ソウルではなぜ走ることが盛り上がっている? 韓国ランニングカルチャー最前線

ソウルの街を彩るおしゃれなランナー御用達の、コミュニティとカルチャーが息づく3つのショップを紹介。進化する韓国のランニングシーン最前線を探る

goodrunner

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レースのメダルやセッションのポスターは、親しみやすいデザインで「初心者歓迎」をアピール

走ることは、人生を肯定すること。ときめきを大切に

goodrunnerのイ・ユンジュ

黎明期から韓国のランニングカルチャーの中心にいるのが、グッドランナーカンパニーだ。共同代表を務めるイ・ユンジュさんが掲げるキーワードは「肯定」。走ることを苦しい訓練ではなく、楽しい体験として丁寧にキュレーションし、徹底してその心理的ハードルを下げようとしている。

「形から入るのは大賛成です。いい靴は素敵な場所に連れていってくれる。可愛いウェアを身にまとうときの高揚感も大好きです。お気に入りの装いは、最初の一歩を軽くしてくれますから」

韓国ではなぜ、走ることが盛り上がっているのか? 

「ランニングというトピックがファッションの文脈でも再解釈されるなか、トレンドに敏感な韓国の人々がそこに反応し、コロナ明けの解放感と重なったことで大きなうねりとなったのでは」と彼女は分析する。とりわけ興味深いのは、セルフブランディングへの高い意識だ。「『自分を素敵に見せたい』『かっこよくありたい』という素直な気持ち。それこそが、ランニングを楽しく続けるためのよいモチベーションになっているのだと思います」

一方で、これは一過性のブームに過ぎないのではないかという冷ややかな声もあるが、彼女はきっぱりと否定する。「走ることで得られる心身の心地よさは、流行で終わるようなものではありません。ライフスタイルとして、すでにしっかりと根づいていると感じます」

コミュニティが育むつながりも大きな魅力だ。個人化が進む時代だからこそ、自らの意思で集い、日常とは違う居場所を求める。ともに走り、互いを称え合う時間は、大きなエネルギーとなる。この会社が運営する女性限定クルー「グッドランナーシスターズ」は、彼女が初めてフルマラソンやトレイルランに挑んだときの不安とときめきを共有したいという気持ちから生まれた。「『女性が集まると対立が生まれる』という退屈なステレオタイプを、覆してやりたいという気持ちがありました。目標は、70代になったシスターズのメンバーとホノルルマラソンを完走し、ビーチでビールを飲むこと」と、チャーミングにほほえむ。

小さな成功体験と自己肯定感を分かち合うこと。ポジティブなエネルギーをつなぎ合い、ソウルでは今日もランナーが走っている。

韓国ブランドCAYLのバックパック

スタッフが実際に履いて走ったレビューを伝える手書きPOPと韓国ブランドCAYLのバックパック

伝統的な韓屋の佇まいが特徴的な北村店

伝統的な韓屋の佇まいが特徴的な北村店。入り口の看板「善走善齋」は「よき走者がよき生を営む空間」という意味

goodrunner

GOODRUNNER BUKCHON STORE ●56, Bukchon-ro, Jongno-gu, Seoul
02-766-0430
営業時間:10時30分〜19時、11時30分〜19時(土・日)
定休日:月曜

イ・ユンジュさんプロフィール画像
GOODRUNNER COMPANY 共同代表イ・ユンジュさん

2015年に起業し、イベントやコミュニティを主宰。2022年には専門店をオープンし、現在は国内に5店舗を構える。自らも100㎞超のレースを完走する実力派。

OUT OF ALL

OUT OF ALL

感度高いランナーが集うキュレーションストア
熱気を帯びた弘大の繁華街から、一本路地を入ると木々に包まれたひとつの邸宅が現れる。住宅の面影を残した閑静な店内は、張り詰めた感覚を解き放つマインドフルな空気に満ちている。

店名には、「無意識に抱いている既成概念や流行という枠組み(ALL)を超えて、自らの足で踏み出そう(OUT)」という姿勢が込められている。"Cultivating Movement"をテーマにランニング、トレイル、バックパッキング、クライミングなどのアクティビティを、文化として慈しみ、育てていくという考え方だ。

入り口のすぐ右手に位置するスペースでは、シーズンや月ごとにテーマを設け、世界各地のブランドを独自の視点でキュレーションし、展開する。nordaやSATISFYといったランニングコアの最前線から、Optimistic Runners、Ante Berlinのようにインディペンデントなものまで、ラインナップの幅広さも魅力。アウトドアはもちろん、ファッションを愛するモード派の心も捉えて離さない。

ストアを中心に半径2㎞圏内には、心地よい風が吹き抜ける漢江公園と豊かな自然が残る臥牛山のトレイルコースが広がる。恵まれた立地を生かした、ブランドとコラボしたランニングセッションや新商品を試せるイベントなどプログラムも多彩。誰もが自分らしい形で体を動かす楽しさに出会い、新しいライフスタイルを発見できる。そんな都市型アクティブコミュニティの拠点となっている。

OUT OF ALL

5 世界のラン&トレイルシーンを牽引するアイコニックなギアが一堂に会する。広いスペースに国内屈指の充実したラインナップを展開
4 ガーメントダイ加工のオリジナルTシャツ。バックプリントには自然と多様なアクティビティを楽しむ人々を描いた

OUT OF ALL SEOGYO

11, Jandari-ro 3an-gil, Mapo-gu, Seoul
02-336-8847
営業時間:12時〜21時 無休

UVUⓇ

UVUⓇ

行けるのは週に1度だけ。UVUの世界初旗艦店

ロンドンの気鋭ランニングブランド「UVU」。ブランド名は「You vs You(自分対自分)」を意味し、自らの限界を超え続けるという哲学を体現している。元イギリス空軍という異色の経歴をもつクリエイティブディレクターの精神性と、視覚芸術の感性を融合させたアイテムの数々は、スタイリッシュなデザインが魅力。トレンドに敏感なランナーたちの間で熱狂的な人気を誇っている。

そんなUVUの世界初となるフラッグシップストアが今年3月、ソウルにオープンした。位置するのは人気ブランドが並ぶメインストリートから少し離れた、聖水の南側の静かな再開発エリア。1960年代に建てられた古い工場をリノベーションした建物で、街が重ねてきた歴史や佇まいと共存している。「再開発地域だから、いつ取り壊しがあるかわからない。でもそのときはどこかで新しく始めよう」という、どこか自由で前向きなスピリットで選ばれた場所だ。

「いつでも開いていて、同じ内観や音楽が流れている店は、すぐに消費されてしまう」という考えのもと、週に1日のみオープンするという実験的な営業スタイル。一期一会の緊張感を、リアルな店舗で再現している。気まぐれに開く空間だからこそ、目的意識を持って足を運ぶ楽しみが生まれるのだとか。この春、表参道で開催されたポップアップでも大行列をつくったUVU。日本のファンが実際に商品を手に取れるよう、体制を整えているそう。

UVUⓇ

8 空間を贅沢に使った配置。真っ白な壁にコンクリートの天井、剥き出しの赤煉瓦など工場時代の面影が残るソリッドな空間
7 ランニングブランドには珍しいグラフィックやデザインが見どころ。右のパンツは夏に発売した新作のサマースポーツコレクション

UVU Club

15, Dulle 7-gil, Seongdong-gu, Seoul
070-7779-0715
※営業時間はInstagram参照

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