MICHAEL KORS

Interview with Michael Kors

PROFILE
マイケル・コース●1981年、出身地でもあるNYにて、自身の名を冠したブランドを設立。現在はウィメンズウェアやアクセサリーをはじめ、メンズウェア、ウォッチ、フレグランスなど、幅広いアイテムを展開。NYを代表するデザイナーのひとりとして大きな存在感を放つ。
photography: Courtesy of Michael Kors Inez and Vinoodh

よりよい未来に向けて
われわれはすでに動きだしている

「NYは私の故郷……NYは私の心……。たくさんのものを与えてくれたこの街に、恩返しすることができてうれしい」

 NYがパンデミックの中心地となり、封鎖された街から喧騒が消えて10日ほどがたった4月1日、マイケル・コースはブランドの公式インスタグラムにこんなメッセージを掲載し、同市の新型コロナウイルス救援活動に寄付をしたことを発表した。ブランド創立からまもなく40年。マイケル・コースが長きにわたり提案してきたのは、洗練されたニューヨーカーをはじめ、都市で生活する人々のための上質なデイリースタイル。NYで暮らす人々に寄り添い続けてきた、彼だからこそできた支援だった。

「私は楽観主義者ですが、それが試されているような状況でしたね。私は日がな一日部屋に閉じこもってスケッチを描いているようなタイプじゃない。ミーティングや、カスタマーとのふれあいを非常に重視しているのです。それだけにこの状況はつらいものでしたが、救いだったのは、人はどんな状況にも順応できるものだということ。間違いなく、デジタル機器の扱いには詳しくなりましたよ!」

 ロックダウン期間中、彼は3日に1度のペースで、自宅でのトークショーをインスタグラムで配信。ブランデーグラスを片手にリラックスした様子の彼が語るのは、ときにファッションの話であり、ときにパーソナルで親密な内容だ。ビデオ通話をする際のスタイリングのコツ、愛猫(なんと専用のハンドバッグまで持っている!)との暮らしぶり、19歳で初めてパリへ行ったときの思い出……。スターデザイナーの存在がぐっと身近に感じられる動画には、1,000件を超えるコメントが寄せられたことも。「SNSを通して、今まで以上にカスタマーのみなさんとつながれたように感じますね」と語る。

「顧客の声を聞き、彼らの求めていることを知るのが大切」だというマイケルの信念は、ファッション業界の慣習を打ち破ることにもつながっている。

「カスタマーが必要なときに必要なものを買えるように、業界のシステムを変えるべきです。コートやセーターは11月に、サンドレスは5月に買えるようにしたほうがいい。ファッションショーも、固定観念に縛られた従来のやり方を脱し、新しい方法を見つけるべきなのは間違いありません。われわれにとってどういうやり方がふさわしいのか、今も検討中です。ブランドごとに事情が異なるので、こういう変化すべきタイミングにほかのブランドがどんなアプローチをしてくるのか、楽しみですね」

 ファッションブランドとして、デザイナーとして、世界に変化をもたらすこともできると信じているというマイケル。その信条を形にしたのが、慈善活動「ウォッチ・ハンガー・ストップ」だ。これは、チャリティーTシャツやトートバッグなどの売り上げを寄付することで国連WFP(ワールド・フード・プログラム)の活動を支援し、飢餓に苦しむ世界の子どもたちに食事を提供するというもの。7年に及ぶ取り組みで、1,900万食以上を提供してきた実績がある。

「今回のパンデミックにより、世界の多くの地域で飢餓問題が悪化するでしょう。この問題解決のために引き続き支援をしたいですね」

 さらに、世界をよい方向へ変えるための活動は広がっている。4月、マイケル・コースの親会社であるカプリ・ホールディングス・リミテッドは、新たなCSR(企業の社会的責任)プランを発表。2025年までに、事業活動における100%カーボンニュートラル化を実現するとともに、再生可能エネルギー使用率を100%に引き上げるなど、具体的な目標を掲げた。

「サステイナブルな解決策を見つけ出すのは、世界に対するファッションブランドの責任です。サステイナビリティと商品のクォリティをどう両立させるか。この課題に、とてもワクワクしています。よりよい未来へ向けて、われわれはすでに動きだしていますよ!」

「この子は自分の存在自体に幸せを感じている唯一の人(猫)ですね。私と夫と家で過ごし、24時間注目されているのが大好きなのです」とマイケル。

interview & text: Chiharu Itagaki

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