GWはアートに浸る時間を。感性をチャージしに美術館へ。注目の展覧会まとめ

大型連休だからこそ、少し足を延ばしてアートに浸る時間を。話題作からじっくり味わいたい展覧会まで、このゴールデンウィークに見逃したくない注目のアート展をまとめて紹介。気分転換にも、知的好奇心の刺激にもぴったりな一日をつくりたい。

大型連休だからこそ、少し足を延ばしてアートに浸る時間を。話題作からじっくり味わいたい展覧会まで、このゴールデンウィークに見逃したくない注目のアート展をまとめて紹介。気分転換にも、知的好奇心の刺激にもぴったりな一日をつくりたい。

INDEX

東京開催

【5/11(月)まで】「テート美術館- YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート」/国立新美術館

テート美術館- YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート展のケイト・モス

アート界にも90年代ブームの予感……
90年代に登場したYBAを起点に、その影響が現在までどのように広がっているかを立体的にたどれるのが魅力。過激さや話題性だけでなく、制度や価値観そのものを揺さぶった当時の切実な表現が、改めて鮮明に浮かび上がる。さらに「BEYOND」の視点から、YBA以降の英国アートの多様な展開にも光を当て、90年代が単なるブームではなく、現代につながる転換点だったことを実感させる展示だ。ビデオ作品も多いので時間をたっぷりとって出かけたい。

ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)の革新的な発想やエネルギーに触れられる展覧会を観て、90年代の空気を思い出しました。ファッションやカルチャーではY2Kなど90年代がブームになっているので、アートでも再評価が起こりそうです。そして何より、もうヤングではない元YBAの方々の多くが今も芸術家として活躍しているのが心強く、大人の世代がエンパワーメントされる展示だと実感しました。辛酸なめ子

【6/14(日)まで】「チュルリョーニス展 内なる星図」/国立西洋美術館

チュルリョーニス展 の「祭壇」

絵画と音楽の二刀流アート、“音のある絵”の正体
画家であり作曲家でもあったチュルリョーニス独自の世界観を、「音」と「宇宙」の交差点として体感できるところが興味深い。絵画に込められたリズムや構造は、まるで楽譜や星図のように内的秩序を描き出し、象徴主義的イメージが静かに広がる。個人の内面と宇宙的スケールが溶け合う作品群は、観る者を思索へと導き、現代においても新鮮な余韻を残す。

チュルリョーニスの作品には「王」が頻出しますが、権力者に傾倒しているというわけではなく、彼の描く「王」は宇宙の支配者、世界の普遍的な精神を表しています。地球や宇宙の星々、神の光、そして王のシルエットが多層的に重なった、崇高で荘厳な作品でした。華やかではないけれど、静かに宇宙の源と対峙しているような……。生前なかなか世間に認められず、孤高の存在だったチュルリョーニスも、こうして宇宙の王と静かに対話していたのでしょう。若くして天に召されたのは、純粋すぎるチュルリョーニスを、宇宙の王が早く手元に連れ戻したかったのかもしれません。辛酸なめ子

【6/24(水)まで】「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」/東京オペラシティ アートギャラリー

「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」ルネ・マグリットの「王様の美術館」

シュルレアリスムの奇妙な毒に魅せられる
シュルレアリスムを絵画史の一潮流としてではなく、視覚文化全体を横断する思考として再定義している構成が見どころ。芸術作品にとどまらず、広告やファッション、インテリアへと広がる表現を通して、非合理や夢のイメージがいかに現代の感性に浸透してきたかを体感できる。時代と領域を超えて増殖する想像力のもたらす力に気づかされる。

会場の壁面には、シュルレアリストたちの格言が掲げられていました。
「不可思議はつねに美しい。どのような不可思議も美しい。それどころか不可思議のほかに美しいものはない」ーアンドレ・ブルトン
「シュルレアリスムは奇妙な毒である。シュルレアリスムは、 芸術の分野でこれまでに発明された想像力に対する毒物のなかで、最も激烈で最も危険なものである。シュルレアリスムは抗しがたく、恐ろしく伝染する。用心せよ! 私はシュルレアリスムを運んでくる」ーサルバドール・ダリ
たしかに展示を見終わったあと、奇妙な毒が薬のようにじわじわ効いてきます。シュルレアリスムの傑作から吸収した超現実のパワーをまとえば、今の過酷な現実も乗り越えられるかもしれません。辛酸なめ子

