが大人気でした。こちらか買ったアイテムです。

辛酸なめ子プロフィール画像
辛酸なめ子

漫画家、コラムニスト。埼玉県出身、武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデ ザイン専攻卒業。アートやアイドル観察からスピリチュアルまで幅広く取材し、執筆。主な著作は『江戸時代のオタクファイル』(淡交社)『女子校礼讃 』(中央公論新社)『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)など多数。Twitterは@godblessnamekoです。