2026.07.18

表現者として、 新たなフェーズへ歩みを進めるDjoの挑戦

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「End of Beginning」が気づかせてくれた可能性を探究したい

趣味と見做すことで音楽を純粋に楽しむ

どこまでが趣味で、どこからが仕事なのか? ジョー・キーリーは目下、厄介な問いに直面している。彼は、社会現象と化したドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」の主要キャラクターのひとり、スティーブ・ハリントン役で俳優として人気を博した。その一方、Djo(ジョー)名義で地道に音楽活動も行なっており、先頃TikTokを発信源に、シングル「End of Beginning」がロングヒットを記録。曲の中で若い頃の自分を懐かしむ姿が広く共感を呼び、再生回数は累計30億回を突破。シンガー・ソングライターとしての存在感を一気に強めた。そして昨年はアルバム『The Crux』を発表し、ワールド・ツアーを完走。これまで音楽を趣味と位置づけてきた彼も「さすがに趣味の域を超えつつあるのかも」と笑みを浮かべた。

 

ジョー・キーリー

「『End of Beginning』は感傷的な内容の一曲。それゆえ少々気恥ずかしくもありますが、大変なことが起きたんだなと、今更ながらにヒットのインパクトを実感しています。ただ、音楽を“やらなければならないこと”にしたくない僕にとって、趣味と見做すのはすごくポジティブな方法。純粋に楽しむために楽曲を作り続けたいんです」

ジョーは幼い頃から音楽と演技に関心を抱き、多くの演劇人を輩出しているシカゴのデポール大学で演技を学んだ。その傍ら、ポスト・アニマルというインディ・バンドに在籍。デビューを果たして注目を浴び始めた矢先、スティーブ役に抜擢される。「タイミング的にはつらかったけど、バンドを辞める決心をしました。せっかくのチャンスを逃すわけにはいかなかったので」

それでも音楽の引力には逆らえず、ドラマ撮影の合間に、自分本来の嗜好に立ち返って改めて曲を書き始めたという。

 

ジョー・キーリー

「その嗜好というのは、タイムレスで古典的なソングライティングへのこだわりです。たとえばポール・マッカートニーやキャロル・キングやニール・ヤングといった偉大なソングライターたちに倣って、パーフェクトな曲を追い求めたかった。そこにポスト・アニマルの、ルールに縛られない実験的志向を反映させて、自分らしいスタイルをずっと模索してきたんです」

以来、彼は3枚のアルバムを発表。まさしくタイムレスで古典的な曲を、さまざまなタイプのサウンドで縁取って聞かせてきた。たとえば、「End of Beginning」を収めたセカンド『Decide』(’22 )はコンピューター上で構築したシンセポップ路線の作品だった。しかし、オーガニックでぬくもりがある『The Crux』(’25 )は、ニューヨークの伝説的スタジオでバンド形式でレコーディング。「アプローチを変えることで結果がどう変わるのか、毎回楽しみなんです」とジョーは言う。昨年末には「ストレンジャー・シングス」シリーズが最終回を迎え、過密な撮影スケジュールから解放された。マルチな表現者として選択肢が広がる中、「『End of Beginning』が拓いてくれたポテンシャルを限界まで掘り下げたい」と話す。

「俳優としては、脚本と監督と共演者が仕事を選ぶ決め手になることが多いんですが、今後は何よりも、僕の情熱をかきたてて、興奮させてくれることに挑戦していくつもりです。“絶対に今これをやらなければ!”と思えるようなプロジェクトに」

Djo/Joe Keeryプロフィール画像
俳優・ミュージシャンDjo/Joe Keery

1992年、マサチューセッツ州生まれ。「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のほか映画『フリー・ガイ』などに出演。2019年にDjo名義のデビュー・アルバム『Twenty Twenty』を発表した。

『Decide』

『Decide』

6月初めに日本で正式に発売。20代の終わりに差し掛かっていたジョーが、身辺の変化への戸惑いや不安をエレクトロニックに寄ったサウンドで切り取った。
(Sony Music Labels./¥2,970)

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