【9/13(日)まで】「リナ·バネルジーの展覧会 “You made me leave home...」/エスパス ルイ・ヴィトン東京

リナ·バネルジーの展覧会

2026年の新作絵画シリーズも展示

きらびやかな造形の奥に、移動や喪失、帰属の不確かさといった切実なテーマを抱えた作品群。ガラスや貝殻、布、民族的モチーフなど多様な素材が重なり合い、異文化が交差する祝祭性と不安定さが同時に立ち上がる。遠目には華やかだが、近づくほどに個人的で詩的な物語が浮かび上がり、「ホームとは何か」という問いが静かに突きつけられる。見る側の経験や記憶を呼び込む余白こそが、この展覧会の最大の見どころだ。

【7/6(月)まで】「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」/国立新美術館

「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」

ニューヨークやパリを魅了したデザイナーのものづくりの全貌に迫る

日本の美意識とモードを結びつけ、世界を舞台に活躍した森英恵の「生命力あるデザイン」を多角的にたどれる内容。オートクチュールから舞台衣装まで、時代を超えて貫かれた華やかさと構築性が際立つ。蝶をモチーフにした象徴的な表現や、女性の生き方と響き合うクリエーションは、いま見ても驚くほどモダン。レジェンドの仕事が、現代の感性にも強く訴えかけてくる。

【7/26(日)まで】「エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし」/東京都現代美術館 企画展示室1F/3F

エリック・カールの『はらぺこあおむし』

『はらぺこあおむし』のカラフルな世界を体感

『はらぺこあおむし』日本語版50周年を記念する本展は、全ページ原画展示に加え、エリック・カールをグラフィックデザイナーとしても捉え直している。絵本の枠を超えた色彩や構成力、ダミーブックや未邦訳作品などから、創作の源泉が立体的に浮かび上がる。大人から子どもまで楽しめる回顧展だ。

【5/31(日)まで】アンドリウス・アルチュニアン「Obol」/銀座メゾンエルメス ル・フォーラム

「Obol」アンドリウス・アルチュニアン

見えない価値をめぐる実験《Obol》
古代通貨オボルスをモチーフに、価値や交換、信仰と経済の関係を詩的かつ批評的に問い直している。音や彫刻、象徴的なオブジェが重なり合い、鑑賞者の身体感覚を巻き込みながら、空間全体が思考の装置として立ち上がる構成も印象的だ。具体と抽象のあいだを往還する表現によって、目に見えない価値や、その行方に静かに意識を向けさせる展示となっている。

【5/5(火・祝)まで】「MARTIN MARGIELA AT KUDAN HOUSE」/九段ハウス

「MARTIN MARGIELA AT KUDAN HOUSE」4 Asian Black Head 2025 Silicone, natural dyed hair

日本初の大規模個展
マルタン・マルジェラの創作の全貌を、ファッションとアートの視点から再考する展覧会。匿名性を貫いたデザイナーの思想に焦点を当て、解体と再構築、再利用素材といった手法を使った作品を紹介。空間インスタレーション交え、既成概念を問い直す姿勢を浮かび上がらせる。装う行為そのものを哲学的に捉え直したマルジェラの独創性を体感できる構成となっている。

【5/1(金)〜5/3(日)】!「TOKIO ART BOOK FAIR 2026」/芝パークホテル

「TOKIO ART BOOK FAIR 2026」の様子

国内外52組の出版グループが集結
国境を越えたインディペンデント出版のネットワークが楽しめるアートブック展。TABFでの経験を持つホスト出展者がゲストを招く形式により、写真集を中心とした欧州やアジアの出版社、ブックフェア運営者が集結。本そのものだけでなく、その背景にある思想や実践が交差する場所になる。芝パークホテルの落ち着いた佇まいとの相乗効果で対話が自然に生まれ、交流がより豊かなものになりそうだ。

京都開催

【5/17(日)まで】「KYOTOGRAPHIE 2026」/京都市内

ファトマ・ハッスーナ「The eye of Gaza」

写真はどこまで社会を映し出せるのか
写真が社会や歴史、人間の尊厳にどこまで切り込めるのかを、多層的に問いかけている写真作品を京都市内各地で展示。アーネスト・コールや森山大道による記録と表現、ファトマ・ハッスーナやキム・ウンジュの切実な視線が、抑圧や戦争、記憶の傷痕を可視化する。寺院や町家といった京都ならではの空間も、写真の力を強く引き立て、鑑賞体験をより深いものに。

長野開催

【5/6(水)まで】「ARMANI/CASA展 ― 光と空間が描く、静かなエレガンス」/MMoP

「ARMANI/CASA展 」内観

アルマーニ / カーザの静謐な世界観を空間で表現
装飾を抑えた構造美と光の扱いを通して、ジョルジオ・アルマーニの美学を空間として体感できる。象徴的なテーブルランプ「LOGO」を軸に、家具や写真、映像が静かに呼応し、住まいに流れる時間や余白の豊かさを可視化。思想としてのジョルジオ・アルマーニのエレガンスが深く印象に残る展示。