牡羊座(3.21 - 4.19)

自分と対話しながら、新たな人間関係をつくっていく

静かな、とても静かな下半期のスタートです。自分の心のなか、すでに終わった過去。そうした見えないもののほうを向き、自分と語り合う時間にあたっています。ただ、決して「否定」や「悲しみ」といった感情を伴うものではないでしょう。むしろ自分を温かく満たしていくような、ほの暗い闇すらも自分の一部として受け入れていくような、やさしい空気感に満ちています。

牡羊座の人々は、常に前へ前へと進んでいくことに意義を見いだします。古い自分などまったく気にすることはなく、情熱に突き動かされるようにしてまっすぐ進んでいきます。ですから、こうした「後ろを振り返り、行きつ戻りつしながら今を生きる」というのはどこか、自分らしさとはかけ離れた行為のように思えるかもしれません。ただ、こう考えてみてはいかがでしょうか。闇も光も、自分のものです。闇が生まれるのも、生きているからこそ。過去があるのも、前に進んでいるからこそ。これらをばっさばっさと切り捨てながら生きていくというのはそこから教訓を得る機会までも捨て去ることであり、心を支えるしなやかな強さや、折れても立ち上がる回復力といったものはどうしたって頼りなくなってしまいます。過去や闇といったものを受け入れることもまた、まっすぐ進む一過程であるのです。

こうした時期ですから、ちょっと人間関係が煩わしく思えることもあるかもしれません。そうしたときは「心がひとりの時間を求めているとき」「自分と会話する時期」などと、前向きに受け取ってみてもいいでしょう。孤独は孤立ではありませんし、決してマイナスではありません。むしろ、自分と本当の意味で向き合える、貴重な人生の一時期と思ってもいいくらいです。

8月に入ると、人間関係にスポットライトが当たり始めます。もとより2021年は、牡羊座の人にとって「仲間」「友達」といったヨコのつながりの関係性にスポットライトが当たる年なのです。上半期、急に友達とのつながりが濃くなったり、力を借りたり貸したりといった機会が増えたりした人は多かったことでしょう。夏に一時期「休戦」を挟みましたが、ここから年末にかけてはまた、親しい人との関わり方にスポットライトが当たります。人と協力すること、力を借りること。それらは力を合わせて何かをするという知性ある人間ならではの美しい行為のようで、時にしがらみや責任で人と人を縛りつけるものでもあります。それを踏まえてもなお自分にとっても相手にとってもいい関係を築いていけるレッスンに、牡羊座の人は時間をかけて粘り強く取り組んでいくことになるのです。早ければ今年いっぱい、遅くとも2023年あたりまで、このテーマは牡羊座の人が向き合うものとなるでしょう。

さてちょっと気の長い話をしましたが、8月から10月上旬までは、人間関係においてあなたが感じていた「やりづらさ」を解決する答えを見つける、なんとか折り合いをつける試みをすることになるでしょう。対人関係においては、一般的にさまざまなことが言われています。やれ「友達は多いほうがいい」とか、「人脈が広い人はすごい」とか。もしそうならば「周囲に迎合する」「わきまえる」といったことが、どうしたって必要なのではないか？という疑問が生まれる人もいるでしょう。考えるより先に動く牡羊座の人は、こうした発想とは無縁で生きてきたかもしれません。たとえ頭に浮かんでも、思いきりよく跳ね飛ばしていたかもしれません。ただここでしっかりと対人関係の難しさと向き合うことで、10月中旬から年末にかけての日々で得られるものの深さが、変わってくるのです。

10月中旬からは、打って変わってにぎやかになっていきます。人間関係は喜びはあれど面倒なもの、と思っていた人も、それでも人と関わることで得られる宝物をこれまで以上に強く感じることになるからです。夏、自分の心の奥深くまで潜り、闇のなかでも目を凝らしていた人ほど、ここで得られる親しい人との時間は光に満ちたものに感じられることでしょう。

なかには、相手のことをまるで自分のことのように喜び、悲しむことができる人たちとともに未来を切り拓く人もいるのかもしれません。同じビジョンを抱き、従来のセオリーにとらわれることなく。過去、どうしたってわかり合うことができなかった人とも、今ならともに歩む未来が見えるという希望も、きっとあるのだろうと思います。それは決して、自分ひとりでどんどん行くことと対立するものでは、ないのですよね。