第5回 岡野大嗣さん 歌人
加賀 お会いするのは2回目ですね。
岡野 2019年に雑誌の対談企画でご一緒して以来です。
加賀 いつも新刊を出されるたびに送っていただいて。ありがとうございます。
岡野 加賀さんにできた作物を届けるような感覚で送っていました(笑)。
加賀 うれしいです! 僕もあれから、カメラマンとしていろんな現場を経験して成長しました。最近は、ピントがきれいに合った写真より、少し外れているものもいいなと。見えすぎないほうが、その場の空気感が伝わるときもある。
岡野 短歌も、設定を全部書いてしまうと失われるものが多いので。シーンを託せる要素は丁寧に描写して、あとはさらっと、書きすぎないようにしています。
加賀 ちなみに、短歌の世界で達人だと思う人っていますか?
岡野 佐藤佐太郎さん。技が詰まっているのに、技を使っていないように見えて。
加賀 まさに、無刀の状態!
岡野 この発見すごいだろう、みたいな顔をまったくしないのがかっこいい。実は、目上の人に負けるのが嫌で、亡くなっている人にしか憧れられない性分で。
加賀 僕は逆で、リアルタイムで頑張っている人を見てほしいと思います。昔の作品が評価されるのもいいけど、生きている僕らも新しいものを生み出そうとしているので。それでいうと、過去の自分へのハードルや、葛藤はありますか?
岡野 僕は幸い、それがなくて。常に一番新しい作品を好きでいられてます。これからも、自作に最初に驚くのは自分自身でありたいです。加賀さんはネタができたときの高揚感はありますか?
加賀 あまりなくて。自分が自分の敵でいないと!と思っている節があって。
岡野 水準が高くなってるってことですよね。ちょっと切ない。
加賀 歴史を学んでから始めたお笑いと、とりあえず先に撮り始めた写真。この背景の差で楽しめる度合いが違う気はしますね。今は写真のほうが、よっしゃ!と思えることが多いです!