映画【 #バービー 】ついに公開! 監督、グレタ・ガーウィグによる制作秘話を限定公開

8月11日(金)に『バービー』がついに日本で公開に! マーゴット・ロビーとライアン・ゴズリングという名優2人が共演し、世界的な注目度も高い本作。SPUR9月号本誌では監督のグレタ・ガーウィグの独占インタビューを掲載しています。本記事ではスピンオフとして、監督が語るスペシャルな製作秘話を公開。映画におけるファッションの裏話と、マーゴットとのエピソードについて聞きました。本誌とあわせて、ぜひチェックしてください。

アイコニックなスタイルはこう作られた

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©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

——作中のファッションについて教えてください。ライアン・ゴスリングがキャスティングされたとき「彼のこれまでのデニムジャケットの着こなしが決め手だったのでは」という記事が出たり、最初のティザーでも、マーゴット・ロビーが1959年のオリジナルバービーの黒と白のストライプのアイコニックな水着を着ていたことで、大変盛り上がりました。さらに2人のローラーブレードのルックも話題です。バービーのアイコニックなファッションを、実際にどのような観点で選んでいきましたか?

そうですね。バービーにとって服はものすごく重要です。着せ替えこそバービーの楽しい部分でもあるわけですから。それがひとつの大事なインスピレーションでした。『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』('19)でもスタイリングを務めたジャクリーヌ・デュランが、今回も衣装を担当してくれています。当然、あの映画と今作は過程が異なりますが、最初は同じ。とにかく徹底的なリサーチから始まります。バービーは、1959年から今日まで続いているわけです。壮大な歴史の中で、私たちが一番好きだった服は?一番アイコニックな瞬間は? と考えました。それから、私たちがここで何を語ろうとしていて、それらの素晴らしい服とどのように合わせればいいだろう?と。

ケンの衣装にも熟考を重ねた
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バービーを着せ替えした楽しい思い出はそのままに、映画として成立するように機能させたかったんです。服であると同時に、重要なキャラクターのひとつだと考え、膨大な選択肢から少しずつ絞っていきました。たとえばケンが重要なダンスパーティのシーンで何を着ればいいのか。「タキシードであるべきか?」と聞いたら、みんなは「それは違う、ケンがそこまで本格的だとむしろおかしいと思う」と。そこでジャクリーヌがひらめいたのが、白いツナギはどうだろうか、という案だったんです。まさに絶妙に笑える塩梅で正しい!と満場一致。ケンが着そうな、アスレジャーの80年代的なルックですよね。また、マーゴットとライアンがそれぞれにリサーチして提案してくれたものもありました。最終的には、2人とフィッティングしつつ、みんなでアイデアを出して実現できるものを選ぶというプロセスでした。

煌びやかな衣装をチェック
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衣装について最高なポイントは、この映画では、バービーの歴史から様々な時代の重要な要素を使えたことなんです。ちょっと奇妙に聞こえるかもしれませんが、私の中では『グリース』('78)が大変参考になりました。物語の舞台は1950年代ですが、作品が生まれたのは70年代。50年代を舞台にしつつ、(70年代的な)ディスコ的な要素が強い映画であり、言ってみれば時代設定はあまり関係ないようなものだったと思うのです。私もバービーランドを作る上でそのようなモチベーションを持っていました。1959年を起点としていますが、正確には時代設定を断定できません。何十年ごとか足早に進むので、ルックに関しては柔軟性を持たせたんです。その中でもストーリーの軸が通るよう、衣装にも繋がりがある見え方になるよう心がけました。

マーゴット・ロビーの俳優とプロデューサーのふたつの顔

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——主演を務めるマーゴット・ロビー。俳優として、またプロデューサーとしての彼女の魅力を教えてください。

私は長い間、俳優としての彼女の大ファンでした。言うまでもなく彼女は素晴らしい人です。マーゴットをプロデューサーとして知ったのは、私が『レディ・バード』('17)を監督した時。彼女は『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(以下『アイ,トーニャ』)』('17)のプロデュースを手がけていたんですね。同じパネルディスカッションに出たり、イベントで一緒になることも多く、約束して一緒にランチをしたことも。その時彼女がいかに『アイ,トーニャ』の制作に漕ぎ付けたかについて聞き、とても感動したんです。彼女はなんて聡明なのだろうと。ストーリーテラーであり、説得力もあり、実現力に長けているのが分かりました。だから彼女と一緒に仕事がしたいと思ったのです。

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彼女は頭がよく、プロデューサー業と俳優業をいかに区別するかも明確でした。実際、制作準備中は完全にプロデューサーに徹していましたね。映画を実現するために、予算の管理から細かい部分まで、すべてを行なっています。そしていざ撮影が始まる2週間前にこう言ったのです。『ここからは私はあなたの俳優になります。もうプロデューサーではありません』とね。それで私も『分かりました』と答えたのですが。彼女は本当にその瞬間に、監督の私にとっての俳優、“マーゴット・ロビー”になったのです。そして撮影がすべて終わったら、彼女はまたプロデューサーへと戻りました。編集をチェックして、様々な話し合いもしなくてはいけなかったから、ファイナルカット(映画の最終的な編集権)は彼女に渡したんです。

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彼女はプロデューサーとして、製作過程すべてに責任があるわけです。だから完成作をただ受け取るわけにはいかないのですね(笑)。本当は、私はやはり監督として俳優たちには「プリンセスのように感じてもらいたい」という気持ちが強くあります。物語を贈り物として渡したかった。監督なら基本的には誰もが望むことだと思いますが、『この映画のあなたたちは最高でしょう』と言いたいんです。でも彼女は「大丈夫。それは心配しないで。映画が無事に完成してプレミア上映される日が来たら、私は素敵なドレスでレッドカーペットに立って、絶対にプリンセスのような気分になるから。それまでは完成に向けてあなたを助けたい」と。彼女はプロデューサーとしても完璧で、俳優としても本当に素晴らしいバービーでした。だから、今は皆さんに映画を観てもらうのが楽しみで待ちきれません。

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